兵庫県の斎藤元彦知事の『パワハラ』などの疑惑を調べる百条委員会が、1月27日に開かれました。
会議の冒頭、亡くなった竹内英明元県議を悼み、黙とうが捧げられました。
竹内元県議は、SNSで誹謗中傷を受けていました。
竹内元県議から相談を受け、自身もネットで誹謗中傷を受けた兵庫県の丸尾まき県議に、百条委員会のメンバーに相次ぐSNS上での誹謗中傷の実態について、聞いていきます。
■亡くなった竹内元兵庫県議 SNSで誹謗中傷受けていた
竹内元県議と丸尾県議は、ともに斎藤知事の『パワハラ疑惑』などを調査する、兵庫県の百条委員会メンバーでした。

「まじめで、百条委員会の中では、率先して頑張っていた。一番しっかり尋問をしていた人」だと話しています。
竹内元県議は、斎藤知事が再選した翌日の2024年11月18日、「一身上の都合」を理由に議員辞職しました。
その約2カ月後の1月18日、自宅から病院に搬送され、死亡が確認されました。
自殺とみられています。

なぜ、このような事態になったのでしょうか。
兵庫県知事選の期間中、百条委員会の活動をめぐって、SNS上で、竹内元県議への誹謗中傷が相次いでいました。
「斎藤を貶めた主犯格」
といった投稿がみられました。

竹内元県議が辞表を提出した日、丸尾県議は竹内元県議と話をしています。
「(竹内元県議は)憔悴しきっていた。抗議が殺到して、かなり精神的に参っていて、『みんなが敵にみえる』『僕には居場所がない』と話していた」
「SNSは見ないようにしていても、支援者から『これは事実か』と確認されるのがつらいと言っていた」

次のページは
■周囲に不安吐露も 竹内元県議を追い込んだ行動とは?■周囲に不安吐露も 竹内元県議を追い込んだ行動とは?
さらに、竹内元県議を追い込んだ行動です。
NHKから国民を守る党の立花党首が、兵庫県知事選の期間中、『斎藤知事を失職に追い込んだ黒幕の1人』などとして、竹内元県議や丸尾県議の事務所に押し掛けると宣言します。
「事務所に凸する(突撃する)らしいです。楽しみにしています」というコメントも投稿されました。
「うちの事務所までXなどで狙われる宣言受けて家族も退避してます。警察からも退避しておくように言われてます。」
証拠を残しておくことについては、
「警察からも動画と言われました。撮るのが怖いです。」と胸のうちを明かしています。

「押し掛けると宣言されてから、見たこともないナンバーの車が(丸尾県議の)事務所にきたり、スマホで家を探すようにうろうろする人がいたり、いろんな動きが出てきた」
「竹内さんも非常に怖い思いをしていて、『子どもたちもいるので、家族にこれ以上迷惑をかけられない』と話していた」ということです。
「竹内元県議は、警察に捕まるのが嫌で自ら命を絶った」などと発言しました。
この投稿は現在削除されていますが、SNS上では同じような情報が拡散されました。

「被疑者として任意の調べをしたこともないし、ましてや逮捕するといったような話は、まったくない。明白な虚偽がSNSで拡散されていることについては、極めて遺憾である」と否定しました。
「事実と異なることを、インターネットで発信した」として訂正・謝罪しました。

「私が名誉毀損したから竹内県議が自殺したのではなく、竹内県議が自殺した後に私は竹内県議【死者】の名誉を毀損したのです」と、投稿しました。

「立花氏は、虚偽の内容で死者の名誉を毀損したので、処罰の対象になりうる。竹内氏の遺族が告訴することは可能」としています。

■兵庫県議が『ネットリンチ』実態を激白 「命の危険を感じた」
丸尾県議も、誹謗中傷を受けています。
「明らかに事実と異なる内容を見て信じた人が、SNSなどで扇動し、中傷する電話やメール、SNS投稿が殺到する」としています。
丸尾県議が受けた中傷『明らかに事実と異なる内容』です。
丸尾県議の文体の特徴などが、告発文書の特徴に似ているとして、関与を匂わす投稿もあったということです。
「県民局長とは、直接やり取りした記憶もあまりないし、作成に関わるわけがない」

さらに、NHKから国民を守る党の立花党首が、丸尾県議の事務所に押し掛けると宣言したことで、迷惑電話が殺到しました。
知事選の期間中は、連日30件ほどの着信があったということです。
「ちゃんとせんかい このクソボケが」
といった言葉が、留守電に残されていたこともありました。
さらにメールでも中傷が相次ぎました。
「兵庫県の恥!早く辞めろ!バカタレが」
「いつまで税金を食い潰す気や!お前はもう生きる価値ないわ!」

「業務に支障があるだけでなく、命の危険も感じた。まさに、『ネットリンチ』だと思った」と話しています。
さらに、注文してない健康食品などが着払いで10件ほど届いたり、がん特約の保険を無断で申し込まれたりしたということです。
丸尾県議は、対応として、動画運営会社に、虚偽を含む動画の削除請求と発信者情報の開示請求をしました。
削除要請と開示請求で、25件ほどしたということです。
このうち削除されたのは、5件のみでした。
20件は開示に応じておらず、裁判に移行しているということです。

「対策を取るため、動画を見ざるを得ないのがつらかった。しんどい作業を続ける中でも、次から次へと、切り抜き動画は出てきた」

「『切り抜き動画』がコロナ禍以降増えている。再生数を稼ぐために、デマに便乗。この影響で、デマが広く拡散し、同じ情報を何度も見た人が洗脳される」ということです。

次のページは
■斎藤知事パワハラ疑惑 百条委 報告書の「素案」真相は?■斎藤知事パワハラ疑惑 百条委 報告書の「素案」真相は?
斎藤知事のパワハラ疑惑などを調査している百条委員会が、1月27日に開かれ、斎藤知事のパワハラ疑惑などに関する調査報告書の『素案』を示しました。
素案は、64ページで、告発文書に記された疑惑や公益通報者保護についてなど、これまでの証言等を整理したものです。
調査報告書に関する、今後の協議について、証人の特定を避けるために、非公開の『協議会』を設置して、後日、議事録を公開するということです。
斎藤知事の言動がパワハラに当たるかどうかの評価については、この『協議会』で協議していくとしています。

斎藤知事は、これまで、3度の尋問で疑惑を認めておらず、告発文書は「誹謗中傷性が高い」との認識を示しています。
百条委員会は、2月からの県議会に、調査報告書を提出する方針です。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年1月29日放送分より)