北海道を横断するJR根室本線の東滝川駅。札幌から1時間半ほどの無人駅です。この駅は、14日の最終列車をもって廃止となります。
100年以上に渡って、地元の人に愛されてきた駅。時代の流れのなかで、廃止にはやむを得ない事情がありました。
■112年の歴史に幕 東滝川駅
JR根室本線。通勤・通学の足としてだけではなく、富良野などの観光地を訪れるインバウンドのお客さんで賑わっています。
しかし、2月のある一日。始発から最終列車まで、この日、東滝川駅を利用した地元の人は、わずか4人でした。1日の平均利用者数は、1.8人。利用者の減少などを理由に、14日、廃止されます。
奥谷富士子さん(71)は、隣の市にある病院への行き帰りに列車を使っています。車の免許を持たない奥谷さんにとって、列車は貴重な交通手段。駅の廃止を、どう受け止めているのでしょうか。
高齢の母親の介護のため、月に2〜3回、駅を利用している女性。バッグいっぱいに、母親の好物を詰め込んでいます。
替わりになるバスは本数が少なく、交通手段が減るのは痛手です。
駅に特別な思い出を持つ人もいます。
冬は、駅前に積もった雪にランタンを飾って。子どものころの、楽しい思い出です。
駅の開業は大正2年(1913年)。
周辺は、かつて炭鉱業で栄えました。多くの人が鉄道で行き交い、町も賑わっていたそうです。
駅のすぐ近くに住む加藤章広さん(71)。その移り変わりを、ずっと見つめてきました。
昭和30年代、子どもの数も多く、列車で通学する学生もたくさんいたそうです。しかし、時代の流れとともに炭鉱の閉山が相次ぎ、人口が減少しました。
今後、線路の保守点検の基地としての機能を残すため、東滝川駅の駅舎は当面はそのままですが、一般の人の立ち入りはできなくなります。