13日午後10時すぎの大阪・関西万博会場の様子。大勢の人が滞留している。夜、万博会場と大阪市内を結ぶ大阪メトロ中央線が一時全線で運転を見合わせ、帰宅できなくなってしまった人が万博の会場で一夜を過ごすなど、影響が14日朝まで続いた。
地下鉄停止で急きょ、会場を再び開放
13日午後9時半ごろ、万博会場最寄りの夢洲駅前の様子。この時はまだ人が流れているように見えるが、10分後、夢洲駅の入り口には人だかりが。
そして午後10時ごろ、駅の外には人があふれかえっている。
「情報全然なくて様子がおかしいなと思ってて、ネットで調べたら故障かなんかって」
「西ゲートならバスもあると思うけど、タクシーも繋がらない状態。どうしようか、帰る方法がないなって状態」
午後9時28分ごろ、大阪メトロ中央線がコスモスクエアー大阪港駅間での設備点検の影響で、万博会場の最寄り駅の夢洲から長田駅間で運転見合わせとなった。
中央線は万博会場への唯一の鉄道路線。“陸の孤島”と化した万博会場は多くの来場者が足止めされ、大混乱となった。
午後10時ごろの大阪市内の気温は30℃に近い温度。体調不良を訴える人が続出し、大阪市消防局によると、36人が熱中症の疑いなどで搬送された。
そんななか、こんなアナウンスもされた。
「一度、会場のほうにお戻り下さい。ご協力をお願いいたします」
閉園した万博会場が再び開放された。
午後11時半ごろに撮影された映像。大屋根リングの下にあるベンチには、多くの人が腰かけている。なかには、小さい子どもを連れている人の姿も確認できる。
博覧会協会は中央線の運転再開まで来場者が会場内で待機できるよう、東ゲートを開放したという。
日付が変わった14日午前0時すぎには万博会場で一夜を明かすことを決意したのか、横になっている人の姿も確認できる。
大阪府の吉村洋文知事は、自身のXで来場者におわびするとともに、こう投稿した。
「現在の時刻、会場内の状況から判断して、災害時と同様の対応を取るべきと考えます。少しでも快適に過ごして頂けるように、まずは大阪ヘルスケアパビリオンを開放いたします。また協会総長と話をしました。会場全体を災害対応時と同様に対応するよう努めます」
「こちら大阪ヘルスケアパビリオン前です。かなり大勢並んでらっしゃいます。先程、スタッフさんから全員が入れるかは分からないけど、開放するということでアナウンスがありました」
パビリオンで休憩しようとする人の長蛇の列が。さらに、違う場所でも行列ができていた。
「自動販売機です。すべて準備中になってます、反対側も同様に準備中、売り切れの状態です。今、無料の給水機の前の行列を映してます。やはり皆さん飲み水の確保が重要ということで、いろいろ売っていないということで長蛇の列ができています」
折り返し運転再開も最後列が見えないほどの列
ちょうどその頃、人でごった返していた夢洲駅前では、人々が少しずつ駅の中へと入っていく。
「ゆっくり進んで下さい、無理な追い越ししないようにお願いします」
運転見合わせとなってから40分後の午後10時10分、夢洲駅とコスモスクエア駅の間で折り返し運転が始まった。
コスモスクエア駅は、ほかの交通機関があるため“陸の孤島”状態は解消されたが…。
「ゆっくり進んで下さい」
「すみません、いったん止めます」
「一度流れ止まります。前の方に続いて止まって下さい、前の方が止まります。止まって下さい」
ゆっくりと進んでいく人の群れ。最後列が見えないほど人の列が続いている。なかには列に加わらずに座り込んでいる人たちもいた。
「ちょっとしんどい、だいぶしんどいです」
「おなかすいた」
「大阪市内に帰れればなんとかなるんですけど、島だからなんともなんない」
「帰ろうとした時にこの状態になってしまったので戻れなくて、ここに待機してって感じで」
「最低限の水分は確保できてるので耐えられてはいるけど、夜通しはしんどい」
駅の中では、ぞろぞろと多くの人たちがホームへと向かっていく。時刻は午前0時、なかには子どもの手を引いて歩いている人の姿も。
そして駅のホームには電車が止まっているが、中は通勤ラッシュさながらの満員状態に。
満員電車に乗って、隣の「コスモスクエア駅」に到着すると、大阪メトロはコスモスクエア駅からのびる「ニュートラム南港ポートタウン線」を増発。接続する四つ橋線と合わせ、終電後も運行を続け、対応にあたった。
一夜を過ごす人々にワイン販売も
帰ることを諦め、万博会場で一夜を過ごす人たち。疲労の色が伺える。
「先が見えないというのが一番不安ですよね。インターネット環境があるので、情報は得ているんですけど、結局たどり着かないですよね。こういう状況でどのくらいで線路が復旧するのか、そういのが分かってくれればありがたいのですけど…」
14日午前2時、万博会場内にできていた行列。音楽も聞こえてくる。
パビリオンだけでなく、飲食店も臨時で営業を始め、帰れなくなった人たちにアルコールを販売していた。
「おいしい、夜中のワイン。こんな経験ないですからね、夜中の万博」
午前4時ごろ、万博で一夜過ごした人たちに水が配布され、数時間前までは、すべて売り切れだった自動販売機も。
「飲み物は結構補充されているみたいですね。スタッフさんが頑張ってくださったみたいです」
一夜明けた、14日午前5時すぎ、万博会場の奥に昇り始めた太陽を多くの人がスマートフォンで撮影している。そんななか、アナウンスが響き渡る。
「メトロの運行が再開しております」
13日午後9時半ごろから運転見合わせとなっていた大阪メトロ中央線は、発生からおよそ8時間が経過した14日午前5時25分ごろ、全線で運転が再開された。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月14日放送分より)