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2025年9月3日 01:41

“経済界の顔”サプリメント購入めぐる“捜査”受け サントリーHD・新浪会長が辞任

“経済界の顔”サプリメント購入めぐる“捜査”受け サントリーHD・新浪会長が辞任
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サントリーホールディングスは2日、緊急の記者会見を行い、新浪剛史会長が1日付で辞任したことを明らかにしました。自身が購入したサプリメントについて警察から捜査を受けたためだとしています。新浪氏は経済同友会の代表幹事や、政府の経済財政諮問会議の民間議員などを務めていて、影響は多方面に及びそうです。

サントリーHD 新浪会長が辞任

突如開かれたサントリーホールディングスの記者会見。そこに新浪氏の姿はありません。

サントリーHD 鳥井信宏社長
「当社は8月22日、当社代表取締役会長・新浪剛史から『警察による捜査が行われた』との報告を受けました。直ちに新浪氏に対し、外部弁護士によるヒアリングを実施しました。その結果、新浪氏からは新浪氏が『適法である』との認識のもとに購入したサプリメントに関して捜査が実施されたとの説明がありました」
捜査関係者など
任意の調べに対し

捜査関係者などによると、先月22日、実際に東京都内の自宅に家宅捜索に入っていました。容疑は麻薬及び向精神薬取締法違反。大麻由来の成分が含まれた製品をアメリカから輸入したというものです。自宅からは製品は見つからず、簡易の尿検査は陰性でした。任意の調べに対し「薬物のようなものが送られてきた認識もあまり定かではない」と話しているといいます。

それでも辞任に至った理由は。サプリメントの違法性について当局に判断をゆだねるとしつつも。

サントリーHD 鳥井信宏社長
サントリーHD 鳥井信宏社長
「サントリーグループのトップマネジメントとしては法令に抵触しないことは当然であり、サプリメントを購入するにあたってはしかるべき注意を払うべきと考えています。サプリメントに関する認識を欠いた新浪氏の行為は、代表取締役会長として求められる資質を欠くと言わざるを得ないと判断しました」
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“経済界の顔”数々の発言

経済財政諮問会議の民間議員

経済財政諮問会議の民間議員として政府に助言し、経済同友会のトップも務める新浪氏。財界のキーパーソンとして発言の多い人でした。

新浪剛史氏(今年7月)
新浪剛史氏(今年7月)
「ちゃんと金利を上げる。上げない理由が分からない。もっと遅れて結果的に悪くなれば日銀総裁の責任」

ビッグモーターの不祥事が明るみに出た時も。

新浪剛史氏(去年7月)
新浪剛史氏(去年7月)
「組織的な病んだものがあったと。結果として」

発言するトピックは経済に限ったことではありません。

新浪剛史氏(おととし9月)
新浪剛史氏(おととし9月)
「ジャニーズ事務所を使うことはチャイルドアビューズ(児童虐待)を認めることになる」

番組でも度々取材。アグレッシブな姿勢は常に健在でした。

大越健介キャスター(今年1月)
大越健介キャスター(今年1月)
「日本の企業がアメリカと渡り合う、日本製鉄のUSスチールの買収問題でバイデン大統領がNOを突きつけて、これに対して提訴するという段階に。アメリカの判断に対して日鉄は毅然とした態度を示していますね」
新浪剛史氏(今年1月)
新浪剛史氏(今年1月)
「まず“私だったらやるな”ということをやっていただいていて。アメリカの課題が非常に内向きになり、その中で警鐘を日鉄が鳴らしているなと思う。そういう意味で何か勇気が出るようなアクションをとってもらっていると思う。アメリカが内向きになっていく分、日本が間に入って世界のつながりを作る。日本が中心となって広めていくことが必要なんじゃないかと思う」
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創業家以外で初の社長

三菱商事入社

三菱商事を出発点にビジネスマンとして歩み始めた新浪氏。2002年に43歳でローソンの社長に就任すると『ナチュラルローソン』や『ローソンストア100』といった他のコンビニにはない店舗経営を展開。経営再建の立役者となりました。

