家の中に侵入してまで人を襲う事態になっているのは、なぜなのか。専門家は「きっかけは2年前にある」と指摘します。
クマに襲われ女性死亡
宮城県大崎市。木にのぼり、クマが何かをむさぼっています。この様子が撮影されたのは、撮影者の自宅の庭でした。
岩手県北上市で撮影された映像。家の外壁のすぐそばを、一頭のクマが徘徊(はいかい)しています。実はこの地域、23日連続でクマが出没。今月7日も。
「あそこから(クマが)ヒョッと出てきた。見ました」
午前6時ごろ、住宅の倉庫の壁がはがれているのが見つかりました。
「ここからバリバリ剥がして、ゆうべも全然眠れなかった」
動物の爪で引っかかれたような傷があり、クマによる被害とみられています。
町内の別の場所でクマを見かけた人は。
「黒い犬みたいな感じのものが(畑付近を)走っていて、よく見たら『クマじゃないか』。早く家に入らないと、気付いてこっちに来られたら困ると思って、とりあえず(畑の)作業はやめた。たぶん1メートルくらい子グマではないと思う」
先月27日には北上市内の市街地にある高校でクマ騒ぎが…。クマは開けっ放しの校門から入り、自転車置き場をうろうろ。グラウンドの脇を通り過ぎていきました。
連日クマが出没している北上市。犠牲者が出る事態も起きています。
4日、この家に住む高橋成子さん(81)がクマに襲われて亡くなりました。実家を訪ねた息子が、居間で血を流して倒れている高橋さんを発見。頭や全身には、動物の爪による傷が多数あったといいます。つまり、クマは家に侵入したとみられるのです。
6日、そして7日もクマの目撃情報が相次いでいる北上市。実は女性が死亡した前日にも、家の中にクマが侵入するケースがありました。
「大きいよね、大きかった。『うわー』とかそんな感じで背を向けて、よく逃げたと思う。あとは2階でカギをかけて警察に電話して来ていただいて、(クマは)出て行った」
住人が持っているのは、コメ袋です。家の中に置いていたコメを食い荒らされました。
なぜ家に侵入?きっかけは2年前
岩手県北上市の件に加え、この春、長野県でも住宅にクマが侵入。男女3人が襲われ、うち男性2人が重傷を負っています。なぜ、クマは家の中にまで入ってくるのでしょうか。
「かなりフェーズが上がって近年まれにみる危険な状態」
専門家はクマの被害が頻発した一昨年がきっかけの一つと指摘します。
親子が生活して、家畜のエサや街路樹のものを食べ、かなり人里に執着した個体が増えた」
家の中にまで現れるクマ。栃木県那須塩原市でも、人間に慣れているような姿が撮影されています。これはひと月ほど前に撮影された映像ですが…。
「やられたのは上のほう」
85歳の君島宏さんは6日、自宅のすぐ近くで草刈りをしていたところクマに襲われました。
「(Q.気配は?)感じなかった。『ああっ!』と思ったあと何だと思ったらクマだった。わっと声出したら一目散に逃げていった」
男性の尻には歯型のような痕が残っていたといいます。
2年前、エサを探すため人里に出てきたクマ。専門家によると、そのクマの子どもが人間の社会に慣れたまま成長し、子離れの時期である、この7月ごろに多く出ているケースもあるということです。
「クマの子どもからすると、里周辺=生活の一部。人間の生活音、車の音、しゃべり声、非常に鈍感。人を怖いと思わない。エサを探している間に家の中、倉庫、人気のない所に入り物色した。『建物の中においしいものがある』『壊して中に入れば何かある』と学習している。長引けば長引くほど、どんどんどんどん学習してしまう。早く捕まえること、個体を特定することが重要」