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2025年8月12日 16:00

猛暑が老化を早める!?認知機能低下も?暑さに強い体づくり カギは"体温調節"

2025年8月12日 16:00

猛暑が老化を早める!?認知機能低下も?暑さに強い体づくり カギは
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この夏、群馬県伊勢崎市で 国内最高の41.8℃を観測するなど 40℃超えが各地で続出しています。

最新の研究で猛暑で老化が加速する可能性が指摘されています。
暑さが身体に与える影響について見ていきます。

■40℃超え続出の日本列島 熱中症も最多ペース

8月に入り気温40℃超えが続出しています。

8月5日、群馬県伊勢崎市では観測史上1位酷暑となる41.8℃
この日は、全国で40℃以上を観測した地点が14と、統計史上最多となりました。

これまでの歴代最高気温は、2018年の埼玉県熊谷市と、2020年の静岡県浜松市で観測した、41.1℃でした。

7月30日、兵庫県丹波市柏原で41.2℃を観測し、5年ぶりに記録を更新。
8月には、埼玉県と静岡県で41.4℃、群馬県桐生市で41.2℃を記録しました。

熱中症による救急搬送の状況です。

2025年の5月から8月1週目までに、全国で6万2633人が搬送されました。
過去最多の搬送者数となった2024年の同じ時期と比べて約1500人多い状況です。

東京の年齢別・重症者数をみると、
5月から8月4日までの重症者120人のうち、
70代以上72%と最も多く、次に60代が11%、50代が7%でした。

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■猛暑で老化!?最大1年2カ月加齢進む 湿度もリスクに

2月に発表された南カリフォルニア大学の研究です。

猛暑は老化を早める可能性があるという研究です。
調査は56歳以上の約3700人の血液を採取・分析して、生物学的年齢を推計して行われました。

生物学的年齢とは、細胞や体をコントロールする遺伝子を調べると分かる、加齢の進行です。
実年齢よりも生物学的年齢が高い場合、老化が進んでいるとみなされます。
疾患や死亡リスクが高くなります。

研究では、調査対象者が住んでいた地域の過去6年間の暑さを分析しました。
暑さの指標として使ったのは、体感温度です。
例えば気温30℃で、湿度が30%だと、体感温度は28.8℃と低くなります。
一方、同じ気温30℃でも、湿度が60%だと体感温度は32.9℃と高くなります。

この体感温度が32.2℃以上の日数。
色が薄いほうが32.2℃以上の日が少なく、濃いほうが32.2℃以上の日が多いです。
北側は年間10日未満の場所が多く、南部は140日以上の場所も多くあります。

暑さと老化の関係です。

体感温度32.2℃以上にさらされた日数が年間10日未満だった人と比べて、
年間140日以上さらされた人は、最大で1年2カ月生物学的年齢の老化が進んでいました。

研究をした博士です。
結果について、暑さの影響の一部は長期間蓄積され、老化に繋がる可能性があるとしています。

「特に高齢者は汗をかきにくく、体を冷やす能力が低いため、気温湿度の組み合わせが問題。リスクを本当に理解するためには、自分の住んでいる地域の気温と湿度を把握する必要がある

2024年の日本で、体感温度が32.2℃以上だった日数です。

大分県日田市は年間105日です。
10年前と比べて45日増えています。

京都は年間90日。
10年前から31日増えています。

東京は年間87日。
10年前から46日増えています。

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■体温冷却システム 気温・湿度高すぎて効果減 対策は?

