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2025年5月3日 11:00

“奇跡の水族館”奮闘 新人デビューでハプニング 涙ぐましい努力重ねる飼育員に密着

2025年5月3日 11:00

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 一度閉園したものの、去年奇跡の復活を遂げた無人島の水族館。実は昨今の物価高騰で崖っぷちに…。再び閉園にならぬよう、水族館を盛り上げるための新たな戦力やイベント、グッズまで!奮闘する奇跡の水族館を追跡しました。

■“奇跡の水族館”は“崖っぷち水族館”に逆戻り

 静岡県沼津市にある無人島「淡島」。ここに、船で渡る水族館「あわしまマリンパーク」があります。駿河湾に面する海を利用したイルカプール。動物たちのダイナミックなショーが楽しめます。

21羽のなかから、1位になるペンギンを選ぶ
21羽のなかから、1位になるペンギンを選ぶ

 展示している生き物は約200種類。この春からはペンギン障害物レースも行われています。21羽のなかから、1位になるペンギンを選びます。

来園客
「21番」
「10番」
「14番」
「15番。奇跡を起こすから」

 1位を当てるといいことがあるそうです。

1位はキセキくん
1位はキセキくん

 もはやレースなのか、何なのか分からない混乱ぶり。1位はキセキくんです。

 予想が当たった人には、ペンギンのひなをだっこできるごほうび。

1位を見事的中 埼玉から(8)
「すごくフワフワで、気持ち良かった。あたたかかった」
アシカの「ミクちゃん」
アシカの「ミクちゃん」

 この水族館のアイドル、アシカの「ミクちゃん」です。お客さんをとりこにするのは、この笑顔。

 ミクちゃんは、とにかく芸達者。ワザの数は70種類以上におよびます。ジャンプ力もイルカに負けません。

 カナダから来た親子は次のように話します。

カナダから来た親子
カナダから来た親子
カナダから
「信じられない高さのジャンプだった」
カナダから
「最高。今までで1番」

 愛嬌たっぷり。表情豊かなミクちゃん。

ミクちゃんのファン
ミクちゃんのファン
神奈川県から(20代)
「カワイイ。ファンです、笑顔の」

 20代の女性は、ミクちゃんのファンだと言います。

神奈川県から(20代)
「笑顔です、これも使う。いやされます」

 一緒に来た友達も。

一緒に来た友達
「とりこになりました。水族館の」
去年2月に一度閉園した理由は…
去年2月に一度閉園した理由は…

 1984年にオープンした「あわしまマリンパーク」。実は去年2月に一度閉園しています。資金繰りの悪化や施設の老朽化などが原因でした。

来園客
「魅力的な部分がたくさんで、潰れるべき園じゃない」

 そこに救世主が現れました。この水族館のファンだった男性が経営に乗り出したのです。

あわしまマリンパーク 今村クニト社長(55)
あわしまマリンパーク 今村クニト社長(55)
あわしまマリンパーク 今村クニト社長(55)
「『誰かこの水族館を救ってください』企画書を色々な社長に持っていった」
去年7月に奇跡の再オープン
去年7月に奇跡の再オープン

 その熱意に賛同する企業が現れ、去年7月に奇跡の再オープンを果たしたのです。

東京から来た客
「残念な期間を乗り越えて復活したので“奇跡の復活”」
飼育員歴14年 市川香月さん(33)
飼育員歴14年 市川香月さん(33)

