将棋の藤井聡太王座(竜王、名人、王位、棋王、王将、棋聖、23)に伊藤匠叡王(22)が挑戦する第73期王座戦五番勝負が9月4日、シンガポール・セントーサ島で開幕した。3連覇を目指す藤井王座に対するのは、同学年のタイトルホルダーでライバルでもある伊藤叡王。大注目のシリーズ第1局は、振り駒の結果で伊藤叡王の先手番に決まった。
開幕局の舞台は、シンガポール・セントーサ島のリゾートホテル「アマラ・サンクチュアリ・セントーサ」。シンガポール建国60周年を記念した文化交流事業の一環として、在シンガポール日本国大使館とジャパン・クリエイティブ・センターの後援の元で開催されている。藤井王座が海外で対局に臨むのは、2023年度の王位戦七番勝負第1局以来約2年ぶり2度目。伊藤叡王は初の海外公式戦となる。
藤井王座は、2016年10月に四段昇段。第37期竜王(1組以上:4期)、第83期名人(A級以上:4期)。2017年の初タイトル獲得以来、防衛・奪取を続け現在の獲得数は歴代5位の30期。2023年度の王座戦では七冠王として初挑戦し、永瀬拓矢王座(当時)との死闘の末に奪取に成功。前人未踏の全八冠を達成した。翌年には、前王座の永瀬九段を挑戦者に迎えて防衛戦に挑み、無傷の3連勝で初防衛を果たした。今期は同学年の最強挑戦者を相手に、王座3連覇を目指す。
伊藤叡王は、2020年10月に四段昇段。竜王戦1組(1組:2期)、順位戦B級1組。2021年の新人王戦で棋戦初優勝。2024年の叡王戦五番勝負で藤井八冠(当時)を破り初タイトルの叡王位を獲得。今春に臨んだ初の防衛戦では、挑戦者の斎藤慎太郎八段を3勝2敗で退け、2連覇を達成した。今期の王座戦には挑戦者決定トーナメントから参戦し、山崎隆之九段、永瀬九段、広瀬章人九段、羽生善治九段と歴代王座を含む超強豪を次々に破って初の挑戦権を獲得。この五番勝負では、2つ目のタイトル奪取を狙う。
ともに2002年生まれの両者は、23歳を迎える年齢にしてすでに3度のタイトル戦で激突している。これまでの公式戦対戦成績は、藤井王座の12勝3敗1持将棋とリードしているものの、2024年度の第9期叡王戦五番勝負では将棋界の全8つのタイトルすべてを手中に収めていた藤井八冠に伊藤七段が挑戦。フルセットの大激闘の末に伊藤七段が勝利し、藤井八冠の牙城を崩したことでも大きな話題となった。
両者の対戦は、2024年6月に行われた叡王戦第5局以来約1年ぶり。七冠を堅守する藤井王座と、本年度の叡王戦で初防衛を飾った伊藤叡王は、この五番勝負でどのような新しい将棋の未来を描くのか。
持ち時間は各5時間の1日制。振り駒の結果、先手番は伊藤叡王に決定した。 (ABEMA/将棋チャンネルより)