東北の小学校では早くも2学期が始まりましたが、厳しい暑さが続いています。そこで注意しなければいけないのが熱中症ですが、後遺症が残るケースもあるというんです。
始業式 熱中症対策は“生中継”
直射日光を浴び続ける武田信玄公。山梨県甲府市では38℃を超える暑さになりました。
「とんでもなく暑くて、目がシバシバする。熱風が体にギュッてくる感じ」
さらに群馬県桐生市でも38℃近くまで気温が上昇。もはや体温超えの暑さが日常となりつつあります。
「そこまで暑くないかな」
高気圧に覆われた日本列島では、170地点以上で35℃を超える猛暑日を観測。広い範囲で危険な暑さとなりました。
都内では20日午後3時までに30人が熱中症の疑いで搬送されています。そのうち10代の男性1人が生命の危険があり重篤です。
岩手県の小学校には子どもたちの声が戻ってきました。県内では20日、始業式のピークを迎えています。
寒さが厳しい地域では冬休みが長い代わりに、夏休みは短めです。こちらの小学校の夏休みは26日間でした。
36.6℃まで気温が上がった20日の一関市。体温並みの暑さのなか行われた始業式に新たな暑さ対策がありました。
これまで始業式が行われていた体育館には誰もいません。子どもたちは教室にいました。皆、モニターに釘付けです。
「皆さん、おはようございます」
校長がいるのは放送室。各教室に生中継で始業式を行っていました。
「一学期の終業式は体育館で集合して行ったが、30℃を超える暑さで子どもたちも危険な暑さになる。扇風機や冷風機を使って対応したが、体育館にはエアコンがないので暑かったという反省から、二学期の始業式も同じような暑さが予想されたので、校内の放送を使って始業式をすることに急きょ変更」
エアコンがない体育館は窓が大きく、日光が入りやすいため、暑くなりやすい構造になっているといいます。
体育館が30℃の中、冷房が効いた教室は24℃。6℃も差がありました。
放送室から各教室に映像を配信するシステムは、コロナ禍でリモート朝礼などをするために整備されたものでした。
「(Q.結果として暑さ対策にも?)もう本当になってます」
「教室だから熱中症リスクも低かったと思う。涼しかった。熱中症にならないためにも先生たちが考えてくれてるんだなって」
熱中症対策 「エアコンつけて」活動
20日、37℃を観測した東京・練馬にある団地では、自宅に潜む熱中症リスクを軽減する対策が取られていました。
「きょうの暑さは普通じゃないね。皆クーラーをつけているといいんだけどね。中にはつけてない人、結構いるんですよね」
高齢者率がおよそ4割の光が丘団地。ボランティア活動を行う小山謙一さんは、一軒一軒見回りをしてエアコンをつけるように促しています。
「こんにちは、4階の小山です。良かった。今、冷えているからびっくりした」
この家では19日、エアコンが故障していたといいます。20日、業者に修理してもらい部屋を冷やせるようになりました。
「きのうの夜は?」
「きのうの夜は扇風機をここに1台とここに置いて、これを部屋の前に置いて眠った」
「この時期エアコン使わなかったら本当にぼーっとなっちゃうよ」
「事故も多いんでね」
全国の熱中症による緊急搬送の4割以上が屋内で発生しているといいます。そのなかには夜間にエアコンをつけずに症状が出るケースも少なくありません。
「我慢してエアコンつけないで暑さに耐えている。熱中症で亡くなる人の理由は夜中に亡くなる人が多い。『夜もつけてくださいよ』と口を酸っぱく言っている。僕らが一軒一軒訪問する理由はエアコンつけているか、掃除しているか、夜もつけているか」
連日の猛暑で、クリニックには熱中症患者が殺到。
伊藤博道院長
「重症に近い中等症になってリカバリーがすぐには不可能に」
気付いた時には重い症状となる、危険な「熱中症」が猛威を振るっていました。
暑さ蓄積型の熱中症 3日おくれで発症も
全国で170地点以上が猛暑日に。警戒すべきは熱中症です。
都内のクリニックでは、患者の傾向にある変化が…。
「連日熱中症が起こっている。暑さもたまって蓄積型の熱中症が連続的に起こっている」
このクリニックで、熱中症患者の半分以上を占めるのが「蓄積型」です。特徴は2、3日経ってから発症すること。
ある患者は、炎天下で仕事をした日も、翌日も症状はありませんでした。ところが、3日目の朝、突然、強いだるさや、頭痛、吐き気に襲われ立ち上がれなくなったといいます。
暑さの負債が日々積み重なり、ある日、メーターが振り切れるように体調を崩すのです。
「1日目は軽症で済んでいる。しかし2日目、3日目には重い中等症、重症に近い中等症に。リカバリーがすぐには不可能に」
自覚しにくく、治療が遅れ、症状が重くなる。それが蓄積型の怖さです。
長引く後遺症に悩み 対策は?
一方で、症状が長引くケースも増えています。
「食欲も全くわかず、テーブルに突っ伏してしまう。普通ではない」
先月下旬に熱中症と診断された50代の男性。一度は回復したかに見えましたが…。
「関節痛、しびれが出て、半日休んで良くなったと思っても、同じことの繰り返しで…」
診断の結果…。
「熱中症の後遺症」
熱中症の後遺症は、記憶力や注意力の低下、手足のしびれ、ふらつき、体温調節の不調などがあげられます。
「脳の視床下部に(体温の)調節機能がある。『暑いので体温を下げよう』とか、指令を出す部分が暑さでダメージを受ける」
暑さで体温調節をつかさどる脳の中枢がダメージを受けた結果、症状が治まった後も生活への影響が続くのです。
「気温が高くなれば歩いているだけでも普段より汗の量が増えている」
誰にでも起こりうる蓄積型。そして、長引く後遺症。どう防げばいいのでしょうか。
「いったん業務を休む。休むことで悪化しているのか、回復を妨げているのか見えてくる」
さらに、基本的な熱中症対策。3食のバランスのいい食事。こまめな水分補給と休憩。入浴と十分な睡眠などが求められます。