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2025年5月14日 20:28

秋田クマなぜ市街地相次ぎ出没?

秋田クマなぜ市街地相次ぎ出没?
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 秋田県の市街地でクマの出没が相次ぎ、警報が出る事態になっています。

■秋田で警報 住宅地にクマ出没

クマが侵入した家の住民
佐々木忍さん

「一人で動画を確認したので、身の毛がよだつ」

 住宅街を小走りに横切る黒い影。こちらも住宅の庭を走ります。

 例年になく多い「アーバンベア」の目撃情報。ドングリが豊作でも、人里に姿を見せる理由が見えてきました。

佐々木さん
「あのカメラで撮っていた。あれからこちらの方向を映していた」
庭を小走りに横切るクマ
庭を小走りに横切るクマ

 秋田市内の住宅街。防犯カメラがクマを捉えます。

 住宅の庭を小走りに横切るクマ。体長は1メートルを超えるとみられます。

 通勤通学の時間帯。よく見ると車が走り抜け、それに驚いたのか、逆方向に走っているようにも見えます。

 体を上下に揺らしながら庭を走り抜けます。

 住民が一部始終を語ります。

「この辺の足跡がクマだと思う」
「この辺の足跡がクマだと思う」
佐々木さん
「この辺の足跡がクマだと思う。そこからこう抜けて、ここを通って後ろの方に行った。まさか自分の家に来ているとは思っていなくて、ビックリしている」

 周辺には小学校もあり、警戒が高まっています。

佐々木さん
「何げなく玄関開けるにしろ、そろりと開けて確認するようになった」

 目撃情報は相次ぎます。のそのそと歩くクマ。こちらも住宅の庭です。

住宅の庭にクマ
住宅の庭にクマ

 映像はさらに続きます。大きな体を揺らし、塀を乗り越えるクマ。隣の家の庭へ。少し小走りにその場を離れます。

 物音に気付き窓を開けたそうですが、その音にひるむことなく走り去ったそうです。

「全然気にすることなく…」
「全然気にすることなく…」
撮影者の家族
「ドスンと落ちたような鈍い音がして。『クマ?』と思って急いで窓を閉めた。窓を開けた時にガラガラと音がして、(クマは)その(窓を開ける)音は聞こえている。全然気にすることなく、この道を知っているかのよう」「(警察に)『もう1回、同じ所に戻ってくる可能性がある。十分に気を付けて下さい』と言われた」
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■ドングリ豊作なのになぜ?

 もはや住宅街でいつ遭遇してもおかしくないほど、相次ぐクマの目撃情報。

クマダス
クマダス

 ツキノワグマの目撃情報を集めた「クマダス」。市街地での出没が相次ぐ様子は、一目瞭然です。

 これらのクマに共通点がありました。

石川県立大学 大井徹特任教授
石川県立大学 大井徹特任教授
石川県立大学 大井徹特任教授
「若い年齢層のクマ。人目を恐れて夜間が多いが、明るいうちに堂々と行動している印象。大胆な行動かと思われるが、普段生活してない所に出ている。いくらか警戒・緊張気味」

 住宅街だけではありません。商店街や、大学でもクマが車と衝突。警察が出動する事態に。

過去5年間の平均の2.6倍
過去5年間の平均の2.6倍

  秋田県では、先月の目撃情報は82件に上り、過去5年間の平均の2.6倍にあたる多さとなっています。

 そもそも、人里に姿を見せるシーズンが前倒しとなっているそうです。

目撃件数増加の理由
目撃件数増加の理由
大井特任教授
「普通は遅くから目撃件数が増えるが、(今年は)早いペース。人里周辺で冬眠するクマが増えて、冬眠明けも人里周辺で行うので、人目につく期間が早くなった」

 ドングリが豊作と言われた去年。なぜ山に餌(えさ)があるのに、市街地に姿を見せるのでしょうか?

岩手大学 農学部 山内貴義准教授
岩手大学 農学部 山内貴義准教授
岩手大学 農学部
山内貴義准教授

「母グマと子グマが観察される事例が、2年前ドングリが不作だった年にかなり顕著に見られた。子ども時代から里周辺を徘徊(はいかい)することを学習したクマは、かなり人慣れしている。やはり記憶があるんだと思う」

 増え続ける、人里を恐れないアーバンベア。今後さらに増える可能性も懸念されます。

「子どもが多く生まれる可能性が非常に高い」
「子どもが多く生まれる可能性が非常に高い」
山内准教授
「餌が去年豊富な状態であると、妊娠率が非常に高くなって子どもが多く生まれる可能性が非常に高い。場合によっては親子連れが里とか市街地に出てしまう可能性も」
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