社会

ABEMA NEWS

2025年9月14日 14:31

「ただの同棲でしょ」事実婚に広がる認知と批判…法律婚と何が違う?当事者「日常生活での不都合は多くない」「保険の受取人を母から夫にしたことで『他人を指定した』となり…」

「ただの同棲でしょ」事実婚に広がる認知と批判…法律婚と何が違う?当事者「日常生活での不都合は多くない」「保険の受取人を母から夫にしたことで『他人を指定した』となり…」
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 婚姻届の提出は行わずに、事実上の夫婦として生活を送る「事実婚」。内閣府の調査では、事実婚状態にある成人は約3%と、少しずつ認知されているが、ネットでは「ただの同棲でしょ」などと、批判的な声が少なくない。それでも、事実婚を選んだ人の多くは、別々の名字を名乗る「選択的夫婦別姓」の導入を待ち望んでいる。

【映像】事実婚した前田のぞみさんの“結婚写真”(顔出しあり)

 今年4月に事実婚をした前田のぞみさん(27)も、その1人だ。事実婚は特別な届出が不要で、婚姻の意思と共同生活の実態があれば成立する。一方で「夫婦であること」の証明が難しく、前田さんのように住民票上で「世帯主」と「未届の妻」としているケースもある。一部自治体では「パートナーシップ制度」もある。

 しかし法律婚の方がメリットは多く、前田さんも悩んだという。事実婚の現在地は、どこにあるのか。『ABEMA Prime』では、当事者と識者とともに考えた。

■事実婚とは

事実婚

 そもそも事実婚とは、何なのか。古藤由佳弁護士は「届出をしていないが、婚姻意思があって、共同生活しているという、婚姻の実態がある関係性を指す。法律婚との違いで大きな点は相続権だ。法律婚であれば当然相続できるものが、事実婚ではできず、事前に遺言などを作っておく必要がある。子どもについても、法律婚の夫婦は共同親権だが、事実婚では基本的に母親の単独親権になる」と説明する。

 前田さんは、結婚から半年たった感想として、「日常生活での不都合は多くないが、生命保険の受取人を母から夫にしたことで、『他人を指定した』となり、控除が受けられなくなった。金銭的には微々たるものだが、『他人なんだな』と精神的にショックを覚えた」と明かす。

 古藤弁護士によると、「医療機関で治療の同意ができる、できない。銀行で住宅ローンが組める、組めないの対応が違う。あやふやの位置に置かれていること自体が不利益」なのだという。

 先日、事実婚を発表した笑下村塾代表のたかまつなな氏は、「選択的夫婦別姓が導入されていたら、法律婚したかった。『導入されていないから法律婚できない』という人は、推計58万人いるという調査もある。『時代的に親や地域の人が反対して、できなかった』という人もいる。男女で区切る問題ではないが、男性と女性では感覚が異なる。女性には、泣く泣く名字を変えて、アイデンティティーを失ったと感じている人も相当多い」と語る。

■結婚は「互いの気持ちの問題が一番」

結婚したくてもできない?

 「夫婦」とは、どのように定義すればいいのだろう。お笑いコンビ「ぺこぱ」の松陰寺太勇は、「古いと言われたら古いのだろうが、僕は役所に届け出たときに、やはり夫婦の重みを感じた」と振り返る。

 前田さんは「結婚とは何たるかは、互いの気持ちの問題が一番だ。ただ子どものことに関しては、どうしても親権がどちらかしか選べない現状がある。それが子どものためになるのかと考えると、少し慎重になる」と吐露する。

 ジャーナリストの堀潤氏は、「口約束か、書面で契約するか」だと考える。「事実婚は口約束だが、契約は成り立つ。ただ、口約束でも契約が成り立つはずの社会なのに、書面で契約を交わした人には保障される権利があり、口約束では保障されない権利がある。それではバランスが悪いから、対等な契約関係の制度を作るのが、実務としてやるべきことだ」。

 たかまつ氏は「こうした問題が少子化につながっている」と指摘する。「日本では『結婚して、その後に子どもを生む』という価値観があるため、『結婚で名字を変えたくないから、慎重になろう』という人もいる。カジュアルに結婚してみようと感じる人は少ないのではないか」。

(『ABEMA Prime』より)

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