北海道の知床半島の羅臼岳で20代の男性がヒグマに襲われて死亡するなど、クマによる被害が相次いでいます。北海道の住宅街に出没する巨大ヒグマの姿を番組のカメラが捉えました。
北海道で相次ぐクマの被害
登山シーズン真っただ中の北海道・知床半島の羅臼岳では14日、クマが人を襲いました。
翌日、山中で発見された遺体は東京に住む曽田圭亮さん(26)と判明。現場付近では親子3頭のヒグマをハンターが駆除していて、専門機関がDNAを分析しています。
駆除された親子グマかどうかは不明ですが、ここ最近、羅臼岳周辺で目撃情報が相次いでいました。
今月3日、知床峠では車を気にすることなく歩く親子グマの姿がありました。
その翌日には登山口付近で、正面からゆっくりと近づき怖がる様子はありません。
さらに男性が襲われた4日前、山頂に近い登山道でも親子グマが確認されています。
羅臼岳では安全が確認されるまで立ち入り禁止が続くなか、18日午前8時、観光名所「知床五湖」が全面再開。
地上の遊歩道を利用する観光客たちは、ヒグマと出会わないための行動や万が一、遭遇した時の対処法などレクチャーを受けていました。
「見通しの悪いたび、手をたたくということをします。だいたいこのくらいの音でやります」
「レクチャーもしっかり聞いたんですけど、怖いなと思ってベル買っちゃいました」
ヒグマによる被害は、函館に程近い江差町でも…。
クマが目撃された場所の近くには水辺があり奥には住宅街が広がっています。その近くの畑で被害が相次いでいるということです。
「怖いですよ。怖い」
「やっぱりどこにいるか分からないのが一番だしあまり続くようだったら怖いですもんね」
クマに怯えながら暮らす住民たち。
この町では今月に入り、クマによる農作物の被害が急増。これまでにスイカなど食い荒らされた跡が13件見つかっています。
先週、被害に遭ったという男性を取材すると…。
これは当時、その女性が撮影したという映像。懐中電灯を照らした先にいたのは、体長1.5メートルほどあるクマです。何かを見つけ口にくわえたのはスイカ。
「スイカ10個くらいやられた。びっくりですよ。そこの奥さんが追い払うのにフライパンを持ってたたいて音を出して、逃げ帰ったらしい」
畑の柵を壊し侵入したとみられるクマ。近くの道路にはクマの足跡らしき痕跡が残っていました。
「畑の作物だけじゃなくて、人間に被害があったりするわけだからみんな困ってる」
食べごろに育ったスイカばかりを狙ったクマによる被害は翌日にも…。
「(Q.これ全部被害ですか?)これ全部被害」
畑の至る所にスイカの残骸があります。さらに奥に進むと…。
「(Q.これきれいに食べていますね)うまいスイカだったんだろうね」
畑では30個ほどスイカを栽培していたものの、その半分が一夜にしてクマに食べられたといいます。
「あの塀から入ってきているから」
「(Q.塀が倒れているのは)クマが倒した」
1.5メートルほどの高さがある塀をなぎ倒し侵入してきたとみられるクマ。
「そこも通学路だからさ、余計に神経質にはなると思うよ」
「(Q.またクマが来る可能性は)ある。あるから今どうしようかなと思って」
番組カメラが撮影した巨大グマ
スイカばかり食い荒らすヒグマ。その正体とは…。番組では男性に許可をもらい畑にカメラを設置。再びクマは姿を見せるのでしょうか。
カメラ設置から8時間後、辺りが暗くなった夜の7時。巨体を揺らし畑に姿を見せた一頭のクマ。よく見ると、クマはスイカを丸ごと口にくわえ、去っていったかと思われましたが、この4時間後。
ガサガサと足音のような音が聞こえてきました。影も移動しています。畑に漂う不穏な空気。すると、再び現れたクマ。空腹が満たされないのかスイカを物色します。さらに…。
この日、3度目にしてようやくその全貌を現した巨大なクマ。何かを食べているような音が聞こえます。一度スイカを食べて味をしめて2日連続で同じ所に姿を現しました。
翌日、畑に行ってみると…。
「きのうより数は食われている。全滅」
「(Q.約15個残っていたが)全部ない」
2日間でおよそ30個のスイカが、すべてクマに食い荒らされてしまいました。
スイカをくわえたクマが向かった先に行ってみると…。
「これ全部この辺に座って食っているんだって」
そこには、昨夜食べられたスイカの残骸がありました。男性にクマの映像を見てもらうと…。
「でっけいクマだな。悔しいよ。来年からこのクマを駆除できなかったら来年から(スイカを)作っても意味ねえって思うな。片付けるのに頭痛いな」
北海道は江差町全域にヒグマ注意報を発表。町と猟友会も警戒を強めています。
クマ襲撃の一部始終「もう終わりかと」
全国各地で相次ぐクマの出没。栃木県那須塩原市では…。
「親子(クマ)だったから、もうこれは終わりかなって思って、覚悟決めちゃった」
額にはひっかき傷、腕には歯形のような傷、そして足には包帯…。
痛々しい痕が全身に残る三森さん。クマに襲われた恐怖の一部始終を振り返りました。
「野鳥撮影してるんですよ、『クマタカ』山がないと、良いの撮れないから」
先月6日、「クマタカ」の撮影のため、山の中で一人じっとしている時だったといいます。
「音がした、カサカサとか、うなり声がしたのかもしれないね。後ろを見た瞬間襲ってきた。逃げる暇も何もない」
背後に迫っていたのは親子のクマ。気づいた時には、わずか2メートルほどの距離でした。
そして、親グマが三森さんに覆いかぶさってきたといいます。
「吹っ飛ばされたのドーンって仰向けにされて手をかまれて、頭をガリっと引っかかれて、ひどかったのはここだね、かぶりつかれちゃった。こっちの足でどんどん蹴っ飛ばした。で、やっと離れた」
一度は離れたといいますが、再び攻撃が。
「(2度目の攻撃も)手で頭はたいてみたり、背中蹴っ飛ばしてみたりしたんだけど、その時いくらか抵抗したから、やっぱり離れたんだ。やっぱり2メートルくらい、また行って、2頭でこっち見てたからもうできるだけ大声出した。わー!もうできるだけ何言ったか分からない。何しろ腹の底からできる限りの声を出した」
大声にクマがひるんだ一瞬の隙に三森さんは最後の力を振り絞り、高さ10メートルほどの急斜面を降りたといいます。
救急車を呼んだ自身の携帯電話やベルトがはずれた腕時計には血の痕が残っていました。
「(Q.お医者様からは)よく助かったって言われたね、一番先に」
九死に一生を得た三森さんですが、頭や足などを51針縫う重傷を負い6日間入院。クマに襲われた後、現場周辺には「クマ出没注意」の表示が取り付けられていました。
「(クマを)甘く見ていたのかな。こんなに恐ろしいとは思わなかったからね、今まで。(今後対策を)考えていかなきゃダメだもんね。同じことの繰り返しになったら大変だから」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月19日放送分より)