社会

2025年10月25日 19:06

一番危険なのは“玄関” 相次ぐ女性を狙った犯罪 被害から身を守るには?

一番危険なのは“玄関” 相次ぐ女性を狙った犯罪 被害から身を守るには?
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先月30日、東京・町田市のマンションで76歳の女性が男に刺殺される事件が発生しました。容疑者の男は「誰でもいいから殺そうと思った」「襲いやすそうな人を探した」と供述しています。さらに8月には神戸市で24歳の女性が刺殺される事件が発生し、容疑者の男は「好みのタイプの女性だと思い後をつけた」と供述しています。

どちらも被害者は女性で、男と面識はなく、職場や買い物からの帰り道で襲われています。

なぜ女性が無差別に狙われるのでしょうか。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「単純に、力が弱くて抵抗されても勝てるからです。 町田の事件も、自分より力の弱い女性を選び、更に抵抗されにくいように買い物袋を両手に持っていた被害者を選んでいます。」

日々の生活の中で、被害にあわない為に私たちにできる対策は何があるのでしょうか。仕事や学校から帰宅するまでに気をつけるべきポイントを、女性の犯罪被害に詳しい防犯アドバイザーの京師美佳さんに聞きました。

(テレ朝NEWS 今井友理)

ながら歩きはNG 買い物は中身の見えないバッグで

まずは普段の通勤・通学路を歩くときに気をつけるポイントです。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「まず一番はながら歩きをしないことです。夜道は特に不安だからと会話をしながら、音楽を聞きながら歩く方も多いのですが、そうすると後ろから近づく足音が聞こえづらく狙われやすくなります。また公園や路地に入ってショートカットしようとせず、人通りの多いところを歩くことも大切です。」

また、女性の場合は家の近くの店で買い物をする時にも注意が必要だと言います。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「帰り道に買い物する時は中身を見られないように注意をしてください。お弁当を1つ買ってお箸を1膳もらっていると一人暮らしだと悟られてつきまといがひどくなることもあります。またアイスクリームも手に持って歩いていると溶けない距離に住んでいるということを知らせることになるため、買った場合は、すぐに中身の見えない袋に入れてください。箱アイスを買うことも有効です。」
店で買い物するときのポイント
・買ったお弁当やアイスはすぐに中身の見えないエコバッグなどに入れる
・店で箸はもらわず家にある箸を使う
・アイスを買いたい場合は6個入りなどの箱アイスを買うことも有効
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尾行の対処法…ストーカーには“手書きの日記”も証拠に

8月に起きた神戸市女性刺殺事件では、事件当日の2日前から容疑者の男が被害女性につきまとっていたことがわかっています。帰り道で尾行されているかもと不安になったときには、本当に尾行されているのかを確認する方法があります。

尾行されているか確認する方法
1. 一度角を曲がって後ろを振り返ってみる
2. もう一度角を曲がって振り返ってみる
それでもまだ後ろにいる場合は一度尾行されていると考える

尾行されていた場合どう対処したらいいのでしょうか。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「焦らずに人がいる店などに逃げ込んでください。慌てて走って家に帰ると不審者に家を教えることになりますし、走ると“早く捕まえなきゃ”と相手を刺激する場合もあります。」
尾行されている時の対処法
1. 人通りのある場所や店に入る
2. 家族に迎えに来てもらう。または気配がなくなるまで待つ
3. タクシーを呼んで一周してから帰る
しばらく経ってもまだ店の前にいるようであれば警察に通報する。

一度だけでなく、何度もつきまとわれた場合はストーカー被害の可能性があるため、京師さんは早めに警察に相談してほしいとしています。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「早めに相談することがすごく大切です。緊急性がなければ110番ではなく#9110に電話してください。その際に証拠が多い方がいいです。写真や映像を撮ること、また意外なのですが、一番証拠として能力が高いのが手書きの日記なんです。『5W1H』の形で手書きの日記を残すと自分の味方になってくれます。」

スマートフォンやパソコンのメモ機能を使ってメモをするのは改ざんがしやすいため、証拠能力としては手書きのメモの方が有効だということです。

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“共連れ”はNG マンションに入る時のポイント

自宅に着いてもまだ油断はできません。

8月の神戸市女性刺殺事件では、オートロックのドアを開けてマンションに入った女性の後ろから男が“共連れ”で侵入し、エレベーターにも同乗しています。

危険を避けるためにはオートロックで共連れさせないことが大切です。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「自分が入ろうとしたときに後ろに人がいる場合は、「お先にどうぞ」と声をかけ、自分の鍵で入らせることが大切です。言いにくい場合は、電話がかかってきたふりをしてその場を離れてください。」

