外国人労働者の受け入れに不安や反発の声もある一方で、人手不足が深刻化する物流業界では外国人ドライバーの存在感が高まっています。即戦力として働けるカンボジア人の育成を支援する取り組みも始まっています。
首都プノンペンに自動車学校設立
2800人のドライバーを抱える運送会社。3連休の間も忙しく働いています。
井上健グループ長
「人手不足感に関して、業界全体としては問題的な状態。当社の場合は採用活動を強化したり、働き方を少し変えてみたり、そういったことを工夫しながら今進めている」
2030年には、荷物の3割以上が運べなくなると言われるほど深刻なドライバー不足に陥っている日本。(※内閣府より)
政府も「特定技能」の枠を広げ、外国人労働者の受け入れ拡大に動いていますが、追いついていないのが現状です。
こちらの運送会社では、今年初めて外国人ドライバーを採用しました。
「A地点からB地点に運ぶ、お届けするだけでしたら、まだいいかもしれないが、お客様に対面で納品するとかコミュニケーションを要するとか、そういった物の運び方のお仕事に関してはまだまだ課題がある」
そうしたなか、即戦力として活躍できる外国人材の育成も進められています。
去年、福岡県で外国人ドライバーの支援会社を立ち上げた小林良介社長。人材の発掘先として注目したのが、カンボジアです。
「カンボジアの道路交通法に関して、日本政府の支援で作られたような部分があり、すごく似ている。親和性がすごく高いのではないかなと思う」
“日本式”の交通インフラが数多く整備されたカンボジアの人たちなら即戦力になるのでは。そう考えた小林さんは、8年前に首都プノンペンに自動車学校を設立しました。
渡航前に試験勉強
「日本語教育」に加え、特定技能の学科試験に向けた授業なども行っています。
「安全運転ができない方に対しては、これでは日本で働くと事故になるので今回は諦めてくださいと。逆に現地側で教育をしながら、日本で安全運転ができると確証を持った方を基本的には入国して働いてもらう」
7月には、カンボジアで第1段階をクリアした1期生2人が来日。小林さんの会社では、スーパーやコンビニでの買い物の仕方を教えるなど、2人が早く日本での生活に慣れるための支援も行っています。
「私にとって日本で働くのは、自分の家族のために日本で働きます。(家族を)今は連れて来られません。少し寂しいです」
カンボジアに妊娠中の妻と子どもを残し、来日したヴィリャックさん。
スン・キゴウンさん(27)は、カンボジアでは車の整備工場に勤務。大好きな日本車を運転する仕事がしたいと来日を決めました。
「最初は日本の車が好きですね。色々な車の関係のことを大好きで勉強して、日本の車がいいなと思って(日本に来ました)」
スーパーでの買い物にも慣れてきたといいます。
「朝のためですね。ハンバーガー」
宿泊先で2人は日本語で書かれた参考書を読みながら、作業資格の勉強に励みます。
もう一つ重要なのが運転免許の取得です。
免許試験の結果は?
教習所で1カ月に渡って実技訓練を受け、この日は大型免許取得のための卒業試験。大型車ならではの内輪差に苦戦しながら、何度も窓から顔を出し、慎重に運転する様子も。もし、試験で不合格となれば、即帰国となります。気になる試験の結果は…。
「合格しました。私の受験番号は3番です。キゴウンさんは2番」
「2番合格しました」
2人のカンボジア人ドライバーには、すでに熊本県の運送会社から内定が出ていて、残っている小型クレーンの資格試験に合格すれば、来月から現場でハンドルを握ります。
(「グッド!モーニング」2025年9月16日放送分より)