体温をさげるシステムです。

皮膚の血管で冷却しますが、弱点もあります。
人間は、外気で血液を冷やし、体温が下がります。
しかし、外気が体温より高いと体温は下がりません

汗です。
汗が乾く時に熱を奪うため、体温が下がります。
しかし、湿度が高いと、蒸発しにくく、体温が下がりません

暑さと身体への影響を研究している、早稲田大学人間科学学術院・名誉教授の永島計さんです。
一番大事な体温調節機能は『汗』。湿度が高いと、体温調節機能には不利になるため、日射しを防ぐ、風を利用する、エアコンを使い室温を下げるなど、他の体温を下げる工夫を最大限に利用するしかない」
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■猛暑で認知機能低下の可能性 脳細胞損傷リスクも

猛暑に関する認知機能への影響も分かって来ました。

アメリカのニューヨーク大学の研究チームは、2023年8月、猛暑と認知機能低下との関連について発表しました。
調査の対象となったのは、52歳以上のアメリカ人、約9500人です。
この調査では、2006年から2018年の12年間にわたって、対象者の認知能力を測定し、
さらにアメリカの気象データから、対象者が猛暑にさらされた累積量を計算したといいます。

その結果、猛暑対策が不十分な貧困地域で、認知機能低下との関連性を確認したいいます。

具体的には、貧困地域の住民の中で、猛暑にさらされる量が少なかった人は、
65歳から85歳までの認知機能低下率が、29%だったのに対して、
猛暑にさらされる量が多かった人の認知機能低下率は、37%と、8ポイント高く、
さらに低下速度も速かったことが分かりました。

認知機能低下の理由について、ニューヨーク大学の研究者は、
猛暑に長期間さらされると炎症が促され、脳細胞が損傷する可能性があるとの見解を示しています。

また研究者は、
慢性的なストレスや社会孤立の深刻化なども関係している可能性がある」とも指摘しています。
暑さとの関連について、永島さんは、
「暑さで極度に体温上昇すると、一番障害を受けるのは、血液凝固に関わるたんぱく質」だと指摘しています。

血液内のたんぱく質は、血が固まるのを調整する役割がありますが、脱水症状などで血流が悪いうえに、たんぱく質に熱の影響が加わると、血液凝固を起こすといいます。

暑さで認知機能が低下する要因について、永島さんによると、
極度の高体温で血栓ができると、脳梗塞などを発症しやすくなります。

脳梗塞が原因で、十分な栄養や酸素が行き渡らなくなると、
脳の神経細胞が壊死し、血管性認知症を発症する恐れがあるということです。

永島さんです。
「認知能力の低下は、生活の質や基礎疾患なども関係。暑さが慢性的になると、ストレスや疲労の蓄積から自律神経が乱れ、基礎疾患の悪化やもともとある認知機能の低下が進行する」ということです。
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■暑さによる老化を防ぐ カギは体温調節 牛乳が効果的!?

老化をしないための暑さに強い体のつくり方です。

永島さんによると、
「暑さに強い体をつくるには、体温調節がカギとなる」ということです。

身体の中心温度は、通常37℃前後です。
体温調節機能は、呼吸や汗で体温を維持し、
体温調節機能が低下すると老化につながるという事です。

体温調節機能の整え方を見ていきます。

1つ目、『運動後の飲み物』です。
運動後は牛乳が良いそうです。
血液量の増加を促します
血液量の維持は体温調節に重要で、室内での運動後などに牛乳を飲むと効果が上がります

2つ目、『汗の拭き方』です。
正しい汗の拭き方は、体の汗を完全に拭かないことです。
汗を拭きすぎると体温調節に必要な分の汗も取り除いてしまうためです。

3つ目は、『服装』です。
肌は太陽の照り返しで熱を吸収しやすいので、
服装は肌を隠し、風通りのよい袖口や首元が開いた服がおすすめです。
服で遮光すると、熱の影響が小さくなります。

4つ目は、『入浴法』です。
半身浴が良いそうです。
心臓などに負担をかけず、長期的に中等度の熱の負荷を与えることで、発汗機能が上昇します。

永島さんです。
コミュニティーの維持も重要な熱中症対策になる。体調のささいな変化に気づき合えるように、近所へのあいさつや知り合いとの電話が大切

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年8月11日放送分より)

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