「エレベーターで男が羽交い締めにしている」。密室の中で行われた凶行、その状況が分かってきました。
「エレベーターで羽交い締め」
事件直後の現場を映した写真。閑静な住宅街に救急車やパトカーの赤色灯がともります。殺害された女性が搬送されたとみられる救急車には、救急隊員と警察官の姿が見えます。
道路には規制線が張られ、周辺には一時、緊急配備がかかりました。
「それはすごく騒然としました。パトカーがすごかった」
「絶対普通じゃないねと。あんなけたたましい音は今まで聞いたことがない」
密室となるエレベーターで起きた凶悪な犯行。刃物を持った男の行方は今も分かっていません。
“密室”の凶行 防カメに映る
事件が起きたのは20日夜。現場は神戸・三宮駅にほど近い、湾岸エリアにあるマンションです。
住人の女性から1回目の110番通報がありました。
「女性の悲鳴が聞こえた。エレベーター内で男が女性を羽交い締めにしている。男は刃物を持っているように見えた」
警察が駆け付けたところ、6階のエレベーターの前で血を流して倒れている女性を発見。その後、死亡が確認されました。
被害者は、このマンションに住む片山恵さん(24)。神戸市内の保険会社に勤めているということです。
「パトカーが来てなんだろうと事件かなと、警察の怒号が飛んで非常階段に人がいっぱいいた。(担架は)静かに運ばれているような感じだった。急いでいるような感じでもなく」
「車もあまり通らない静かな住宅街。商業施設も多いが、皆帰るのでだからすごく静か。暴力事件とかも少ないし皆静かに暮らしている」
手すりに血痕“数分”の犯行か
密室でもあるエレベーターで何があったのか、状況が分かってきました。
マンション入り口の防犯カメラには、まず被害者の片山さんが帰宅。その直後に若い男が入って行く様子が映っていたということです。マンションのオートロックは被害者が開け、男に気付いた様子はなかったそうです。
その後、マンションに住む人がキャーと言う悲鳴を聞きます。モニターを見ると、男が片山さんを羽交い締めにして、刃物のようなものも見えたため通報しました。
片山さんは、上半身などに複数の刺し傷があったということです。
「警察の怒号がすごい飛んでいた。『エレベーター止めろ』と。誰か逃げているんやろうか」
階段で逃走か
神戸市のマンションで、24歳の女性が殺害された事件。エレベーターの中で片山さんを刺したとみられる男。その足取りが分かってきました。
エレベーターの中で片山さんを刺したとみられる男。6階に上がったあと、特徴の似た男と階段ですれ違った住民がいたということです。
階段を使って逃走したとみられる男は、落ち着いた様子だったそうです。警察によると、手すりには血痕が付いていたそうです。
男とすれ違った女性は6階で被害者を発見。1回目の通報から3分後の2回目となる通報をします。
「人が倒れている。血が出ている。男女は分からない」
エレベーターで羽交い締めにしていると通報があったのが午後7時22分。そこから3分後に人が倒れていると2回目の通報が入ります。犯行は極めて短時間で行われた可能性があります。
金髪交じり男 逃走
近隣の人によると、このマンションは一人暮らしの人が多いそうです。
「ファミリー層よりも単身者とか、独身の若い男女が多い。ワンルームみたいな(間取り)」
何か目立ったものがなくなった情報はなく、着衣の乱れなども確認できていないそうです。
ストーカーやトラブルなどの警察への相談は、今のところ確認できていないとしています。
「被害者と容疑者に交友関係はないのでは、2人が深い交友関係があるのであれば殺害場所をエレベーターにすることなく、居室内の誰も見ないような場所で行うことも可能な状況」
「(Q.通り魔的な犯行)可能性はゼロではない」
今回は被害者がオートロックを解除、そのあとを男が入ったとみられます。密室のエレベーター内で起きたとみられる事件。防ぐ手立てはあるのでしょうか?
「(エレベーター内で)性犯罪や暴行も過去にも発生している。乗る時に一対一にならないことが大事。一対一になるのであれば降りる。ながらスマホやイヤホンで注意が散漫になる事実もある」
男は20代から30代。金髪交じりの黒髪で黒のTシャツに長ズボン。捜査関係者によると、北方向に逃走したとみて行方を追っています。