記録的な大雨となった熊本県。上空から見ると浸水や土砂災害など大雨による被害がよく分かってきた。水田が広がる地域では広い範囲に渡って冠水し、農作物にも深刻な被害が出てきている。
空から見た爪痕 土砂崩れ…寸断道路
7つの市と町に11日、大雨特別警報が出された熊本県。国土交通省のヘリが12日、上空から調査。甚大な被害の実態が見えてきた。
熊本県のほぼ中央に位置する甲佐町。山から崩れた土砂が木々をなぎ倒し住宅の敷地へ流入。直撃を受けたとみられる建物が倒壊し、付近の道路も土砂で寸断されているのが分かる。
72時間の降水量が500ミリを超えた甲佐町では、複数の場所で土砂崩れが発生。別の場所でも、山の斜面が大きくえぐられ土砂とともに滑り落ちた木々が辺りに散乱している。
さらに土砂崩れによって、至る所で道路が寸断。甲佐町では家族4人で車で避難していた57歳の男性が土砂崩れに巻き込まれ、12日に死亡が確認された。
甲佐町に隣接する美里町でも土砂崩れが発生。土砂で倒された木々が、住宅の敷地に流れ込みガレージとみられる建物に倒れ掛かっている。
御船町でも土砂によってなぎ倒された木々が住宅の敷地内に流れ込み、直撃したとみられる建物が倒壊している。
土砂の住宅敷地への流入は天草市でも。土砂災害は広範囲に及んでいる。
上空からは浸水被害も確認でき、72時間の降水量が400ミリを超えた上天草市では、雨が峠を越えた12日も道路が冠水しているのが分かる。
コンクリートで覆われている図書館や体育館の敷地も、茶色く濁った水で冠水。陸上競技場の南側で、池のようになっている場所は普段は田んぼや畑が広がっていた所だ。
熊本県では12日、八代市の用水路に落ちた車から見つかった高齢女性の死亡を確認。また熊本市で川に流された2人の安否が分かっていない。
泥かぶった稲穂 収穫どうなる
熊本を襲った記録的大雨により、各地で水田も冠水。茶色く濁った泥水がたまり、まるで池のようになっている。コメなどの農作物にも大きな被害が出ている。
11日にかけ、12時間で平年8月の倍以上の雨が降った玉名市でも水田が冠水。この高さまで冠水したのか、泥で汚れた稲などがガードレールに巻き付いていた。
川が氾濫したと思われる場所では、ごみや木々などあらゆるものが橋げたに引っ掛かっていた。畑も泥をかぶっていて、泥水が流れていったというのが如実に分かる。さらには、稲穂がなぎ倒されたように同じ方向に倒れていた。
家族が水田を見てきたという女性はこう話す。
「(Q.田んぼは大丈夫?)真っ白け。泥水でつかってしまいました」
「(Q.稲穂が泥水かぶると)ちょっと、ですねぇ」
「(Q.ちょっと心配ですね)はい」
収穫の時期が迫っていたなかでの冠水被害。
「泥をかぶっている水田も見受けられますので、(収穫は)減少するのかなと心配しております」
すでに穂が出ている稲は、泥をかぶってしまうと刈り取りが難しく、収穫することができないという。
「収穫目前というなかで、この状況ですので、やはり1年間かけてやってきたというなかで、たった一日にしてこのような被害になるのは、誰も想像しておりませんでした」
無農薬でコメの生産をしている玉名市の縄田伊知郎さんの水田でも大きな被害があった。
玉名市で、コメ作りを始めて15年になるという縄田さん。これだけ激しい雨やがけ崩れは、これまで経験がないという。
激しい雨だったことを物語るように水没してしまった水田もある。
水が激しく流れ込んでいるこの場所。本来は橋が架かる小さな川。上流で水があふれ、水田が冠水。川に逆流している状況だったという。
「うちは本当に多分、被害はそんなに。問題はやっぱり土砂が入ったり、上流部のごみみたいなものが流れ込んだ所は、土砂が稲を全部倒していたりとかですね。そこはもう今回、復旧ていうのは難しいですね」
冠水した水田の復旧に関しては…。
「生育が遅れたりとか、いろいろ出てくる可能性もあると」
泥が入ってしまったことで、肥料を含んだ土が変化。来期以降の生産にも影響が残る可能性があるという。
出荷目前のエノキタケ 被害額1000万円
冠水による被害は他にもある。玉名市でエノキタケを生産している工場では、出荷目前のエノキタケがすべて廃棄になった。
「(Q.これはすべて廃棄?)はい、もう商品にならない」
その原因は。
「高圧変電設備。この辺まで中が水ですね」
変電設備が浸水被害に遭い停電に。冷蔵室の温度管理ができなくなり、エノキタケが傷んでしまったという。さらに、段ボールに梱包され出荷目前で水没してしまったエノキタケも廃棄になってしまった。
「(Q.損害は?)もう数百万、1000万近くぐらい。応援してくれる方がいますので、なんとかしなきゃいけないなって。少しずつですけどもできる限り頑張っていきたい」
復旧作業襲う暑さ 相次ぐエアコン故障
大雨から一転し、復旧作業は厳しい暑さとの戦いとなっていた。熱中症の危険もあるなかでの作業で大切なのは水分補給。しかし、被災地では今も断水が続いている地域がある。
猛暑のなか、給水所から重いタンクを運ぶ住民。家の中には断水のため洗えずにたまった食器があった。
「出ない」
「(Q.いつから?)きのうから出ない」
熱中症から命を守るために水と共に欠かせないのが、エアコン。しかし、被災地では故障が相次いでいるという。原因は室外機の浸水。八代市内の自宅の室外機には浸水被害の影響で葉っぱなどのごみが…。
「きのう夜初めて使って、最初はちょっと良かったけれど、10分くらいで切れて使えなくなって修理も頼んだけど『相当日にちがかかります』と」
修理業者には多くの依頼が舞い込むが、すぐに対応できない事情がある。
「お盆で配送が止まっているので(修理に)時間がかかる。タイミングも結構最悪なタイミングでキツいですね。全部(の依頼)に応えるのは」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月13日放送分より)
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