埼玉県八潮市で道路が陥没し、トラックが転落した事故から半年が経ちました。
現場では今も復旧工事が続き、周辺の住民は、下水の臭いや騒音など、様々な問題に悩まされています。
■埼玉・八潮市 陥没事故現場のいま 全面復旧に5年から7年
2025年1月、下水道管の老朽化によって道路が陥没し、トラックが転落しました。
5月には下水道管に取り残されていた、74歳の男性運転手の死亡が確認されました。
陥没事故の現場は、今も半径約200mの範囲で立ち入りが制限されていて、月曜日から土曜日まで大規模な土木工事が続いています。
道路の全面復旧について、埼玉県は、下水道管の仮復旧は12月までに、道路の埋め戻しは2026年3月までの完了を目指しています。
下水道管を複線化して全面復旧するまでには、5年から7年かかる見込みです。
■住民の苦悩「臭いきつい」「騒音ひどく精神的不安も」
周辺住民の生活です。
近隣住民の悩みの一つが悪臭です。
「下水の臭いがきつい。朝起きた時、気分が悪くなったり、めまいや頭痛がする」
「週に3日〜4日、アンモニアのような臭いがする。外に出ると気持ち悪くなる。建物の中に臭いが入ってくることもある」
この悪臭はいつまで続くのでしょうか。
埼玉県によると、埋め戻し完了予定の2026年3月までは、現場周辺の悪臭は続くとみられています。
そして、騒音です。
「騒音がひどい。長期間続くと精神的な不安も大きくなる」
「交通規制で家の近くの交通量が多くなり、騒音で子どもが夜起きてしまう」
7月30日、取材をすると、事故現場から約200m離れた場所で、一時的に70デシベルを超えることもありました。
70デシベルは、『電車やバスの車内』や『近くに掃除機や目覚まし時計』があるような状況です。
交通規制も飲食店を悩ませています。
「通行止めが続き、例年と比べて、客が半分に減っている。飲食業への影響は非常に大きく、厳しい状況」と話しています。
■近隣住民への補償「前例ない事故」悩む担当者
住民への補償です。
県道が陥没したため、埼玉県が補償することになっています。
2025年6月、埼玉県は、工事の振動で住宅に被害が出た場合や、交通規制で売り上げが減少した場合を想定して、補正予算を組み、補償費用4億円を確保しました。
補償の開始については、周辺住民を対象に被害状況も個別に聞き取っていますが、支払いは始まっていないということです。
「前例がない事故で、どこまでを補償すべきなのか判断が難しい」と話しています。
では、今後どうなるのでしょうか。
県の第三者委員会は、陥没が起きた原因の究明を進め、2025年の夏に中間報告をまとめる予定です。
「補償等に活用できる予算を認めてもらっているので、地元の方々と協議を早急に進めたいと考えている」としています。
■全国で下水道感が老朽化 政府の対応は?
道路陥没の原因の1つが、下水道管の老朽化です。
全国の下水道管の総延長は約49万km、地球12周分に相当します。
このうち耐用年数とされる50年を超えているものは、総延長の約7%です。
老朽化した下水道管は今後も増えます。
設置から50年を超える下水道管は、10年後には約19%に、20年後には約40%になります。
下水道の老朽化への政府の対応です。
設置から30年以上経過した、直径2m以上の約5000kmの下水道管を対象に、2030年度までに改修を完了させる予定です。
老朽化する上下水道などに、今後5年間で、10兆6000億円程度を充てます。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年8月1日放送分より)










