旅の安全を守るはずの空港の保安検査員が、手荷物検査中に現金を盗んだ疑いで逮捕されました。
客の現金を盗んだ手口は?
「今から保安検査に行くが、ちょっと怖い」
空の玄関口で、まさかの事態が起きました。
羽田空港第1ターミナル内の保安検査場で、乗客の現金が盗まれていたことが分かりました。
逮捕されたのは、保安検査員の松本龍容疑者(21)。乗客から現金9万円を奪った容疑です。
旅の安全を守るはずの保安検査場で、なぜ事件は起きたのでしょうか。
3連休の最終日、羽田空港は大混雑。出発の時、必ず行うのが手荷物の検査です。
乗客は、かばんや財布などをトレーに入れます。そしてレーンに…。
検査を行うのが保安検査員です。荷物を整理する係、エックス線の映像を監視する係、必要ならかばんを開けて調べる係など、複数の検査員が役割を分担しています。松本容疑者は、この中の「整理係」でした。
目の前には乗客、周りには複数の検査員。どうやって客の現金を…その手口は?
13日、被害に遭ったのは30代の男性。現金11万円あまりをそのままトレーに置きました。
松本容疑者は、あたかも整理をするふりをして11万円のなかから9万円を抜き取り、ワイシャツの右胸のポケットに隠したと見られています。乗客はトレーをレーンに流すと、すぐに金属探知ゲートへ。
「(Q.保安検査、荷物を触るが気にしたことは?)ないです、そのまま。自分がピーってならないか気になるので。信頼して荷物を預けているので、ありえない。がっちり財布をしめていきたい」
元保安検査員だという女性は…。
「私が保安検査で働いていたことがあって」
「(Q.財布や現金に触れることは?)基本的にない」
さらに松本容疑者は、乗客の金を奪った後、驚きの行動に出ます。
一般客も使うトイレに入り、トイレットペーパーの芯に現金を隠したのです。勤務を終えた後、回収しようとしていたとみられます。
事件が発覚したのは、被害に遭った男性が現金がなくなったことに気づいたため。
相談を受けた警察官が防犯カメラを確認。浮かび上がったのが松本容疑者でした。隠されたトイレの現金も見つかりました。
「乗客の現金を盗んだことに間違いない。バレるかもしれないスリルを楽しむために盗んだ」
容疑者に借金はないとみられ、動機はスリルだったといいます。さらに…。
「8月頃から70〜80件やった。約150万円盗んだ」
わずか1カ月半で80件。安全を守るはずの検査員が、繰り返し乗客の金を奪ったとみられます。
「信用で預けているので、何も預けることが出来なくなる。同じような仕事をしているが、信用をなくしたら成り立たない」