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2025年3月15日 02:18

112年の歴史に幕 最後の列車…東滝川駅きょうで廃駅

2025年3月15日 02:18

112年の歴史に幕 最後の列車…東滝川駅きょうで廃駅
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北海道を横断するJR根室本線の東滝川駅。札幌から1時間半ほどの無人駅です。この駅は、14日の最終列車をもって廃止となります。

100年以上に渡って、地元の人に愛されてきた駅。時代の流れのなかで、廃止にはやむを得ない事情がありました。

■112年の歴史に幕 東滝川駅

JR根室本線。通勤・通学の足としてだけではなく、富良野などの観光地を訪れるインバウンドのお客さんで賑わっています。

東滝川駅

しかし、2月のある一日。始発から最終列車まで、この日、東滝川駅を利用した地元の人は、わずか4人でした。1日の平均利用者数は、1.8人。利用者の減少などを理由に、14日、廃止されます。

奥谷富士子さん(71)は、隣の市にある病院への行き帰りに列車を使っています。車の免許を持たない奥谷さんにとって、列車は貴重な交通手段。駅の廃止を、どう受け止めているのでしょうか。

奥谷富士子さん
奥谷富士子さん(71)                                          「もうずっと通っていたからね、ここ(東滝川駅)からね。なくなるのは、やっぱりちょっとさみしいですよね」                                           「(Q.東滝川駅が廃止されたら?)バスしかないですよね。バスも去年から高くなっているからね。運賃が上がっているから。大変ですよ。年金も今、安いからね、物は高いし」

高齢の母親の介護のため、月に2〜3回、駅を利用している女性。バッグいっぱいに、母親の好物を詰め込んでいます。

母親の介護で駅を利用
母親の介護で駅を利用                                                  「(母親が)このパンが大好きなので。近場で売ってないので持ってくるんですよ、4つぐらい」                                                    「(Q.東滝川駅が廃止されますが?)ちょっと不便になるかな。バスになってしまうので、待ち時間がちょっと長くなってしまうかな」
運賃

替わりになるバスは本数が少なく、交通手段が減るのは痛手です。

駅に特別な思い出を持つ人もいます。

村上侑星さん
村上侑星さん(18)                                                       「小さいころから、よくこの駅舎の中でゲームして遊んだりとか。夏だったらコンクリートで駅舎の中が涼しいので」
駅前に積もった雪にランタンを飾る

冬は、駅前に積もった雪にランタンを飾って。子どものころの、楽しい思い出です。

村上侑星さん
村上侑星さん                                                     「いろいろなのを飾っているので、めちゃくちゃきれい。昔からずっと近くにあって、遊んだりもしてきたので、ちょっとさみしくなりますね」
東滝川駅

駅の開業は大正2年(1913年)。

東滝川駅の周辺
東滝川駅周辺の町

周辺は、かつて炭鉱業で栄えました。多くの人が鉄道で行き交い、町も賑わっていたそうです。

駅のすぐ近くに住む加藤章広さん(71)。その移り変わりを、ずっと見つめてきました。

加藤章広さん
加藤章広さん                                                          「炭鉱の奥さん方が、春の田植えと秋の稲刈り。列車で来て、もうすごい人数。100人とかそのぐらいの数はいたんじゃないかな」

昭和30年代、子どもの数も多く、列車で通学する学生もたくさんいたそうです。しかし、時代の流れとともに炭鉱の閉山が相次ぎ、人口が減少しました。

加藤章広さん
加藤章広さん                                                           「子どもの数が減っていって、学生さんの(駅の)利用も少なくなるし、市街の方に買い物に行くのは、自分の車で行くようになったから、だんだん。残念だけどね、時代の流れというか、仕方がないですね」             

今後、線路の保守点検の基地としての機能を残すため、東滝川駅の駅舎は当面はそのままですが、一般の人の立ち入りはできなくなります。

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