日本航空の機長の飲酒によって、出発便に最大18時間の遅れが生じた問題で、国土交通省は10日、『厳重注意』の行政指導をしました。
「社員一人一人に安全意識が徹底されていないと言わざるを得ない。ここに厳重に注意する」
問題が起きたのは、8月28日のこと。
ハワイから中部国際空港へ向かう便に乗務予定だった機長から、起床後の自主検査でアルコールが検知されます。呼気1リットルあたり0.45ミリグラム。
前日の午後にビール3本を飲んでいました。
機長は、その後、約60回にわたって検査を繰り返しましたが、ホテルを出る時刻になっても、微量のアルコールが検知されました。後の社内調査では、機長が検査データを改ざんし、飲酒を隠蔽しようとしていたとみられることがわかっています。
状況を把握した日本航空は、機長を乗務から除外。合わせて3便に最大18時間の遅れが生じました。
問題が起きた8月は、日本航空にとって、ジャンボ機墜落事故があった特別な月のはず。
事故から40年となる先月12日には、鳥取社長が事故の現場に登り、安全への誓いを新たにしたばかりでした。
「これまでのご遺族の方の40年という月日に対して、裏切ったようなそういった思いがございまして。憤りですとか、不信感を超えて、もうあきれているというような状況かと思います」
鳥取社長が就任した以降、飲酒が絡む行政指導は、今回が3度目です。去年4月にはアメリカで、機長が飲酒によるトラブルを起こして厳重注意を受け、12月にはオーストラリアで、機長と副機長が過度な飲酒をしたうえ、口裏合わせをして隠蔽したなどとして、業務改善勧告を受けています。
日本航空は、その後、緊急の再発防止策として、滞在先での飲酒を全面的に禁止していましたが、機能しませんでした。機長は、日頃の飲酒傾向から“要注意者”のリストにのっていましたが、これも、防止にはつながりませんでした。
「本当の意味で『管理ができていたか』と問われると、そこにやはり、最終的には見きれていない。そういったところも含めまして、やはり甘さがあったなと」
日本航空は機長を懲戒解雇する方針。緊急対策として、特に飲酒リスクが高いと判断したパイロット4人を、すでに乗務から外したということです。
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