社会

2025年5月24日 21:00

【池上解説】ガス代が無料!?なぜ若者は闇バイトを見抜けない?驚きの理由

2025年5月24日 21:00

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世の中にはあまり知られていないけど、知ると実に興味深い、そんなニュースがたくさんあります。今回は池上流「ニューストリビア」として解説してまいります。

■普通のバイトと闇バイト、高校生の8割が見分けられない!?

ニュースや情報番組でよく取り上げられている「闇バイト」。高額報酬をうたったり、「楽」を強調したり、とよく注意喚起されていますよね。それにもかかわらず、若者の多くは求人募集で闇バイトを見分けることができないというのです。

ではみなさんは闇バイトを見破ることができますか?ちょっと試してみましょう。こちらの「段ボールを運ぶだけ!簡単なお仕事です!DMにてご連絡を」というAと「年末年始高自給!工場内軽作業募集 応募サイトからエントリー!」のB、どちらが闇バイトなのか、わかりますか?

求人募集

闇バイトの可能性があるのはAです。段ボールを運ぶだけ、というのは何が入っているかわかりませんし、電話やHPでもなくDM、ダイレクトメッセージで連絡を、というのも不安です。

東京都によるとこうしたクイズを現役高校生に3問出題したところ、全問正解はわずか23%。8割近くの高校生が闇バイトを見抜けなかったのです。

これだけ新聞やテレビ、そして警察も注意喚起をしているのに、どうして高校生は見抜けないのでしょうか?ここで更に驚く調査があります。そもそも「闇バイト」を知らない若者が意外といるんです。闇バイトという言葉を知っていますか?というアンケートで30代以下の若者の実に3割が知らない、という結果がでたんです。(出典:アイデム)

「闇バイト」アンケートの円グラフ

そもそも「闇バイト」という言葉を知らなければ怪しい、と見抜くこともできません。
「これだけ毎日ニュースになっているのに!」と思う方もいらっしゃるでしょう。このように情報が届かない原因は若者の情報源にある、と言われています。今の若い人の多くはニュースをテレビや新聞ではなく、SNSを通じてみています。SNSはその人がよく見ているものが表示される仕組みになっています。そうなると興味があってよく見ているものについてはどんどん情報が集まってくるけど、そもそも興味をもっていないニュースについては全く表示されない、そんな現象が起きているんですね。だからそもそもニュースを知らず、結果闇バイトに巻き込まれる若者が後を絶たない、そんな現象がおきていると見られているんです。

■今の日本でガス代が激安!?の地域がある

ニューストリビア

総務省によると全国のガス代の平均は4人世帯で月5015円となっています。高いですよね。そんな中、東京のすぐ近くに、ガス代が激安の地域があるんです。ご存知ですか?
あるお宅では4人家族で冬でもひと月3000円いくかいかないか程度、さらには全くの無料、というお宅もありました。どこの地域のお話か、わかりますか?

ガス料金についてのインタビュー

それは東京のおとなり、千葉県です。実は千葉では天然ガスが湧き出ている場所があるんです。

南関東ガス田地図
川に天然ガス

そこでご家庭によっては敷地内にガスをとるための井戸を掘り、キッチンまで引いているんですね。そして自宅内に湧き出していないところでも、地元のガス会社が採掘・供給をしています。輸送コストがほとんどかかりませんから、とても安くガスを使うことができるというわけです。もちろん、こういった地元のガスが使えるのは千葉県全域ではなく、千葉市や茂原市など限られた地域ではありますが、ここ10年程値上げはないということです。今後600〜800年ほど使い続けるだけの埋蔵量があるそうで、うらやましい限りです。ただ、こうしたガス採掘にはマイナスの面もあるんです。こちらの天然ガスは地下水と一緒に埋蔵されています。そのため採掘のためには地下水をくみ上げることになるんですが、地下水を大量にくみ上げると何が起きると思いますか?地盤沈下です。

2023年の地盤沈下

無計画に地下水をくみ上げると地盤沈下が起きてしまいます。そのため、採取には制限があり、千葉県と業者とで話し合いながら進めているんです。
また、自宅にガスが湧き出ていて無料で使えるのはうらやましい、と思いますよね。でもこちらも設備の維持のためにガス代に近い金額がかかるんだそうです。

■ゴミを燃やさないで儲かっている町がある!?

ニューストリビア
燃やせるごみを燃やさずに処理する施設

香川県三豊市にはまさにSDGs、燃やせるごみを燃やさずに処理する施設があるんです。
燃やさずにどうやって処理するんでしょうか。

1:ゴミを細かく砕く
2:砕いたゴミと土(たい肥)などを混ぜ合わせる

ゴミと土(たい肥)などを混ぜる

3:暗い部屋で17日間放置する

こうして17日間放置したものを圧縮すると、固形燃料ができるんです。

燃えているゴミ

土とゴミとを混ぜることによって、可燃ごみの中から生ゴミだけを微生物が分解、その熱によって残りのゴミが乾燥してさらに燃えやすくなる、という仕組みです。
こうしてできた固形燃料を近くの工場に石炭の代用として売っています。
つまり、ゴミが燃料として生まれ変わる、というわけです。ゴミ1万トンから固形燃料が5000トンほどできるそうです。ゴミを燃やさないので、その分二酸化炭素排出量を減らせますし、固形燃料を燃やした時の排出量は石炭よりも少なくできるそうなんです。
こちらの施設には今全国から問い合わせがきているそうで、これから全国に広がるかもしれません。

池上彰さん

こうしてみていくと普段あまり取り上げられないニュースの中にも面白いものはたくさんありますよね。皆さんも是非ニューストリビアを探してみてください。更に毎日のニュースが面白くなると思います。

(池上彰のニュースそうだったのか!!5月24日OAより)

さらに詳しい「池上流ニューストリビア」はTVerで!