注意をしていても気づかないうちにオートロックを突破されてしまった場合は、

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「ポストの前には立たないでください。一緒に入ってきた時には部屋番号までは知らない場合もあります。時間をつぶそうと思ってポストを開けたりしていると、部屋を特定されてしまいますので、怖いなと思ったら人通りのある所や店に入るのが安全です。」

エレベーターに乗るときもまずは同乗しないようにすることが大切です。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「エレベーターに乗ろうと思った時に先に人がいたら「お先にどうぞ」と声をかけ先にあがってもらってください。自分が乗っている時に誰かが乗ってきた場合は、電話がかかってきたふりをしてその場を離れると、住民の方だった場合でも違和感なく出ることができると思います。」

扉が閉まる寸前に入ってきてしまったなど、降りる隙もなく同乗してしまった場合は、

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「早く降りたいと思って、入り口の前に立っていると、後ろから羽交い絞めにされたりしますし、一番奥に立っていると出入口を塞がれて出られなくなります。」
エレベーターで同乗した場合の対処法
・操作盤に垂直に立つ (背中は壁、斜め前にドアがある状態)
・非常ボタンに手を添えておく
・「何階ですか」と声をかけ、それ以下で降りる (2階で降りるのが一番安全)
・降りる時は背中を見せない

玄関が一番危険 ドア全開はNG…気を付けるポイント

女性の場合、実は玄関前が一番危ないと京師さんは言います。被害者を部屋に押し込んだ方が人に目撃されることなく、犯行しやすいそうです。

実際、8月の神戸市女性刺殺の容疑者は3年前にも別の事件を起こしていて、女性が部屋に入ったタイミングで一緒に部屋に入り、首を絞めるなどの犯行に及んでいます。

部屋に侵入させないためにはどうしたらいいのでしょうか。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「バッグの中に顔を突っ込んで鍵を探したりしていると隠れていた人が飛び出してきても気づけなくなってしまいます。また部屋に入るときにドアを全開にしているとドアが盾になって死角ができてしまいますので注意してください。」
部屋に入る時のポイント
・鍵はスムーズに取り出せるポケットなどに入れる
・周囲に人がいないか確認後、ドアは自分が入れるスペースだけ開けて入る
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傘で防御も 身を守るために使える物

万一、危害を加えられそうになった時にはまず逃げることが優先です。
京師さんによると普段から持ち歩いている物を使って逃げる隙を作ることも出来るということです。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「襲われそうになった時に防犯ブザーを鳴らすのは有効です。できれば100デシベル以上のものが良いです。パトカーのサイレンが110デシベルなので、それくらいけたたましい音を鳴らすと周りにも通報してもらいやすくなります。さらに不安な方には防刃グッズというものもあります。1つでも持っておくと、切りつけられた時に逃げる隙を作ることができます。あとは傘です。相手に向けて傘を広げてグイグイ押しながら後ろに逃げてください。そうすると傘の分だけ距離も取れますし、骨組みは金物なので簡単には切れません。」
防犯アドバイザー 京師美佳さん
「キャリアによって違いますが、スマホを強く握り続けたり、5回電源ボタンを押すことでアラーム音が鳴った後に勝手に119番や110番できる設定がありますので、そういったものも活用してください。」

SNS投稿から空き巣…犯罪者に情報を与えないために

つきまといなどの犯罪から身を守るためには帰り道だけではなく、普段の生活から犯罪者に情報を与えないことが大切です。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「ゴミは犯罪者にとって宝の山です。強盗もストーカーもゴミを漁ります。手紙とか宅配便の宛名を見て、宅配便に成りすまし、玄関を開けさせようと悪用したりします。ごみは必ず回収の時間の寸前にきちんと出してください。前の晩から出しているとゴミごと持っていかれたりします。また明細書や手紙はシュレッダーやハサミでバラバラにしてから捨ててください。」

また、SNSも強盗やストーカー、空き巣の情報源になっているということです。
犯罪者に情報を与えないためにSNSを投稿する時に気を付けるポイントがあります。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「窓の外の風景などをSNSに投稿すると住んでいる場所を特定できますし、近くのビルや電信柱が映り込んでいると、そこから住所を特定されます。行きつけの店をアップしたり、買い物したことや旅行に行ったという投稿も資産状況を教えることになるため注意が必要です。また、「きょうは〜へ行きます」と投稿すると待ち伏せされることがありますので、リアルタイム配信はしないでください。必ず事後報告にしてください。実際に今ハワイに来てますという配信をしている最中に空き巣に入られた人もいます。」

いつ被害に遭うか分からない犯罪。京師さんは普段から備えることが大事だと言います。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
「前もって何もない時に通勤・通学路で遅くまで開いてる店や24時間の窓口がある病院など夜でも人がいる場所をチェックして備えておくといいです。またSNSの投稿から資産状況や留守にしているなどの情報をチェックされていることもあるので、犯罪者も見てるんだと思ってください。」
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