 しかし再オープンから10カ月、“奇跡の水族館”は“崖っぷち水族館”に逆戻りしていました。

 相次ぐ水道光熱費の値上げが、経営を圧迫しているのです。さらに、漁船の燃料費が高騰しているため、動物たちが食べる魚も2割値上げになっていました。

飼育員歴14年 市川香月さん(33)
「業者から仕入れる魚の値段は上がっている」

 これでは、いまだ老朽化が目立つ施設を直そうにも、資金が回せません。

壊れた手すりを補強
壊れた手すりを補強
あわしまマリンパーク館長補佐 中井武さん(62)
「潮風、紫外線が一番の敵」

 お金が使えないなら、頭を使うしかありません。島内の竹を使って壊れた手すりを補強していました。

あわしまマリンパーク館長補佐 中井武さん(62)
あわしまマリンパーク館長補佐 中井武さん(62)
中井さん
「自分たちでできることは、自分たちでやる」

 現在11人いる飼育員は、再び閉園の憂き目にあわないように、涙ぐましい努力を重ねています。

■涙ぐましい努力 “希望の光”も

 この日、飼育員歴3年の川原夕奈さんが、ペンギンの小屋から何かを拾ってきました。

ペンギンの羽根
ペンギンの羽根
川原さん
「(ペンギン)1羽から抜け落ちた羽根」

 羽根が生え変わる時期のため、約1週間でこれほど抜け落ちるといいます。

 これを1回300円のガチャに。

およそ500個を売り上げた
およそ500個を売り上げた
川原さん
「キレイに水で洗って乾燥してフワフワなもの」

 これまで、およそ500個を売り上げたそうです。

当たりはイワトビペンギンの飾り羽根
当たりはイワトビペンギンの飾り羽根
川原さん
「当たりはイワトビペンギンの飾り羽根。(お客は)みんな必死にやっている」

 さらに、こんな努力もしています。

ポスターも自作
ポスターも自作
川原さん
「私は作るのが好き。ポスターも私が作った」

 今作っているのは、土産店で売り出すグッズ。人気のカワウソたちがキーホルダーに。1つ650円で販売しています。

 また、SNSで使えるこのスタンプも好評です。

飼育員歴20年 港谷英明さん(44)
飼育員歴20年 港谷英明さん(44)
飼育員歴20年 港谷英明さん(44)
「もう(閉園)にならないように。日々、私たちにできることを一個一個行っていく」
“崖っぷち水族館”に希望の光
“崖っぷち水族館”に希望の光

 そんな“崖っぷち水族館”にこの春、希望の光が差し込みました。2人の新人が加わったのです。永田真知さん(20)と下坂美春さん(20)、ともに20歳です。

飼育員歴5年 吉田唯斗さん
飼育員歴5年 吉田唯斗さん
飼育員歴5年 吉田唯斗さん
「人手不足のところに来た救世主の2人。輝いて見えます」
新人の永田真知さん(20)と下坂美春さん(20)
新人の永田真知さん(20)と下坂美春さん(20)
下坂さん
「(Q.期待されていますけど)え〜期待されているんですか?ホントですか?」

 下坂さんが、この水族館に入社した理由は?

下坂さん
「自然にあふれている。すぐ隣に海があって、のぞけば野生の魚がいる。そういうところに惹(ひ)かれた」

 目標は、アザラシやアシカのトレーナーになること。今は場内アナウンスをしながら、ワザを覚えています。

下坂さん
「最初はインフォメーションしかできない水族館もあるので。(ここは)人が少ない分、早めに指導してもらえる。スキルアップは早いと思う」

 この水族館は、新人にもチャンスがあふれているのです。

 もうひとりの新人、永田さんが入社したきっかけは、この水族館で幼いころにイルカショーを観た記憶でした。

いたずらっ子のティーナくん
いたずらっ子のティーナくん
永田さん
「ショーを初めて観てカッコいいな、キラキラしていて良いなと思った」

 永田さんが目指すのは、もちろんイルカのトレーナー。入社半年前からアルバイトとして働き、先輩に指導してもらってきました。

 一緒に練習するのは、いたずらっ子のティーナくん。

永田真知さん(20)
永田真知さん(20)
永田さん
「コミュニケーションが取れた時は楽しい」

 ベテラントレーナーは、新人2人に期待を寄せています。

新人2人に期待
新人2人に期待
市川さん
「頑張っていると思います。ただ性格が真逆。(永田さんは)慎重・丁寧・元気ない。いざ本番になると緊張が勝つ。(下坂さんは)緊張はしていないが、頑張りすぎて空回りする。ファイト」

 この後、新人に試練が待ち受けます。

■“未利用魚”をいただくイベントも

 この日、興味深いイベントが開催。水族館の一角に人だかりができていました。

目の前の海で釣り上げたウツボ
目の前の海で釣り上げたウツボ

 そこには、目の前の海で釣り上げたウツボが。実はこれ、スーパーなどには出回らない“未利用魚”をいただくイベントです。

 料理を仕上げる間、参加者にはクイズを出題します。

ウツボの名前の由来は?
ウツボの名前の由来は?
中井さん
「ウツボの名前の由来、何でウツボ?」
(1):つぼに似ていたから
(2):矢筒に似ていたから
(3):ウリに似ていたから

 正解は?

