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2025年8月27日 02:13

潜水調査で“頭蓋骨”発見か 戦時中に水没事故…183人が眠る山口・長生炭鉱

2025年8月27日 02:13

潜水調査で“頭蓋骨”発見か 戦時中に水没事故…183人が眠る山口・長生炭鉱
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83年前、水没事故で183人が犠牲となった山口県の海底炭鉱。水中から人の骨のようなものが見つかっていましたが、26日に行われた潜水調査で、今度は人の頭蓋骨のようなものが見つかりました。

潜水調査で“頭蓋骨”発見か

山口県宇部市にある『長生炭鉱』。26日午前10時半、潜水調査のため、2人のダイバーが「ピーヤ」と呼ばれる排気口に到着しました。坑道内は泥などが堆積しているため、巻き上げると視界がほとんどなくなります。また、坑道が崩れる危険性も常にあります。

海底炭鉱

この海底炭鉱で1942年2月3日、戦争で石炭需要が高まる中、天井が崩落する事故が起きました。日本人47人、朝鮮半島出身者136人がいまだ眠ったままです。

長生炭鉱

長生炭鉱は、海岸から沖に向かって長く掘られていたといいます。ダイバーは海岸から遠い側のピーヤから入りました。その下は側道で、北側にトロッコが走る本坑道があります。ダイバーは、側道から本坑道に入り、陸側に曲がった地点に向かいました。

人の骨のようなもの

たどり着いたのは、25日に人の骨のようなものが見つかった場所。そのすぐ側で、26日も新たに人の骨のようなものが見つかりました。

ダイバー

潜水開始から3時間半。ダイバーが浮上してきました。発見したものを箱に入れて運びます。入っていたのは、頭蓋骨に見えるもの。犠牲者のものだとすれば、83年ぶりに地上に戻ってきたことになります。

祖父が犠牲になった人
祖父が犠牲になった人
「どんなに苦しかったかなと思います。亡くなった方たちはどう思って海の中から訴えてきたのかなって。80年前の戦時中のことを分かる方はそんなにいないけど、日本の国のために尽力された韓国の方、日本人の方、そのおかげで今日、私たちが今の時代を生きてこられてると。真っ黒の遺骨を見ると色々考えさせられます」
頭蓋骨

発見時は半分、埋まった状態だったといいます。頭蓋骨に見えるものは、警察に渡され、鑑定を待ちます。回収した時、泥が巻き上がり、他のものは断念しました。

人の形のようなもの

映像には、ブーツのようなものを履き、右側を下にして、片足を曲げた状態で横たわっているように見える、人の形のようなものが映っていました。腰から上は、泥が堆積し、形が分からなくなっていました。

クラウドファンディング

地元の市民団体は、クラウドファンディングで資金を集めるなどし、ようやく発見にたどり着きました。

長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 井上洋子共同代表
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 井上洋子共同代表
「ここで亡くなった皆様が、こうして見つかった。まだたくさんいらっしゃるのに、日本政府は放っておくんですか。そのことをしっかり訴えて、私は、日本政府を必ずこのプロジェクトに参画していただく。日本政府は、このご遺骨に答えていただきたい。そのように思っております」

今回の発見を受けて、政府は。

福岡資麿厚労大臣
福岡資麿厚労大臣
「現時点では、安全を確保したうえでの潜水調査に資するような新たな知見は得られておらず、現時点で財政支援についての検討は進めておりません。これまでも外務省と連携して対応してきておりますが、山口県警察における検査の状況などを見守りつつ、関係省庁とも連携のうえ、適切に対応してまいりたい」
追悼の明かり

海岸には26日夜、花束とともに、犠牲者183人の名前が記された追悼の明かりが灯されました。

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