クレジットカードの不正利用の被害額が過去最高となっています。そんななか、海外で逮捕された男のスマートフォンには日本人のカード情報が。一体、どう対策すればいいのでしょうか。
“クレカ被害”狙われる日本人
クレジットカードの不正利用の被害に遭った60代の男性。
「あまり使わないカードで認証の案内が来たので、不正が発覚した」
先月、携帯電話に送られてきたのは、身に覚えのない利用金額1万3180円の案内です。
「決済した覚えのないところでワンタイムパスワードが届いたので、カード会社に問い合わせた」
男性は、去年も別のカードで被害に遭っていました。
「『すでに30万円くらい決済されている』と連絡をもらった。未遂も合わせると合計80万円から100万円。その時は海外出張があったので出張先でクレジットカード決済の時にカードを預けている奥で、端末操作されて持ってきたが、その時にスキミング(カード情報を抜き取る)されたのか、それ以外には心当たりがない」
クレジットカードの不正利用の被害額は、過去最高の555億円。被害の9割を占めるのが「番号の盗用」です。そのうち、海外で不正利用されるケースは26%に及んでいます。
今、日本のクレジットカードが、海外の犯罪グループの標的になっています。
タイ警察の捜査員が、容疑者を逮捕する瞬間の映像。現場は、バンコクにあるアパートの一室です。
逮捕されたのは、ミャンマー国籍のカウンカンソー容疑者(24)。すぐそばには、複数のスマートフォンが。男は、他人のクレジットカード情報で200台以上のスマートフォンなどを不正に購入し、転売するなどしていたとみられます。
「逮捕された後も、まだ荷物が届き続けていました」
「ほぼ毎日、何かを注文していました。海外からの荷物もかなり多かったです」
警察が押収品などを調べると、日本人をはじめ、アメリカ、中国、インドなど、少なくとも3万人分のクレジットカード情報が、アプリを使った犯罪専用のグループでやりとりされていたことが分かりました。
不正利用を防ぐには、どうすればよいのでしょうか?今すぐできる対策を取材しました。
不正利用の対策は?
日本のクレジットカードを不正利用しているとみられる、海外の犯罪グループ。
「実際に容疑者のスマートフォンなどに残されていたアプリのやりとりの記録。『JAPAN』の横に日本の国旗、複数の日本のクレジットカード情報がやりとりされていることが分かります」
犯罪に使われているのは、秘匿性の高いツールです。クレジットカードの情報を入力すると、自動的に、登録した国や利用可能かどうかが分かる仕組みのようです。
「裕福な人が多いと見られる国で、クレジットカードの利用可能額などから、より効果的に不正使用ができる国の一つとして狙われているのだと考えられます」
「通信アプリを使った犯罪ツールを活用するとみられるグループは、様々な規模のものがあった。小さいもので16人、大きくなると200人や1000人、最大で2万人のものもあったということです。互いに面識はないとみられ、個人個人が何らかの方法で手に入れたカード情報を利用可能か調べるほか、カード情報が共有されるなどして犯罪に活用されていたとみられています」
日本クレジットカード協会は、「こまめに利用明細を確認することが重要」としています。また、1回限り有効な「ワンタイムパスワード」を設定することで、リスクを減らすことができるといいます。