連日の暑さで外来種が大量発生。コメ農家を悩ます事態となっています。水路を覆う水草、新米の価格はどうなるのでしょうか。
新米ピンチ 価格どうなる
こうべを垂れる稲穂。待ちに待った新米の時期がやってきます。
コメどころ・新潟などでは、今月すでに収穫時期が早い「極早生(ごくわせ)品種」のイネ刈りが始まっています。
本格的な新米シーズンが目前に迫る今。コメの店頭価格は、いくらになっているのでしょうか?
千葉県内のスーパーのコメ売り場では、お買い得品として千葉県産コシヒカリ5キロ3999円、税込み4319円で売られています。4000円台前半です。
ただ、新潟県産のコシヒカリは5キロで4622円。茨城県産のあきたこまちは4643円、4000円台後半となっています。
「4000円台はちょっと高いと思う。コシヒカリ、ゆめぴりか、はえぬき、銘柄米を以前は食べていたが、今は複数原料米」
「私は安いコメはどんな味なんだろうと思って食べている。カリフォルニア米、日本のコメと大して変わらない」
全国のスーパーのコメの平均価格は、5キロあたり税込みで3625円。割安な備蓄米の放出などの影響で値下がりが続いていたなか、値上がりは5月中旬以来10週ぶりでした。
そして、12日午後4時半ごろに発表された平均価格は、5キロあたり3542円。再び値下がりしたものの、備蓄米が平均価格に与える影響は薄れてきています。
「今は備蓄米を使っている。わざわざ高い金を出して(銘柄米を)買わなくていい。安く手に入るコメがあるなら。備蓄米と同じくらいか、その前後にならないと新米とはいえ買わないと思う」
新米は間もなく入荷する予定だといいます。気になる価格は?
侭田由美店長
「3000円台後半、新米のほうが安くなるかもしれない。できるだけ安く仕入れて安く販売することを心がけている」
“最悪の侵略生物”正体は
その新米の生育はどうなっているのか、千葉県のコシヒカリ農家を取材すると、ある“侵略者”によって、ピンチに陥っていました。
刈り取りを間近に控えた、稲穂の根元にびっしり生えた植物。特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」です。
「茎のところから根が出てどんどん繁殖」
南米原産のナガエツルノゲイトウ。その繁殖力はすさまじく、除去したとしても、ちぎれたわずかな茎から再生し、水質汚染や生態系へ影響を及ぼす「地球上最悪の侵略植物」とも言われています。
「あと10日くらいで稲刈りの時期、これが(稲刈りの)機械に入ってしまい目詰まりしてしまう。農家としては大変なこと。養分もとられる。イネに行くべき養分が雑草にとられるので、このナガエ(ツルノゲイトウ)は本当に農家の敵」
空から被害見てみると
周辺の田んぼにも生育範囲を広げていると言う、“緑の侵略者”一体どこから、侵入してきたのか、農業用水が流れてくる千葉県の印旛沼へ向かうと。
「これが見ての通りのナガエツルノゲイトウ。農業用水をここから取水して水田に水を送っているが、この中の切れ端が用水と一緒に田んぼの中に入ってしまう。(田んぼの)脇にある水路、全部の場所、距離にしたら何キロという距離感で草が生えている」
もともと水が見えていた水路は12日、ドローンでみると一面緑色に染まっていました。田んぼのすぐそばを流れているはずの水路は、何百メートルにも渡り隙間がないほど埋め尽くされています。
このように瞬く間に繁殖することから、有効な対策がないことも特徴の一つです。
「ナガエツルノゲイトウに効く除草剤もあるが、水の所にかけても全く効果がないので、こういった所は手で取る重機で取り除くしか、今のところない」
新米襲う“緑の侵略者”
こうした被害は今、各地に広がっています。
兵庫県加古川市の住宅街の近くを流れる川を見てみると、川の幅いっぱいに水草が生い茂ってしまっています。
国内では、兵庫県で初めて見つかったナガエツルノゲイトウ。その後、生息範囲を拡大し、現在29都府県で確認されています。
外来生物駆除の研究をしている国立環境研究所の五箇公一特命研究員によると、この夏の時期、水辺以外でも注意が必要だと言います。