長野県須坂市のふるさと納税でシャインマスカットの産地偽装があった問題です。第三者委員会が29日、市の対応を「極めて不適切」だとする報告書をまとめ、担当職員と業者が何度も会食をしていた実態を明らかにしました。
産地偽装で…ふるさと納税停止
「須坂市の市職員と日本グルメ市場(返礼品事業者)との関係性にも問題があった」
今年3月に発覚した長野県須坂市のふるさと納税の返礼品、シャインマスカットを巡る産地偽装問題。市の対応を調査してきた第三者委員会が「極めて不適切」と結論付けた理由の一つは、市と業者の親密さです。
産地偽装を行ったのは、須坂市から委託された和歌山県の業者・日本グルメ市場。3月の市民向けの説明会では、市長と業者が並び立って謝罪しました。
「ご説明の前に謝罪させていただきたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」
「多大なご心配・ご迷惑をおかけしていることに対しまして、市長として深くおわびを申し上げます」
返礼品として業者が用意したシャインマスカットには、山形県産のものが混在。須坂市は去年12月に産地偽装を把握しながら、今年3月までふるさと納税の募集を停止しませんでした。
受け付けを続けた期間に集めた寄付は22万件余り、およそ30億円に上ります。
総務省は市の対応を問題視し、ふるさと納税の対象から2年間除外することにしました。
「私が仕入れ先に対し、きちんと発注書を交わしてこなかったこと、日々の仕入れ伝票を確認せずに和歌山の市場に任せきりにしていた、私の監督責任だと思っております」
シャインマスカットであればどれでも良いという認識だったため、産地が混在してしまったといいます。
第三者委員会の調査では、市の職員と業者の間で定期的に会食を実施。費用は業者が負担していたことが明らかになりました。
「日頃から市職員と業者、適切な距離感を維持しなければならないという理解、いわゆる職員倫理観を育むことも必要だと考えています」
3月の説明会では市民から厳しい声が飛び交いました。
問題発覚から半年経っても混乱が収まりません。地元のシャインマスカット農家はあらぬ疑いをかけられています。
税収大幅減 イベント中止も
さらに深刻なのは、財政の問題です。ふるさと納税がストップし、市の予算が大幅に消失します。
須坂市は長野県内でトップの寄付金額を誇っていて、昨年度は47億円もの寄付を集めていました。47億円は市の収入の7分の1にも相当します。
市は来年度の「信州須坂ランニングフェス」「須坂みんなの花火大会」などの中止で支出を削減する検討に入っています。
「極めて市の責任が大きいと思っています。普通、何か問題があったらすぐ止めるじゃないですか。そういった判断ができなかったのは、どうなのかと思う」
29日の第三者委員会の報告を受け、三木市長は来月17日に会見を開く予定です。
(「グッド!モーニング」2025年8月30日放送分より)