各地で花火大会が開催され、大勢の人で賑わっていますが、8月に入って、兵庫県淡路市と横浜市の大会で2日続けて事故が起きました。
事故の背景に何があるのでしょうか。
花火業界の人手不足や高齢化といった課題や、変わりゆく花火大会の最新事情についても、見ていきます。
■花火大会 各地で相次ぐ事故 暴発はなぜ起きた?
花火大会の事故が続きました。
8月4日、横浜市のみなとみらいの花火大会で、船上から打ち上げる花火の一部が適正な高度に達せず開花して、火が資材や機材、ほかの花火に引火したため、中止となりました。
実行委員会は第三者委員会を立ち上げて、詳しい原因を検証します。
前日の8月3日には、兵庫県淡路市で、船上から打ち上げる花火が筒の中で暴発して、破損した筒の破片の一部が他の筒に刺さり、中止になりました。
打ち上げを担当した業者が、詳しい原因を調べています。
この2つの事故の、考えられる原因が、『筒ばね現象』というものです。
製品不良で玉が筒に引っかかったり、火薬の不足によって、筒の中で暴発するということです。
「過去の例では、輸入品に製品不良が多く、事故につながる要因としては、人手や技術継承の不足も考えられる」ということです。
■経済効果は大 一方で資金&人材難で中止も
花火大会が抱える課題です。
そもそも、花火は、12世紀ごろ、中国から爆竹などが花火として、中東を経て、ヨーロッパに渡りました。
14世紀には、イタリアのフィレンツェで、キリスト教の祭りに利用され、その後、ヨーロッパ各国に広まりました。
日本には、16世紀の戦国時代に、火縄銃とともに火薬が伝来して、その後、江戸時代から花火が登場しました。
※諸説あります。
全国の花火大会の経済効果は、2023年で、約2兆2590億円です。
一方で、資金や人材確保の課題もあります。
岩手の三陸花火大会は、5月4日開催予定でしたが、資金確保や運営体制が整わず、中止。
大阪の猪名川花火大会は、例年8月に開催されますが、安全対策にかかる警備費などが高騰しているため、開催見送りとなりました。
■令和の花火師事情 コロナで人手不足に 収入&生活は?
花火を打ち上げる花火師の現状です。
花火師とは、花火に関する一定技術を習得し、『花火師の資格』である『煙火消費保安手帳』を交付された、花火会社の関係者のことを言います。
求められる『資質』は、
●かなり重労働のため、体力的に頑健な人、
●危険物の火薬類を取り扱うため、性格的に責任感のある、慎重で注意深い、何事にも関心を示す研究心旺盛な人、
「特別な学歴・技術は不要。必要なことはやる気と体力」ということです。
「花火業界は、コロナ禍に全く仕事がなくなり、失業し、他の業種に行った人も多い。製造から打ち上げまですべてできて一人前と呼ばれるが、4〜5年かかる。ベテランの職人がなかなか戻っていないとも聞くので、人手不足の傾向にはある」ということです。
花火師の仕事です。
●花火大会の花火の製造・打ち上げ、
●おもちゃの花火の製造、
●舞台やコンサートの花火を扱う、
●個人のプロポーズで花火を打ち上げ、
など、いろいろあります。
花火大会までの花火師の1年です。
夏が、繁忙期です。
秋に、翌年の夏に向けて花火の仕込みを始めます。
冬は、クリスマスやカウントダウンの花火の打ち上げなどがあり、意外と忙しいです。
花火は乾燥させる必要があるので、雪が降る地域では、製造や管理が難しいということです。
湿度が低い春先から梅雨前の5月ごろまでに花火の製造が集中しやすいということです。
花火師の収入です。
年収は、全国平均で536. 5万円。
「花火1発いくらという考え方ではない。花火会社の正社員になれば月給制になるが、夏場だけ臨時でアルバイト的にやっている人も。普通のイベント関連の仕事と同じ」といいます。
「昔はいい加減だったが、今はキャンセル料が段階的に決められている」ということです。
花火大会の人手不足をどうカバーしているのでしょうか。
「現場の人員が社員だけで足りない場合は、『臨時の人』に来てもらう。正社員ではないが、花火師の資格を持っている人に呼びかける」
■変わる花火大会 有料席増加 目隠しフェンス設置も
変わりゆく花火大会の最新事情について、見ていきます。
そもそもの花火玉の構造です。
中は、いくつかの火薬が層になっていて、『星』と『割火薬』というものが詰められています
『星』は、光や色彩、煙を出す部分で、火薬に含まれた金属の粉が化学反応を起こして、色を出します。
『割火薬』は、その『星』を飛ばすための火薬です。
花火の高さと大きさです。
3号玉が標準で、120mの高さまであがり、直径は100mです。
5号玉は、200mまであがり、直径150mです。
10号1尺玉は、東京タワーと同じぐらいの300mまで上がり、直径280mです。
日本一の大きさは、世界でも最大級の40号4尺玉です。
高さ800m、直径800mで、スカイツリーよりも高くあがります。
9月12日、13日の新潟の片貝まつりで見られます。
花火の単価です。
5号玉が1万5000円〜2万円。
10号1尺玉が、10万円〜15万円。
5年前の約2倍です。
『日本三大花火大会』のひとつ、長岡の花火大会は、毎年8月2日と3日に開催され、2025年は、34万人が観覧しました。
長岡空襲から80年、中越地震から21年、慰霊と復興祈願、平和への祈りが込められています。
大会の経費は、約18億円。
花火打ち上げ費、約3億円。
会場設営費、約4億5000万円。
安全対策費や交通対策費で、約4億6000万円。
人件費、約1億円などです。
収益です。
全席有料席で、2000円から4万8000円で販売され、売り上げは合計約12億5000万円。他に、協賛金が約3億4000万円などです。
「トラブルや安全確保のため、警備員の数や設備にかかる費用が年々増加。大会継続のために、心苦しいが、有料席を設けている側面もある」と話しています。
有料席を導入している花火大会は、全国の主要な花火大会106大会中83大会、約8割が導入しています。
一般席の平均価格は5227円で、前の年から1. 8%高くなりました。
プレミアム席の平均価格は3万6193円で、前の年から7. 2%高くなっています。
関西最大級の花火大会『びわ湖大花火大会』は、1984年から開催され2025年で39回目。
打ち上げ数は、約1万発です。
有料席は6万4000席で完売。
最高は、10万円の席です。
周辺の道路には、4mの目隠しフェンスが設置されています。
立ち見の滞留による、事故やトラブル防止措置です。
周辺は、立ち見禁止、駐車禁止です。
「正直、ちょっと邪魔かな。家の屋根の上から見ているが、湖面が見えず迫力が下がる。地元の意見としては、フェンスを無くしてほしいが、主催者側は利益を出したい部分もあると思う」と話しています。
■最新花火 音楽・ドローンと融合 世界と日本の“違い”とは
最新の花火大会は、ドローンとの融合です。
ストーリー性と見た目のインパクトを高めます。
こうしたことによって、協賛や資金集めの改善、集客数の増加につなげています。
花火の世界大会もあります。
モントリオール国際花火競技大会は、毎年6月〜7月に開催され、2024年は、秋田の大曲チームが銅メダルを獲得しました。
2025年は、札幌チームが出場、結果は、金賞フランス 銀賞はスイス、銅賞はイタリアでした。
世界と日本の花火の違いです。
日本は、球体で大きく球形に広がり、途中で色が変わるなど、芸術的です。
海外は、花火玉が円筒型で、一定方向に飛んで、色は変化しません。
音楽とシンクロさせるのが主流です。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年8月14日放送分より)