3月31日、第三者委員会が、中居氏の行動を『業務の延長線上』における性暴力と結論づけました。
また、調査の中で明らかになった、フジテレビ内で蔓延していたハラスメントの実態や複数の類似案件についても見ていきます。
■第三者委 中居氏の行為は「重大な人権侵害」やりとり全容
第三者委員会は、中居氏の行為は『重大な人権侵害』と指摘しました。
第三者委員会の調査では、性暴力の問題について、中居氏側と被害女性Aさん側の両方に守秘義務を解除した上での、ヒアリングを依頼しました。
被害女性Aさんは、守秘義務の全面解除に応じると回答しましたが、中居氏側は、守秘義務を解除しないと回答しました。
そのため、守秘義務の部分にあたる、マンションの部屋での事実、示談契約の内容以外について、ヒアリングが行われました。
問題に至るまでの経緯です。
2023年5月28日、中居氏がフジテレビの元編成幹部B氏に、自身が所有するマンションでのバーベキューに誘う連絡をしました。
「男同士じゃつまらんね。アナ誰かこれるかな」
「調整してみます。2〜3人いれば大丈夫ですかね。●●(被害女性Aさん)に声かけてみようと思います」と返して、Aさんがバーベキューに参加することになりました。
2023年5月31日にバーベキューが行われ、終了後、中居氏が「おなかがすいた」と言ったため、中居氏、元編成幹部B氏、被害女性Aさんの3人ですし店を訪れました。
食事後、中居氏の求めにより、Aさんは中居氏と連絡先を交換しています。
この時、B氏が、飲食代1万5235円を『接待飲食代』として経費精算しました。
「今晩、ご飯どうですか。メンバーの声かけてます」と連絡があり、Aさんは複数人の会合だと思い、参加の旨を連絡。
しかし、その後、中居氏から、人が集まらず、中居氏のマンションで2人での食事を提案されました。
中居氏からの提案を受け、Aさんは、
「中居氏の誘いを断ることで、今後の仕事に差し障ると考えると今更断れない」と、大丈夫である旨を返信。
この後、Aさんは被害にあいました。
第三者委員会でのヒアリングでは、中居氏は、実際には誰も食事に誘っておらず、飲食店も探していなかったことが明らかになっています。
▼著名な大物タレントである中居氏と、入社数年目の女性アナウンサーAさんとの間で、圧倒的な権力格差が存在していること、
▼フジテレビでは、タレント等との会合は広く業務として認められ、必要経費として経費精算されること、
などから、一連の問題は『業務の延長線上』における性暴力であったと認めました。
■中居氏に弁護士紹介も 被害後のフジ対応は「二次加害行為」
被害後のフジテレビ側の対応について、第三者委員会は二次加害行為と指摘しました。
『被害後の社員の関与』です。
2023年7月、中居氏が、元編成幹部B氏などに、被害女性Aさんとのトラブルを相談しました。
相談のやり取りです。
「(Aさんが)やりたい仕事もできず、給料も減り、あの日を悔やむばかりと。どうしよか」と、Aさんから来たメール内容について、相談のメッセージを送っています。
「なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??」と返信しています。
▼中居氏の依頼を受け、B氏が被害女性Aさんへの見舞金100万円を入院先へ届ける、
▼中居氏の依頼を受け、フジテレビのバラエティ部門の弁護士を紹介する、
などの行動をとっています。
第三者委員会は、これが、被害女性Aさんへの口封じや、中居氏の利益のための行動で、Aさんへの二次加害行為に当たりうると指摘しました。
そして、『会社の対応』です。
2023年8月以降、当時の港社長、大多専務、編成制作局長の3名で、被害女性Aさんへの対応や中居氏の出演継続の是非について協議をしましたが、コンプライアンス推進室への報告や共有は行われませんでした。
「コンプラに報告すれば、大ごとになったと思う。フジテレビは、情報が漏れやすい会社なので、被害女性が好奇の目で見られるかもしれないという恐怖しかなかった」と答えています。
また番組継続の判断については、当時の港社長、大多専務、そして編成制作局長の3名は、被害女性Aさんの生命を最優先に、笑顔で番組に復帰するまで何もしないという『大方針』を決めていたため、としています。
「3人は性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しい。経営判断の体をなしていない」と、指摘しました。
「局長から当時の社長まで、人権問題と捉えなかった。会社は、中居氏を守ったと思わせてしまった。どれだけ傷つけてしまったかと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と話しました。
■中居氏 スイートルーム飲み会『女性置き去り』支払いはフジ
第三者委員会の調査で分かった類似事案です。
2021年12月、都内ホテルのスイートルームで飲み会がありました。
参加者は、元編成幹部B氏、(有名な番組出演者の)タレントU、中居氏、B氏の部下2人、被害女性Aさん、女性アナウンサー3人、そして女性スタッフの10人です。
飲み会では、タレントU、中居氏、B氏、女性アナウンサーが飲食をしながら、会話をし、B氏の部下や女性スタッフが飲み物・食べ物を配膳しながら、適宜会話に参加するような形で進んだということです。
その後、Aさんと女性アナウンサー1人は、他の参加者より先に帰宅しました。
「お前らどうするの」
「あとは俺たちだけ残るから、スタッフはみんな先に帰っていいよ」と、退出するよう働きかけました。
