11日、記録的な大雨となった東京。一夜明け、住宅や店舗では片付けなどに追われていました。
品川区を流れる立会川は氾濫。12日、水位は大幅に下がりましたが、橋の欄干には材木や家財などが山積みとなっていました。
「ともかく、水が上がるのが早かったから。怖かったよ」
立会川には、暗渠(あんきょ)と呼ばれる地下に埋設された部分があります。地表にのぞいてるのは、わずか750メートル。地下に隠れた部分は6キロ以上、いうなれば“見えない川”です。
被害は、その“暗渠”沿いに集中していました。その1つが、上流にあたる西小山です。
冠水被害が起きたのは、立会川の暗渠部分に当たる駅の周辺です。
「この桜並木の下が川。ここがずっと川なんです。今は、道路になっているけど、川だから、地形的に川があるというのは、(土地が)低いってことだよね。結局は、捌けきれなかったんでしょう」
西小山駅周辺のハザードマップを見ると、暗渠沿いに浸水が想定されているのがわかります。実際に被害が発生したのは、その範囲内でした。
同様のことは戸越銀座でも起きました。
商店街にある動物病院。膝の高さまで水がきて、病変の有無を調べるためのエコーが壊れました。
「物にもよりますけど、200〜300万円くらいはする。予防薬が、全部、浸水してしまって、これはもう使えない」
11日午後3時10分ごろの映像を見ると、まだ冠水は起きていません。少しずつ水かさが増し、瞬く間に、通りは川のようになりました。
ハザードマップを見ると商店街は、2階部分まで浸水する可能性が示されています。
なぜ、これほどの被害が想定されるのか。
明治時代の地図をひもとくと、この場所には、かつて川が流れていました。
暗渠にされた“見えない川”の上につくられた商店街。谷底にあるため、雨水が集まりやすい地形です。
「戸越銀座通りは、品川用水って、江戸時代の人工の川のような場所。水はけが悪い場所。自分たちが思う以上の短い間の雨量だったので、側溝に流れることができず、あふれてきている感じ。戸越銀座に新しく店を出した人は、昔の構造を知らない人も多い。これからは、どんどん周知していこうと」
現在、品川区が進めているのが『第二戸越幹線整備事業』。目黒川に雨水を排水する新たな下水道管の整備です。すでにある戸越幹線と併用することで、1時間75ミリの雨に対応できるようにします。
しかし、11日は、1時間に約120ミリという猛烈な雨が降ったとみられ、実際の雨に対策が追いついていないのが現状です。
「私たち品川区としても、改めて、想定外の短期的な豪雨が起こることを踏まえ、考えていきたい」