あす8月15日は終戦の日です。80年前の沖縄戦の前後に撮影された白黒写真をカラーにした写真が今、注目されています。写真に色がついたことで当時の人々の表情、生活がより鮮明になりました。
最新技術で白黒写真をカラー化
どこまでも広がる青い海、かつてここは戦場でした。
1945年6月、地上戦が行われた沖縄で避難する親子を捉えた写真です。当時アメリカ軍が撮影したとされるこの白黒写真に色が加わると、3人の表情が鮮明に。
収容所でアメリカ軍から食料を受け取る少年。色が加わると少年の眼差し、地面を踏みしめる素足の痛々しさなどが伝わってきます。
今年発売された書籍「カラー化写真で見る沖縄」。沖縄の戦前・戦中・戦後、それぞれの時代の白黒写真をカラーにしたものが収められています。
ホリーニョさん
「写真をカラー化することは、戦前から生きていた方々の普通の日常みたいなところも切り取れるんじゃないかなと」
カラー化したのは兵庫県出身の会社員・ホリーニョさん。子どものころに経験した震災で見た変わり果てた町並みが脳裏から離れず、過去の沖縄戦の記録と重なったといいます。
SNSに投稿したところ多くの反響を呼び、これまで300枚以上手がけました。
AIを使って大部分をカラー化、その後タブレット上で手作業で調整や彩色をしていきます。
沖縄に住む人たちは、カラー化された写真を見てどう感じるのでしょうか?
「(カラーは白黒より)理解しやすいんじゃないかと思う」
「すごいリアル。(カラーだと自分と)近い存在に感じて、もっと(戦争について)考えることができるのかなと…」
「本当にあったんだなと実感できる。人の肌の色とか自分と同じ色だから分かりやすい。(授業にも)取り入れたほうがいい」
「白黒だとやっぱり、あぁなんか大変だったなと思うけど、色がついてくるとその時にあったことを自分のこととしても分かりやすいのかな」
あの時代、あの場所にいた人たちと自分たちがつながっている。カラーになったことで気づく「過去」という言葉では片づけられない出来事。
カラーで伝える沖縄 戦争奪った「色」
沖縄戦の前に撮影された那覇市にある東町の大通りを見ると、黒くつぶれてよく見えない箇所がありますが、立ち並ぶお店、中央には町を象徴するかのような建物。行き交う人々など、そこには日常の生活が映し出されていました。
「(戦前は)すごく近代化された街並みとしてあって、別に(今と)変わらない豊かさがあったんだなと…」
浮かび上がった今と変わらない人々の営み。しかし戦争が起こると、人々が暮らしていた町は一変。活気があふれていた市場も灰燼(かいじん)と化します。
カラーにしても無機質な色しかない戦渦の沖縄。戦争が奪ったのは“色”そのものでした。
過酷な歴史。色がつくことで見えたのは、私たちと同じ人がそこにはいたということ。
証言 戦場となった沖縄 幼い妹を亡くし苛烈な地上戦
カラーになった戦時中の子どもたちの写真をじっと見つめる男性。
喜舎場宗正さん(86)
「親は写ってないからあれだね、亡くなったのかな」
浦添村の集落で生まれた喜舎場さんです。
多くの住民が巻き込まれ、激しい戦闘は3カ月にも及び、20万人以上が犠牲になった沖縄戦。喜舎場さんは6歳のころに巻き込まれ、家族と逃げることに。
祖父が撃たれ、姉と2歳の妹と3人で戦場を逃げようとしましたが…。
その後、防空壕へ逃げるも捕まり孤児院へ送られた喜舎場さん。そこで目にしたのは、生き別れたはずの妹の姿でした。
カラーで蘇る当時の沖縄。過酷な体験をした喜舎場さんの目には、どう写るのでしょうか?
「(白黒写真を見た)子どもたちって沖縄の空はずっと灰色だって思っていて、(カラーを見て)やっぱり青だったんですねと。それだけで一気に80年前と子どもたちがつながれるきっかけになると」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月14日放送分より)