静岡県牧之原市で5日、突風が発生し、少なくとも23人が重軽傷を負いました。この突風をもたらしたとみられる台風15号は5日夜に温帯低気圧に変わりましたが、各地で線状降水帯を発生させるなど大雨をもたらしました。
“やや発達”しながら列島横断
台風の通り道となった愛知県岡崎市では広い範囲で冠水。住宅街も水に浸かりました。弁当配達中の男性は車が進めず、水をかき分けながら歩いて配達。入口近くまで水が迫っていた工場では。
「60センチ近くまで水が来てたので」
5日朝、和歌山県に再上陸した台風15号は、その後も“やや発達”しながら日本列島を横断しました。猛烈な雨に見舞われた静岡県では立て続けに3回、線状降水帯が発生。最初の線状降水帯ができたのと同じころ、竜巻とみられる突風が吹き荒れました。トレーラーが横転し、電柱は根こそぎ倒れ、屋根が吹き飛んだ住宅もありました。
突風が発生していた時間帯に撮影された映像には、地面から巻き上げられたものが渦を巻くようにして舞っている様子が映っています。撮影者によると、雨風が強まり空が暗くなった後、すぐに突風が吹いたといいます。
「地震が来たかのよう」
突風で屋根が飛ばされた住宅。持ち主は仕事で外出中でした。
「仕事終わって帰ってきたら、こうなっていた」
庭に止めていた2台の車は15メートルほど飛ばされ、無残な形に。
「もう何と言っていいか分からない。もう絶望しかない。言葉に表せないぐらい」
窓ガラスが割れた別の家では。
「窓は完全に吹き飛ばされました」
「起きた瞬間に急に停電になって。震度3ぐらいの地震が来たのかなと思ったら台風で。そっちで姉が寝てたんですけど、起こして玄関に避難した感じです」
割れたガラスでけがもしたということです。
「足をちょっと」
(Q.縫った)
「5針ぐらい」
「手もちょっと」
牧之原市では少なくとも23人が重軽傷を負ったほか、37棟の住宅に被害が出ています。
静岡 突風で火災発生
隣接する吉田町では火災も起きました。燃えたのは塗装工事などを行う会社の倉庫。所有者によると、近くの工場から突風で飛ばされてきたものが倉庫や車にぶつかり、その後、炎が上がったということです。
SNSに寄せられた情報などを集めると、竜巻とみられる突風被害は5キロほどの範囲に及んでいることが分かりました。台風の時は竜巻が発生しやすい状況になります。1年で台風の上陸が最も多いのは9月。そして、竜巻の発生件数が1番多いのも9月です。
竜巻が起こりやすいのは台風の中心から遠く離れた東側。その定石通り、今度は関東でも。雨風が強くなってきた茨城県日立市で撮られた映像。どこからか看板が飛来。その後、渦を巻いた真っ白な突風が駐車場に止めてあった車2台を持ち上げ、ひっくり返しました。茨城県北部にも竜巻注意情報が発表されていて、実際に激しい突風が発生していたとみられます。
神奈川 今年初の線状降水帯
神奈川では午後3時過ぎ、関東で今年初めてとなる線状降水帯が発生しました。鎌倉市では午後から激しい雨になり、鶴岡八幡宮へと続く鳥居周辺も水に覆われました。観光名所の小町通り近くも道路が川のように。その後も雨は降りやまず、鎌倉駅前の道路は冠水で通行止めとなりました。雨がやんでも、すぐに水が引くわけではありません。
(Q.何の作業中なのか)
「排水をポンプで吸い上げるが、ゴミがたまらないようにしている。十何年ぶりくらい、大きくたまったのは」
周辺の店は片付けに追われていました。
「水が入っちゃったのでかき出している。午前10時くらいから風が出てきて、お昼過ぎくらいから横殴り。何しろ怖いのは水。あっという間、上がってくるのが」