去年、成立した改正民法によって 施行まで1年を切った「離婚後の共同親権」。今回の法改正では、離婚した場合でも双方が子どもの養育に責任を負うことが明確化されている。 そうした中、離婚した父母の間で大きな問題となっているのが 「子どもの養育費未払い」。
【映像】「払うのが馬鹿らしい」「刑事的な罰則は日本にない」2年間、養育費“未払い”のスミヨシさん(40)
「去年の夏頃から支払いが止まっている。どうやら仕事がうまくいかなくて、生活が困窮したから払えないと…」と話す女性。離婚するとき、養育費を月6万円支払うと取り決めしたにもかかわらず、1年以上未払いが続いているという。「子どもの服や靴は綺麗なものを履かせてあげたいが、古着を買って節約したり、男の子3人なので、食費でいっぱいいっぱいだ」。
実は、この女性だけでなく、離婚した父親から養育費を受け取っている母子世帯は3割以下。7割以上は未払いだ。民法改正でも「父母はこどもの利益のため互いの人格尊重や協力が義務」と明記されているが、なぜ支払わないのか。『ABEMA Prime』で、当事者に話を聞いた。
■養育費の支払いをやめたスミヨシさん(40)

約4年前に離婚したスミヨシさん(40)は、「最初からもう払う気なくて、なんか馬鹿らしい」と話す。離婚したときは月額4万5,000円の養育費を支払うと取り決めていたが、直近の2年ほどは支払うのをやめている。
その大きな理由は「子どもと会えないこと」だという。「子どもとも、離婚すると大体会えなくなっちゃうのはわかっていたので、もう払うのやめた」。裁判所から面会交流を働きかけてくれないのか。スミヨシさんは「働きかけはするが、最終的に決めるのは親権を持っている元妻だ。そこが『知らん』って言えばそれで終わる」と答えた。
離婚後、子どもとは1度しか会えていなく、元妻からは養育費の支払いを求め給料を差し押さえる命令がきたが、その時すでに会社を退職した。「自分は会社員ではないから、給与債権を差し押さえられない。差し押さえられなかったら、何か刑事的な罰則は今のところ日本にはない。会社を辞めたタイミングで怖いものがなくなったので、支払うのをやめた」。
しかし、子どもに会わせてくれたら、「過去の分も含め養育費を支払う」とのこと。今、子どもに対しては、「『元気に暮らしてるかな』ぐらいは思うが、自分の子どもである気持ちは薄れていった」と感じている。
■「生きてるか死んでるかわからないのに払えと言われても…」

別居・離婚後の親子関係について当事者支援をしている目黒区議の竹村雄尉氏は、スミヨシさんに対して、「養育費を支払って、親としての義務を果たしているのに、子どもに会えないのは納得いかない」との理解を示す。一方で、「養育費は、子どもが健やかに暮らすためのもの。親と離れている子どもは、養育費が払われていない、親子交流が行われていない経緯を知らない子どもの方が圧倒的に多い。その中で1番大事なのは、『離れて暮らす親から大切にされていない』と子どもが感じてしまうことが大きな問題だと思う。今、お父さんと接点がないことに心を痛めているんじゃないか」と指摘した。
スミヨシさんは、「自分の子どもだから払えと言われるのはわかる。世の中的にはそうだと思うが、ぶっちゃけ生きてるか死んでるかわからないのに払えと言われても、『それなんなの?』っていう感じ。全く見えない状況で払えというのは、一方的すぎるんじゃないかと思う」と反論する。
子どもと会う努力はしたのか。「結局、裁判所としては『会わせてください』としか言えず、何も強制力がない。それをわかった上で努力するのは、自分には当たらないギャンブルや宝くじを買えと言ってるようなものだと思う」。
■「子どもに会わせると問題があるパターンもあるけど、払わない選択肢はない」

両親が離婚したというコラムニストの小原ブラス氏は、「お母さんは養育費を全然もらってなかった。それで、実のお父さんは死ぬ直前に何を思ったか、連絡してこようとしてきた。自分は連絡を取り合いたくないと思ったので、お断りしたが、そのときに養育費とかもらってないから、全く関わりがなくて良かったと思った。養育費がない方が、幸せなパターンもある」との見方を示す。
離婚経験のある、モデルの益若つばさは「養育費は受け取ってはなかったが、面会は定期的にしている。子どもが遊びに行ったり、泊まりに行ったりとかもある。『(スミヨシさんが)会えないから払わない』と言いたいこともわかるが、半分遺伝子が入っていて、自分の子どもに変わりない」。
さらに、「なんで面会をさせたくないかって考えたとき、いろんなご家庭の事情があるとは思うが、少なくとも会わせたくない事情があるかもしれない。DVやモラハラの家庭もあったりする。子どもに会わせると何か問題があるパターンもあるけど、払わない選択肢はないんじゃないか。7割以上の人が払わない現状だけど、払うことがマストであるべき」と主張した。
(『ABEMA Prime』より)