新入社員の女性が自殺したのは、勤めていた化粧品メーカーの社長からのパワハラが原因だと遺族が訴えていた裁判で、東京地裁は会社側の責任を認めました。会社側は遺族側に1億5000万円を支払う決定をされ、社長が辞任しました。
叱責50分 うつ病休職から自殺
「結構一生懸命になる子で、本当にやる時はやるし、頑張り屋さん」
カメラに笑顔を見せる里実さん。化粧品会社を起業することを夢見る明るい女性でした。
「社長に対して弁護士が言った通り、里実が生きているうちに謝っていただけたらよかったなって」
2021年4月、化粧品メーカー「ディー・アップ」に入社した里実さん。入社から8カ月後、「上司に反抗的な態度をとっている」などといった理由で、一方的に社長室に呼び出されます。
「お前大人をなめるなよ。先輩が注意した時もひどい態度をとってるらしいな。そういう人は合わねぇな。うちには」
およそ50分間にわたり叱責を受けたといいます。それでも里実さんは。
「チャンスをください。今後一切そのような態度を見せないように、ちゃんと自分なりに分析して」
坂井社長
「分析どころの話じゃねえ。チャンスはもうない。いいよ終わり。世の中でいう野良犬っていうんだよ。そういう人たちのいるところで仕事したほうがいいよ」
翌日も激しく責められた里実さんは、年明けにうつ病と診断され、休職に追い込まれました。
その後、里実さんは自殺を図り、一命は取り留めましたが意識は戻らず、おととし10月に25歳で亡くなりました。
社長辞任「組織ガバナンス強化」
労働基準監督署は、坂井社長の言動がパワハラにあたり、うつ病と自殺に因果関係があると認定。東京地方裁判所が9日、会社側の謝罪や1億5000万円の支払いなどを決定しました。
「裁判官が出してくれた結果は、すごくうれしいというか。里実もいたらうれしいんだろうなって。もう少し社会が頑張っている人に対して温かくなればな」
ディー・アップはホームページにコメントを発表しました。
今回の決定には社長の辞任も含まれていて、坂井社長が退任したことも明らかにしています。今後の再発防止策については。
厚生労働省は、悩みを抱えている人には、1人で悩みなどを抱えずに「こころの健康相談統一ダイヤル」や「いのちの電話」などの相談窓口を利用するよう、呼び掛けています。
▼「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556
▼「#いのちSOS」0120-061-338
▼「よりそいホットライン」0120-279-338
▼「いのちの電話」0570-783-556
(「グッド!モーニング」2025年9月12日放送分より)