10月を予定している自民党総裁選が経済に与える影響について、エコノミストの崔 真淑氏に聞いた。
崔氏は「これまでの日本の総裁選は外交、経済、マーケットにそれほど影響を及ぼさなかったが今回は全く違う」と述べ、その“3つの理由”を以下のように語る。
「1つ目は、右寄りの総裁が誕生すると中国、韓国との関係、東アジアの地政学リスクがある」(崔 真淑氏、以下同)
「2つ目が、それに伴って防衛費を増やすという話になると、日本の財政と国際金利への影響がある」
「3つ目に、トランプ大統領の付き合い方がどうなるか。トランプ大統領から自動車も含めて関税15%を引き出したが、5500億ドルの投融資は中身が全く決まっていない。アメリカ寄りの総裁になるのか否かによって、中身が全く変わってくる。日本がかなりコストを支払うような形になると、それに伴い他の国の外交戦略にも影響を及ぼす。その意味で今回の総裁選は重要だ」
個人投資家が注意すべきポイントは?

海外の通信社の記事では、「総裁選トレード」「高市トレード」などというワードが散見される。株価も次期総裁を予測した動きとなっているという見方もあり、この現状について、以下のように解説する。
「高市氏がもし総裁になると、日本銀行が金利を上げる方向性に重しをかけ、むしろ利下げをしろと話が出るのではないか。それにより不動産、株が上がるのではないだろうか。一方で、金利が下がるということは、銀行にとっては収益がマイナスで株価が下がる。また防衛や原子力に関しても積極的になり、この辺りの株がすでに上がってきている。そういった期待を私は『高市トレード』と解釈している」
「(小泉氏が総裁になった場合)真逆の動きになるのではないか。日本銀行の政策金利を上げていきたいという方向性に対して重しにはならず、銀行は収益、利ざやを稼げることでプラスになるだろう。一方、金利が上がる世界になると不動産にはマイナス、また防衛や原子力に関しても明確に答えを出していないため下がるのではないか。このあたりが、市場のコンセンサスではないかと思う」
値動きがあると個人投資家も投資のチャンスでは、と気になるところだが…。
「一般の個人投資家の方は、『小泉トレード、高市トレードにかけてやろう』とは絶対しない方が良い。総裁選では、市場の予想と違う人が選ばれる可能性もある。『一気に賭けに出よう』というのはリスクがある」
(『ABEMAヒルズ』より)