秋を代表する味覚サンマ。今年は、ここ数年にない“豊漁”で、受け入れ態勢が追いつかないほど、港は活気に満ちています。
東京・世田谷区にある飲食店。質のいいサンマが続々と届いているため、メニューを増やしました。
「今年のサンマは“ミラクルサンマ”。みんな笑顔にさせているような気がします」
店頭に並ぶサンマも、今年は大ぶりです。大きさ30センチ、重さ180グラムほどのサンマが、1匹220円。去年のこの時期は、サイズも小さく、価格は、500円を超えていました。
「(ここ数年は)高い。あまりサンマ食べられなかったけど、今年は、結構、食べてる」
購入者
「もう3〜4年ぶりくらい、こんないいサンマ」
「今年は値段も落ち着いているし、脂も乗っているので、ここ数年とは違う」
サンマの水揚げ本州一を誇る岩手県の大船渡港も、活気にあふれていました。
2日に水揚げされたサンマは約90トン。漁は近年にないほど、好調だといいます。
「去年に比べるとだいぶ大きい。いっぱいとれてくれれば、私たちも消費者も助かる」
去年のサンマの漁獲量は、約35万トンあった2008年の10分の1ほどに落ち込んでいました。
しかし、今年は好調。サンマを運ぶための氷や発泡スチロールが足りず、受け入れが追いつかない港があるなどとして、13年ぶりに漁獲量の調整を行っているほどです。
その理由は、海流の変化によって、日本の近くにサンマのエサとなるプランクトンが増えたためとされています。ただ、今後も同じ状況が続くかどうかはわかっていません。
例年にないサンマの水揚げに沸く“北の海”。その一方で、宮城県では、高級食材として知られる意外なものが、かつてない“豊漁”となっています。
南三陸町で大量に水揚げされているのは、高級食材として知られるイセエビ。その名の由来ともされているように、三重県の名物として知られています。
漁港では、3年ほど前までほとんどとれなかったイセエビの豊漁が続いています。今年の水揚げは1300キロ以上と、すでに昨年度の年間水揚げを大幅に上回っているのです。
「いまになって、毎日、水揚げになっている。イセエビも資源が増えて、町の特産になればいい」
暖かい海でとれるイセエビが、なぜ東北の海にも。
「東北地方から北海道にかけての沿岸は、世界でもまれにみる水温の上昇がみられているところ」
海水温の上昇によって、東北の海で冬を越せるようになったのも大きいといいます。
「イセエビがたくさんとれると、いいかもしれないけど、三陸が大事にしてきたサケや、北の魚たちがすみにくい環境に。イセエビがとれてうれしい海と、サケがとれてうれしい海は両立しない、地域に突きつけられている状況。急激に生態系が変わっていくことは、どうしても影の部分もあると思う」