熊本では冠水や土砂崩れなどの被害が出ていて、これまでに男女2人が心肺停止の状態で見つかりました。そして、3人の安否が不明となっています。
濁流で水没 寸断孤立の街
熊本県上天草市の住宅街。濁流は生活道路を川のように流れていきます。
「朝7時ごろに起きたら雨が降っていたので。まさか、この大雨でどうにもなっていないよねと出てみたら、もう動画のような状況になっていて」
腰の高さほどある住宅の石垣が、大雨の影響でほとんど水につかっています。
「水位の上がり方が尋常じゃなかったので。20センチくらい1時間で一気に(水位が)上がる感じだったので。率直に言うと、もう終わったなって感じでしたね。もう逃げられないという感じです」
上天草市内を走る道路も濁った水に覆われていますが、みるみるうちに濁流が押し寄せ、わずか30分で水没してしまいました。
この写真では道路一帯が泥水に覆われ、少なくとも5台の車が完全に水没しています。
上天草市では1時間に100ミリ以上の猛烈な雨が降り、至る所で道路などが冠水。市内を走る車から撮影された動画には、運動公園付近が泥水につかった様子が捉えられていました。
その施設の中を撮影した写真では、体育館が湖のようになっていました。写真を撮影したのは、男性の9歳の娘だといいます。
「きのう(10日)から子どもが2号橋の先で合宿しているんですよ。孤立している状態」
娘の合宿中に大雨に見舞われ、その後土砂崩れで合宿先に向かう国道が寸断。11日に、孤立状態になりました。
土砂崩れが発生した道路には、長い車列ができていました。
この土砂崩れで乗用車1台が巻き込まれ、乗っていた女性が軽いけがをしたということです。
山肌があらわになり、その下には大きく傾いた住宅。複数の車が壊れています。
熊本県甲佐町では、避難途中の車が土砂に巻き込まれました。
「まさか、こんなところで崩れると思いませんしね」
母親と子ども2人が救助されましたが、車の外にいた父親の行方が分からなくなっています。現場からは男性1人が救助されましたが、心肺停止の状態です。
また八代市では、用水路に落ちた車から高齢の女性が心肺停止の状態で発見されています。
懸命救助で避難 生業にも深刻被害
熊本県内で最も多くの雨が降った玉名市。防災士の資格を持つ撮影者が向かったのは、浸水被害のあった建物。激しく降る雨、水位は胸の高さまで達しています。
「何人おるか分かる?」
「中に3人」
「取り残されている?」
「避難されて」
「了解」
店内に取り残された客を救助に向かいます。
「車が交差点に止まっているんで、その近くまで逃げてください」
緊迫の救助の末、取り残されていた全員が無事に避難することができました。
「今を逃すと逃げられなくなるので、流されないようにして、みんなで逃げるぞと」
大雨特別警報が出された玉名市。一日に降った雨の量が453.5ミリと、観測史上最大を記録しました。
「とうとう店の中まで浸水しています」
「心折れています。畳が揺れまくっています」
浸水被害に遭ったのは、330年以上続く老舗の呉服店。
「ぐちょぐちょと、びちょびちょです。振り袖ですね」
被害に遭った着物の数はおよそ100点。
「相当な(被害)額になる。ただ人的被害がなかったので、何とか頑張れるのかな」
一方、市内にあるスーパーでは店内に大量の水が流れ込み、商品が水に浮かぶほどの深刻な状況に陥りました。
市内を流れる境川では午前0時すぎ、「人が流された」と通報がありました。捜索は続いていますが、発見には至っていません。
住民恐怖「地響きのよう」
山あいにある美里町。町は土砂に埋もれていました。
11日午前2時すぎの映像。画面奥の橋には流木が引っ掛かり土砂が堆積。そこから水があふれ出ました。
町全域に緊急安全確保が出されたのは、午前5時前です。
「うちもこのまま逃げないと危ないっていうけど、この辺が水浸しだったもので、垂直避難で家族全員2階のほうに避難して」
橋を直撃した大木。濁流は欄干をも破壊し、住宅地にあふれ出したのです。
泥に足を取られながら工場の後片付けをしている男性。被害の大きさに言葉もありません。
繁華街 豪雨直撃で深刻被害
観測史上初めて6時間で300ミリに迫る雨を記録した熊本市。ビルの地下に入る飲食店も、瞬く間に飲み込まれてしまいました。
11日午後2時、地下が冠水したビルを尋ねました。
数時間かけて排水作業が行われていますが、なかなか水が抜けず…。午後6時、ようやく地下へ降りられるように。しかし水圧でシャッターが変形し開かなくなっていました。
バールでこじ開け中をのぞくと、この光景。オープンからわずか2年の店内。カウンターにはイスが並べられていましたが、イスは散乱し、変わり果てた状態に。
「ここまでくるの、そんなひどいと思わなかった、まさか。もう泣きたい気持ち。しばらく営業できない状態。みんなで協力してやってきたのに今回の水害でメチャクチャに。もうダメかな」
地下に倉庫があった酒店のオーナーも被害は甚大です。倉庫に保管していたお酒のほとんどが水に浸かってしまったといいます。
「(Q.どれくらいのお酒があった?)大体金額でいくと、すべてだと2000万円くらい」
「(Q.2000万円、全部水浸し?)ですね」
「(Q.商品としては?)買います?買わないでしょ。そういうことです」
県の対策本部によると、この大雨で市内では川に流された2人の安否が分からなくなっています。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月12日放送分より)