サントリーの社長に

経営のプロとしての手腕を買い、招いたのが同族経営で知られていたサントリーホールディングスです。創業家以外で初めて社長に就任しました。

サントリーHD 佐治信忠社長(2014年当時)
サントリーHD 佐治信忠社長(2014年当時)
「さらにサントリーらしい、はつはつとした若さ、そして大きな夢に向かって力強く、執念深くチャレンジを続ける人。一言でいえば『やってみなはれ』の人です。私と新浪さんはこれから二人三脚。サントリーグループをより良い会社、より力強い会社の集団にするべく、経営のかじをとっていこうと思っている」
新浪剛史氏(2014年)
新浪剛史氏(2014年)
「佐治社長が言われた『やってみなはれ』実は私これが大好きでございます。私自身は43歳でローソンの社長になったが、今は55歳です。私はビジネスマン最後の大きなチャレンジとして、サントリーにて、サントリーを佐治さんと一緒になって、日本発の本当のグローバル企業にするんだと全身全霊を捧げてやっていきたい」
サントリーHD

『ジムビーム』で知られるアメリカのビーム社買収後の組織統合に尽力し、世界進出を進めました。今や売上高の半分が海外でのものとなっています。就任から10年経ち、社長を退任。代表権のある会長に退くことになりました。

新浪剛史氏(去年12月)
新浪剛史氏(去年12月)
「10年前、会長の佐治から託されたもう1つのミッションがある。それは左にいる鳥井信宏副社長に、私の次の社長として育ってもらうこと」
鳥井信宏社長

新浪氏に代わって就任した創業家出身の鳥井信宏社長。新浪氏が社長に就任した当時はまだ48歳と若かったことも新浪氏に白羽の矢が立った理由でした。

新浪剛史氏(去年12月)
新浪剛史氏(去年12月)
「真のグローバルカンパニーという共通の目標を胸に、信宏新社長と私と二人三脚でサントリーグループをさらなる高みに引き上げていきたい」
サントリーHD 鳥井信宏社長
サントリーHD 鳥井信宏社長
「『やってみなはれ』と『利益三分主義』この2つの創業精神を絶やすことなく、いっそうあふれるサントリーグループにしていきたい。この思いのもと新浪新会長と二人三脚で力強く率いていきたい」
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鳥井社長「二人三脚できず残念」

その新たな“二人三脚”がわずか数カ月で突然、終わることになりました。

サントリーHD 鳥井信宏社長
サントリーHD 鳥井信宏社長
(Q.こういう形での辞任、どう考えている)
「私自身も新浪氏と一緒に仕事をやって来ましたし、ここにいる皆様の中には新浪氏と2人で会見したことを覚えている人もいると思いますが『二人三脚でやろう』と言ったのに大変残念です。新浪氏というのは大胆で決断力・実行力のある経営者でしたので、本当に尊敬を申し上げておりました。就任以来10年間で売り上げ利益とも飛躍的に拡大させたというのは動かし難い事実でございます」
サントリーHD 鳥井信宏社長
(Q.今回の件が判明してから直接、新浪氏と話す機会はあったか)
「直接会って話したのはまさに昨日」
サントリーHD 鳥井信宏社長
(Q.普段と違うなど、会った際の様子は)
「普段から一緒に仕事をしている時も表情豊かな人。昨日協議をしている時も、その辺りはいつもと変わらず、表情豊かに色んなお話をされていました」

会見では山田副社長が新浪氏のコメントを読み上げました。

新浪氏のコメント
新浪氏のコメント
「一身上の都合により役職を辞任したいとの申し出を受理していただいた。会長の仕事を続けることができなくなったことは残念に思っている」

新浪氏は3日、経済同友会の定例記者会見で辞任の経緯を説明するといいます。

疑義“否定”も…「辞任」決断の経緯は

企業ガバナンスに詳しい 永沢徹弁護士
企業ガバナンスに詳しい 永沢徹弁護士
企業ガバナンスに詳しい 永沢徹弁護士
「“推定無罪”として、捜査の結果を待ってから判断するという意見もあるとは思うが、企業イメージの低下を避けるため、ある種“先手”を打った形。消費者相手の事業を行い、ブランドを大切にする会社なので、企業価値を大きく損なわないための対応としては妥当」
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