東京と埼玉を流れる1級河川、全長173キロの「荒川」。遡る(さかのぼる)とフシギな光景が…。「都内を流れる荒川は、かつて隅田川だった?」その名残の不思議な水門を発見!
荒川随一の景勝地、長瀞で“謎のグルメ”が大人気。高速道路みたいな「流しそうめん」とは?
源流を求め標高2475メートル、片道約7時間の山頂を目指します。荒川“最初の一滴”、そこには想像を超えた世界が広がっていました。
まるで高速道路?“謎のグルメ”
まずやってきたのは荒川の河口エリア。
「ここから、荒川を遡っていくと何があるのか追跡していきます」
東京と埼玉を流れる1級河川、全長173キロの「荒川」。最初の不思議。実は、都内を流れる荒川の大部分が人工的に造られたものなんです。知っていましたか?
上流に向かうこと約22キロ。東京・北区に、その始まりとなる水門がありました。
「時代を感じるといいますか年季が入っている」
今から100年余り前に作られた旧岩淵水門。今は右側にあるのが荒川で、左側が隅田川です。
しかし元々は、隅田川が荒川でした。度重なる氾濫で治水対策として新たに作られたのが荒川放水路。それが現在の荒川になっていました。
旧岩淵水門は増水時、隅田川へ水を流入させない重要な役割を担っていました。
荒川を遡ると何があるのか。河口から約100キロの埼玉県長瀞町に、謎のグルメがありました。
荒川随一の景勝地、長瀞の「岩畳」。広さは畳2万枚分と言われています。
佐々木アナが目にした不思議な光景とは、まるで高速道路のジャンクションのように厨房(ちゅうぼう)から各テーブルに伸びた竹。
連日予約で一杯の、流しそうめんのお店。
「夏だなって。景色が良い」
それにしてもなぜ、こんな複雑な流しそうめんになったのか?
厨房には1人で6卓分のそうめんを流す店員の姿が…。
実は、あまりの人気でテーブル席を増設。少ない人手でも切り盛りできるよう、この形に行き着いたのだといいます。
川の流れを感じながら、佐々木アナも早速いただくことに。
「来た来た来た、よしよしよし、取れました。結構速かったですよね」
「冷たくて、のど越し最高。(麺が)締まっています」
麺は埼玉県産の小麦を使用。コシが強く人気を博していました。
源流を大捜索 なぜ?岩に立てた無数の木の枝
埼玉県秩父市に入ると、一気に木々が増え、上空からは荒川が見えなくなりました。
源流はこの辺りにあるのですが、思わぬ試練が待っていました。
「埼玉の奥にある荒川源流は長野側から回る必要がある。荒川の源流には何があるんでしょうか」
向かうのは、標高2475メートル。埼玉・長野・山梨の三県にまたがる日本百名山の甲武信ケ岳の山頂付近に荒川、最初の一滴があるといいます。
実は、埼玉側から荒川の源流まで、遡る道はありません。そこで今回は、長野側から山頂まで登り、荒川の源流を目指します。
登山道の入り口には、親子連れの姿もありました。
「出発です。よろしくお願いします」
迷いやすい場所もあるため登山ガイドの渡辺哲夫さん(69)に同行してもらいます。
この日、関東各地で40℃を超える暑さを記録していましたが、まるで別世界の涼しさです。
「見えました。荒川の源流どこですかね」
「この目の前の川ではなくて?」
「これは千曲川(信濃川)なんですよね」
横を流れていたのは荒川ではなく信濃川。実はこの山、荒川だけでなく信濃川の源流もあるんです。
山頂を越えた先にある荒川の源流を追い求め、進むこと2時間。不思議な光景が…。
「これは何の合図ですか?」
壁面に立てかけられた、たくさんの木の枝。一体どんな意味があるのか?
「こうやって杖代わりに。もういらないと思ったら、こういうところに立てかけるんですよ。日本人の性なんですかね」
杖代わりに使った木の枝を誰かが立てかけ、いつしか“杖置き場”に。登山者たちの助け合いから生まれていました。
さらに、沢にそって歩くと…。
「川が細くなってきましたね。源流に近づいてきているんですかね」
水量が少なくなる川。その先に…。
「目印ありました。コップがある」
まず見つけたのは、信濃川の源流。小石の隙間から最初の流れが湧き出ているのが分かります。一口飲んでみると…。
「冷たくておいしい、夏に最高」
荒川の源流を発見 白いモクモクの正体
荒川の源流を探し、登り始めて6時間。
「雄大、見事な景色ですね。この山々のどこかに荒川の源流があります」
「…」
「よし、もう一回やっておきます?」
山頂の向こうにある荒川の源流。最大の難所が目の前に広がります。
「いやー最難関ですかね。どうやって行きましょう。登山道ラストスパートです」
「さあ、ここからがいよいよ本番です。この頂上から下っていきますと、荒川の源流にたどり着く」
長野側から登り、荒川の源流がある埼玉側へ…山頂から標高200メートルほどを下りると。
「あ!聞こえてきませんか?沢の音」
目前に迫った荒川の源流。ところがここで、佐々木アナに異変が!
「ヤバい、ヤバい、ヤバいかも」
目にしたものとは…。
「でっかいハチの巣があります」
しかし周囲にハチの姿はなく、よく見ると木のコブのようにも見えますが…。
ハチが大の苦手の佐々木アナ。恐る恐る下っていきます。そして…。
「ありました。荒川源流点という石碑が立っています」
石碑のすぐそばに、荒川の始まりがありました。そこには不思議な光景が…。
「水が出ているところ白いモクモクが出ています」
苔むした穴から白い霧のようなものが。水に触れると分かりました。
「冷たい。氷水みたいです」
真夏なのに、手を触れると赤くなるほど冷たい水。白い霧は、周囲の気温と低い水温の差から生まれていました。
「最初はこんなに細い流れなのに、やがて大きな川になっていくんですね」
荒川を遡ると知られざる歴史や、納涼の絶品グルメ。そして雄大な景色が広がっていました。