社会

2025年8月15日 12:05

【全文】全国戦没者遺族代表 江田さんの追悼の辞「平和の有難さ、戦いの悲惨さを後世に継承」

【全文】全国戦没者遺族代表 江田さんの追悼の辞「平和の有難さ、戦いの悲惨さを後世に継承」
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本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、各界代表をはじめ全国各地から遺族の代表が集い、全国戦没者追悼式が厳粛に執り行われるに当たり、戦没者遺族を代表し、謹んで追悼の言葉を申し上げます。

先の大戦が終わりを告げてから八十年目を迎えました。我が国は、この歳月において、塗炭の苦しみの中から、国民の懸命な努力によって、今では世界有数の民主主義国家となり、平和と自由を享受しております。

しかし、この陰には国を思い、最愛の家族の幸せを願い、故郷の友や山河を懐かしみながら散華なされた多くの戦没者がいることを、私たちは決して忘れることはありません。

私の父は、母が二十三才、私が二才、妹はまだ母のお腹の中のとき、三十一才で亡くなりました。朝鮮で終戦を迎えましたが、帰国を急ぐあまり飛び乗った引揚船でしたが、途中、朝鮮海峡において機雷に接触、沈没したとのことであります。

生きて終戦を迎え、家族と共に将来の夢や希望を抱いていた父の無念さは計り知れません。

家族の大黒柱を失いながらも、祖父母と母は懸命に家業の農業を続け、その苦労を子どもたちに感じさせるようなことは全くありませんでしたが、思い返せば、相当な苦労があったであろうことは想像に難くなく、今では感謝の思いと、当時至らなかった自分への後悔が絶えません。

世界に目を向けますと、今なお、侵略や民族紛争、宗教間の対立などで、多くの人々が犠牲となっていますが、戦後の厳しさを体験している我が国は、今こそ、争いのむなしさ、復興の難しさ、平和の尊さを世界に訴えることが求められていると感じています。

私たち遺族は、「平和の語り部事業」などを通じて、平和の有難さ、戦いの悲惨さを後世に継承し、戦争のない平和な国に貢献する活動と、御英霊をいつまでもお守りするため、次世代による活動の拡充を目指し努力することを改めてお誓い申し上げます。

本日は、多くの御来賓の参列の下、かくも厳粛に追悼式を挙行していただきましたことに、遺族を代表して心から感謝を申し上げます。

結びに、御英霊の御冥福と御参列の皆様の御健勝と御多幸を心から祈念申し上げまして、追悼の言葉といたします。

令和七年八月十五日

全国戦没者遺族代表 江田 肇

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