社会

ABEMA NEWS

2025年9月14日 11:01

被害総額275億円超 急増する「SNS型ロマンス詐欺」の実態 最近では恋愛型から投資型へとシフト 識者「投資詐欺が9割に」被害者が相談した弁護士による“二次被害”まで出る深刻さ

被害総額275億円超 急増する「SNS型ロマンス詐欺」の実態 最近では恋愛型から投資型へとシフト 識者「投資詐欺が9割に」被害者が相談した弁護士による“二次被害”まで出る深刻さ
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 SNSやマッチングアプリを通じて知り合い、恋愛感情を抱かせた上で現金などを騙し取る「SNS型ロマンス詐欺」が急増している。警察庁によると、今年7月時点での認知件数は2927件で昨年同時期と比較して54.2%も増加。被害額も275億5000万円と38.2%も増えている。

【映像】SNS型投資詐欺の手口(詳細)

 手口も多様化を見せており、かつては巧みな言葉で恋心を持たせて金を引き出すだけだったが、最近では投資を持ちかけるケースも。5月には60代の男性がイギリス帰りの日本人女性と名乗る人物に暗号資産の投資を持ちかけられ、4億600万円を振り込んでしまった。「ABEMA Prime」では、投資型のロマンス詐欺の被害に遭い、さらに相談した弁護士にまで騙される二次被害にも見舞われた当事者に話を聞いた。

■SNSでDMを送ってきた女性と結婚の約束も

ニースさん

 総額500万円以上の被害にあったニースさんは、2022年5月に京都在住という医療美容会社経営の女性(32)を名乗る人物から、Xでフォローされた。「一応、相手の女性の投稿内容を見て、特に問題なさそうだったのでフォローバックしたら、相手からDMが来た。『もっとお話をしましょう』ということで、相手のタイムラインも見て趣味が合いそうだったので、私もそれに応じてしまった」。会話を重ねるうちに、やり取りをLINEに移すことになると、数日後にはプロポーズ。その後は日常会話を繰り返した。

 それから半月後、女性が渋谷に支店を出すという話から、そのタイミングで会い、結婚をしようという話を進めた。「その時にはお互い気持ちが盛り上がっていた」とニースさんは振り返るが、相手からは「まだ忙しいから会えない」と戻ってきた。ただし「でも2人は一緒になるから、そろそろ2人で口座を作って将来のためにお金を貯めていきましょうと誘われて、それを受けてしまった。当時、私はあまりお金がなかったが『じゃあ私も半分出しますね』と言われて、半額ずつ出して相手に誘導された投資アプリに金を入れた」と、消費者金融や両親への借金で金策し、総額500万円以上を入金した。

 詐欺だと判明したのは、入金したものを引き出そうとした時だ。「お金をおろそうとしたら『税金が必要』だと言われておろせなかった」。さすがに不信に思い、ネットで調べたところ、詐欺の手口だと気づいた。ここまでで被害総額は約545万円にもなっていた。

■相談した弁護士による“二次被害”

なぜ騙される?

 詐欺に気づいたニースさんだが、相談先に選んだ弁護士でも、また被害に遭った。「なんとか少しでもお金を取り戻したいと思ってサイトを検索したら、ロマンス詐欺に強い弁護士のページが引っかかった。弁護士に相談したら、まずは銀行口座を凍結して、詐欺被害救済法でお金を取り戻すのと同時に、詐欺に使われた口座名義人に返還請求しようと案内された」。

 弁護士側が提示してきた着手金・調査費は約70万円。「結構高かったので、3日ぐらい考えさせてくれと言ったが、詐欺被害口座はすぐに詐欺師がお金をおろしてしまうから、急がないと間に合わないと言われた」と、さらに金を工面して即日契約した。しかし契約した後、弁護士側がなかなか調査報告を出さない上に「もう相手の名義人と連絡が取れないので訴訟を起こすしかないと言われた。その訴訟費用にも40〜50万円かかると言われた」ことから、別の弁護士に相談することを決意。1人目の弁護士との契約解除を勧められて解除、さらに調査費の返還要求をしたことで、なんとか一部を取り戻すことができた。

 自身も過去に被害経験があり、現在は国際ロマンス詐欺被害者救済のNPO「CHARMS」の代表を務める新川てるえ氏は、急増する投資型の実態を語る。「今まで私が10年ぐらい支援をした中で1000人ぐらい話を聞いていると思うが、みなさん『自分は騙されない』と思っていたという。国際ロマンス詐欺は2000年代初頭からあるもので、コロナ禍になってから、投資詐欺がすごく増えた。今では比率が変わっていて、投資系詐欺が9割ぐらいを占める。騙された人の多くはいろいろなマインドコントロールにあっている。また投資系詐欺の方が元祖国際ロマンス詐欺よりもストーリー展開が早い」と特徴を述べていた。 (『ABEMA Prime』より)

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