正解は「(2):矢筒に似ていたから」
正解は「(2):矢筒に似ていたから」
中井さん
「2番なんですよね。長い矢を入れた器が靫(うつぼ)という名前」
からあげに
からあげに

 さて、“未利用魚”のウツボはからあげに。身がフワフワでクセがないそうです。

 こうした水族館ならではのイベントを定期的に開くことで、ファンを増やしています。

熱烈ファンも
熱烈ファンも
東京から(12)
「ウマすぎます」

 東京から来た小学生と中学生の兄弟。実は、この水族館の筋金入りのファン。イベントがあるたびに参加しているといいます。

東京から
「ここが一番好きな水族館。20〜30回来ている」
母親
「(Q.就職先はここ?)たぶん就職先はここです」

■新人のショーデビューでハプニング

 新人にチャンスが巡ってきました。

イルカショーデビューのチャンスをもらった
イルカショーデビューのチャンスをもらった
永田さん
「(Q.緊張していますか?)緊張しています」

 あがり症の永田さん。実はこの日、イルカショーデビューのチャンスをもらったのです。

港谷さん
「緊張せず、いつも通りやっていきましょう」
永田さん
「はい」

 言われれば言われるほど、緊張するようです。

ボールトスでは…
ボールトスでは…

 イルカショースタート。続いてボールトス…あれ?

実況
「ティーナくん、決めてほしかったですね」
痛恨のミス
痛恨のミス

 今度は、ティーナ君が回すリングを受け取りますが、痛恨のミス。この日は平日、どうやらお客さんが少ないので、4月に入ったばかりの新人にチャレンジする機会が与えられたようです。

吉田さん
「キャッチは練習して」
永田さん
「すみませんでした。すみません」

 永田さん、苦いショーデビューとなりました。

悔しさをにじませる
悔しさをにじませる
永田さん
「私が受け取れなくて…。悔しいです」
翌日もショーに。この日は永田さんの誕生日だった
翌日もショーに。この日は永田さんの誕生日だった

 永田さんは翌日もイルカショーに立ちました。実はこの日、永田さんの誕生日でした。

 この日はティーナ君と息ぴったり。“崖っぷち水族館”の良いところは、チャンスが多いところ。何度失敗しても立ち上がればいいんです。

永田さん「もっと成長できるように頑張りたい」
永田さん「もっと成長できるように頑張りたい」
永田さん
「(Q.お疲れさまでした)お疲れさまでした。緊張したけど楽しくできた。もっと成長できるように頑張りたい」
“崖っぷち水族館の救世主たち”
“崖っぷち水族館の救世主たち”

 “崖っぷち水族館の救世主たち”。このゴールデンウイーク、新人2人は生き生きと働いているはずです。

  • 船で渡る水族館「あわしまマリンパーク」
  • 21羽のなかから、1位になるペンギンを選ぶ
  • 1位はキセキくん
  • アシカの「ミクちゃん」
  • カナダから来た親子
  • ミクちゃんのファン
  • 去年2月に一度閉園した理由は…
  • あわしまマリンパーク 今村クニト社長(55)
  • 去年7月に奇跡の再オープン
  • 飼育員歴14年 市川香月さん(33)
  • 壊れた手すりを補強
  • あわしまマリンパーク館長補佐 中井武さん(62)
  • ペンギンの羽根
  • およそ500個を売り上げた
  • 当たりはイワトビペンギンの飾り羽根
  • ポスターも自作
  • 飼育員歴20年 港谷英明さん(44)
  • “崖っぷち水族館”に希望の光
  • 飼育員歴5年 吉田唯斗さん
  • 新人の永田真知さん(20)と下坂美春さん(20)
  • いたずらっ子のティーナくん
  • 永田真知さん(20)
  • 新人2人に期待
  • 目の前の海で釣り上げたウツボ
  • ウツボの名前の由来は?
  • 正解は「(2):矢筒に似ていたから」
  • からあげに
  • 熱烈ファンも
  • イルカショーデビューのチャンスをもらった
  • ボールトスでは…
  • 痛恨のミス
  • 悔しさをにじませる
  • 翌日もショーに。この日は永田さんの誕生日だった
  • 永田さん「もっと成長できるように頑張りたい」
  • “崖っぷち水族館の救世主たち”