養鶏場では殻が薄く、売り物にならない卵が産まれてきました。これも連日続く暑さの影響だといいます。いったい何が起きているのでしょうか。
■“危険な暑さ”居座る
岐阜県多治見市は18日に続いて19日も全国一の暑さに。36.9度と3日連続の猛暑日です。
「熱が地面から上がってきている感じ。この子が大丈夫かなと。保冷剤とかも持ってきているんですけど」
19日の列島は夜明けとともに気温が急上昇。30度以上の真夏日を観測したのは全国598地点と、今年最多を更新しました。35度以上の猛暑日になったのは56地点です。
熱中症の疑いで搬送されたのは全国で少なくとも530人です。岐阜県池田町では畑で倒れていた90歳の男性が亡くなりました。
■“薄い卵”危険な暑さが影響か
21日には陽が出る時間が最も長くなる『夏至』を迎えます。日照時間が長く、雨が少ないため、厳しい暑さは増すばかりです。そのため食卓に欠かせない食べ物にも悪影響が出ています。
福井県あわら市にある養鶏場で産まれる卵は毎日1800個ほど。人間にとってきつい暑さは約2000羽のニワトリにも同じことです。
「やっぱり暑いので、しっかりエサを食べてくれない。水ばっかり飲んでいる。タマゴの弾力であったりが、うまく製品化されてこないのかな」
夏バテからか、産卵数が半分になったり、殻が軟らかくなる可能性があります。
「こういうやわらかい卵。一昨日ぐらいが蒸し暑い感じだったので、それの影響もあると思います」
中はどうなっているのでしょうか。まずは正常な卵を割ると、白身が黄身をしっかり支えてお皿の上で立っていました。一方で、殻が軟らかくなってしまった卵は、中身は通常の卵と一緒でした。さらに、見た目は変わらなくても、白身が水っぽく形を保てないものもあります。
栄養価は変わらないものの、こうならないためにはニワトリがいる室内を冷やす必要があります。本当はクーラーを購入したいのですが…。
「なかなかですよね、お金が…。人件費も払わなくちゃいけないし、エサ代も高騰しているので。何があるか分からないでしょ?だから金額の張るものは買えない」
これまでも年々高騰するエサ代などには、卵の値上げで対応してきました。販売価格は9年前よりも2倍以上高くしています。それでもコスト全てを価格転嫁できていません。これ以上、暑さが続くとニワトリを守れるのか不安です。
「今年は一体何度まで上がるんやろって、いつも考えてること」
■農家悲鳴「対策追いつかない」
連日の暑さで影響を受けているのは卵だけではありません。茨城県鉾田市の農家では、温度調整などの設備が整った農業用ハウスで栽培されているトマトでさえも影響を受けています。トマトは雨に弱いため、梅雨の時期に濡れないように室内で育てていましたが…。
「明らかにこっちは赤いのに、こっちは緑色のまま」
(Q.トマトの適温は)
「22〜30度くらいまでかな。人間が暑いと思う温度はトマトも暑い」
暑さによって傷んでしまったトマトを切ると、断面の一部は緑のままです。水分が少なく硬くなっています。室温が上がらないように遮光カーテンをつけるなどの対策をしていますが、追いつきません。
「(高温障害のトマトが)10〜20%出る生産者もいるので注意が必要になる。トマトの生産量が減って供給量が追い付かなくなると、どうしても市場価格も上がる流れになってしまうのではないか」