6月に入り、各地の住宅街などに出没するクマ。居合わせた人が襲われ死亡するケースも。なぜ今、相次いでいるのか、そこには「ある習性」が関係しているようです。
相次ぐクマ出没 死亡事故も
住宅近くの川を走り抜ける、巨大なヒグマ。撮影した男性によりますと、体長は2メートルほど。オスの成獣と見られます。
「びっくりした本当に。まさか川を泳いだり渡ったりするところを見ると思わなかったのでびっくりした。200メートル先には住宅地があって、知り合いのハンターに通報した。近くに遊歩道、サイクリングロードもあり、さすがに危ないと思って。あれだけ速いと人間では逃げ切れない」
高速道路で、あわや衝突の危険な瞬間。今、各地でクマの出没が相次いでいます。
住宅地にある工場に子グマが侵入し、2時間、居座る事態に。
「作業中に背中を見せていたら背後からやられた可能性もある。本当にひやっとした。人を怖がらないクマが増えている気がする」
今週、人がクマに襲われて死亡する事故が実際に起きています。
男性2人は、竹やぶの中で、タケノコ採りをしていたところクマに襲われたということです。
長野県大町市の山林で、46歳の男性が、遭遇したクマに顔をひっかかれるなどして死亡しました。
「複雑ですね。今までなかったから。どういう対処をして良いのかも分からない」
市は「クマ出没警戒警報」を出して、注意を呼び掛けています。
白昼の市街地で“遭遇”も
今月は、住宅街にも連日、クマが出没しています。
福井県内の住宅に設置された防犯カメラの映像。映っていたのは、体長1メートルほどのクマです。
「この部屋にいて座っている時に『キンコーン』と察知した。見たらクマが映っていた」
このクマは、23日の夕方から24日の朝にかけて、住宅の敷地内に4回現れたといいます。
住民からの通報で、市の職員がわなを設置しましたが、その後の行方は分かっていません。
「鉢合わせしたら怖い。ここら辺にいるということは鉢合わせする可能性がある。鉢合わせしたら危害が…」
山形県でも驚きの光景が。住宅の外にある、エアコンの室外機。すぐそばを歩くクマの姿が捉えられました。
クマは近くで複数回、目撃されていました。警察や消防が出動し、白昼の住宅街は一時、厳戒態勢に。
クマは町民体育館近くの住宅の敷地内に侵入。この日の正午すぎ、獣医師により麻酔銃で眠らされ、捕獲されました。その後、山に放されたということです。
「犬の間違いじゃないかと思ったけど、実際きょうみたいになっちゃうと山から近くなっちゃったのかなと思う」
白昼の市街地でクマに襲われるケースも。
道路から突如、走ってきたクマ。岩手県内の木材加工会社の庭に入り込みます。庭の木の間から飛び出してきたクマと、60代の男性従業員が遭遇。男性は、驚いて転倒したところをクマに襲われ、鼻や口元などをひっかかれました。
「(Q.この辺はクマは出る?)初めてだ、何十年いて。夢みたい、びっくりした。毎日棒を持って歩くかなと思っている」
クマと鉢合わせ“恐怖の瞬間”
6月になり、北海道や東北だけでも、各地の市街地でクマの姿が数多く撮影されています。
25日に番組の取材班が向かったのは、青森県弘前市の住宅地。23日の朝、クマが出没。注意喚起の看板が立てられています。
近隣住民が撮影したクマの映像です。住宅地の田んぼを走っています。
自宅の倉庫でクマと鉢合わせたという60代の男性が、恐怖の瞬間を語ります。
「(Q.クマが目の前に?)ここです。ここに来ました」
「(Q.どちらからクマが?)こちらから走ってきた。私と目があった。私がここに座っていて、バッと来てバッと立ち上がった。前脚をあげてバアッとやったらカタカタ…と逃げたので、そのまま私が後ろにひっくり返った。だから腰がまだ痛くて」
クマは、住宅が立ち並ぶ通りから現れたといいます。
観光地にも、クマの脅威が迫っています。
「びっくりした。まさかこんな所で見かけるとは思っていなくて」
日本一長い、木造の三連太鼓橋である「鶴の舞橋」から撮影されたのは、ため池の水面から顔を出して泳ぐクマです。このまま岸まで泳ぎ、森に消えていったといいます。
「『なんでここにいるの』という思いと、(観光客を)安全に避難させるのと通報することが頭に浮かんだ」
なぜ6月にクマの被害が多発?
札幌市の市街地では、母グマが子グマを連れて道路を歩く姿が確認されています。
クマの繁殖期である6月から7月は、特に注意が必要だと専門家は警鐘を鳴らしています。
「子持ちのメスグマはこの時期、発情したオスから逃げるために、人間の生活する場所の近くにすむ傾向があることが最近の研究で分かってきている。人身事故が発生しやすくなっている可能性があるので注意が必要」
山に生息するオスグマが、繁殖期に行動範囲を広げることで、親子のクマや若いクマが市街地に入り込んでくるといいます。