この中居氏の発言を受け、B氏、部下2人、女性スタッフが、スイートルームから退出し、アナウンサー2人を『置き去り』にするかたちになりました。
その後、男性2人(タレントU、中居氏)と女性アナ2人になります。
アナウンサー1人がトイレに行くのに席を立つと、タレントUがその後を追うように離席。
中居氏とアナウンサーが2人きりになると、中居氏がアナウンサーのひざ・肩・鎖骨付近に手を触れたり、顔を近づけたりしたため、アナウンサーは中居氏の機嫌を損ねないように、手をどける、体を離すなどしながら、やり過ごしたということです。
このときのスイートルームの料金は、38万1365円。
B氏は、『番組のロケ等施設使用料』の名目でフジテレビに立て替え請求し、フジテレビから支払いを受けています。
「番組のロケ等施設使用料の名目で請求され、決済されていた。実態はタレントとの交際の飲食会合。名目上は、極めて不適切な経費申請。今後、返金を求めることも含め、厳正に対処する」としています。
さらに、別の類似事案です。
10年以上前、飲食の場での事案です。
女性社員が、B氏から、
「有力な番組出演者と会食をしていて、来てほしい」と電話があり、向かいました。
お店には、番組出演者とB氏のほか、男性が3〜4人いたということです。
数時間後、女性社員がトイレに立ち、戻ったところ、番組出演者以外がいなくなっていて、女性社員は『置き去り』にされたかたちとなりました。
その後、番組出演者の求めで、別の店へ移動。
そこで、突如、番組出演者がズボンと下着を脱ぎ、下半身を露出したということです。
▼女性を置き去りにして、有力出演者と女性だけの空間にして、ハラスメント被害が生じた。
▼女性社員を危険から守ることよりも、有力な番組出演者への配慮を優先させる、元編成幹部B氏の思考パターンを表していると指摘しました。
「他の類似事案にも、B氏はかなり出てきている。報告書で指摘されている限りでみると、結構問題が多かった社員だと、私自身は認識している。よって、今後、事実関係を確認し厳正に処分するつもりです」としています。
■キャスターのハラスメント行為も 被害蔓延も適切な対処せず
フジテレビの第三者委員会の調査で、社内でのハラスメント行為が判明しました。
BSフジ『プライムニュース』のキャスターで、フジテレビ報道局解説委員の反町理氏です。
内容は、食事やドライブに誘い、それを断ると、
▼女性に対する不当な叱責メールを、部内に一斉送信する、
▼電話で怒鳴るなどの行為です。
2018年の4月には、週刊文春が、反町氏のハラスメント行為を報じたため、フジテレビ内では改めて、被害にあった女性社員Mさんに事実確認のため面談が行われました。
面談でMさんは、反町氏のハラスメント行為をなかったことにしないで欲しいと要望しましたが、面談を行った当時の専務取締役の岸本氏が、Mさんの発言を遮り、テーブルを小刻みに叩いて圧迫しながら話すなど、女性の要望を聞き入れる姿勢が見られなかったことが、録音記録から明らかになっています。
「フジテレビの広報としては、記事について、事実無根であるという見解を出している。それ以上でもそれ以下でもない」と事実関係を否定する発言をしています。
▼現在もBSフジの報道番組でキャスターとして出演、
▼2020年には執行役員に就任、
▼2021年には取締役に就任するなど、昇進を続けてきました。
今回の調査では、多数のフジテレビ社員から、
『セクハラ問題後も反町氏が昇進し続けたことにより、セクハラやパワハラをフジテレビに相談しても無駄と思わせる結果となった』という意見が寄せられたということです。
◎全社的にハラスメント被害が蔓延していた、
◎原因は、ハラスメントへの適切な対処がされず、結果としてさらに被害が生じる負の連鎖が繰り返されてきた、
と指摘しています。
「私たちは、これまでの自己認識がいかに甘かったかを思い知った。速やかに関係者に対する厳正な処分をいたします」
としています。
反町氏は、3月31日、自身がキャスターを務める番組を欠席しています。
■日枝氏 トップ人事に関与 否定せず 第三者委「説明責任ある」
▼日枝氏が、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスの会長と社長のトップ人事を決めていた、
▼それ以下の人事に関しては、会長・社長が決めていたが、日枝氏にお伺いを立てていた状況もあった、としています。
フジテレビ社員へのアンケート調査では、
『日枝氏がフジテレビグループの人事権を掌握してると感じるか』という質問に対して、82パーセントが「感じる」と回答しています。
第三者委員会の聞き取り調査に対して、日枝氏は、
「自分はあくまで相談役として、相談に乗っていた」と説明したということですが、会長と社長の人事を自身が決めていたことを否定はしなかったということです。
▼日枝氏のみならず、取締役会メンバー全員に経営責任が認められる、
▼日枝氏の影響力さえ排除すれば、会社のガバナンスは立ち直るわけではない、
と指摘しています。
「組織風土の醸成に与えた影響も大きい」とし、
「日枝さんに説明責任が『ある』か『ない』かといえば、『ある』という答えになる」と話しました。
「説明責任を取締役の個人個人が持つのかということに関しては、組織として受け持つことになるのではないかとは考えております」としています。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年4月1日放送分より)