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2025年9月16日 17:17

異常気象…秋の味覚に異変 柿は変形まるでバナナ レンコン巨大化「奇跡の価格」に

異常気象…秋の味覚に異変 柿は変形まるでバナナ レンコン巨大化「奇跡の価格」に
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 暑さなどの影響で変形してしまっている柿が出てきている。今、異常気象の影響で生育不良や巨大化など、秋の味覚に変化が出てきているという。

まるでバナナ…柿に一体何が?

 島根県松江市にある柿農園を訪ねた。

須山農園 須山大輝代表
「ここが西条柿の畑です」

 オレンジ色のカーテンのように見える秋の風物詩、干し柿。島根県は干し柿に使用される「西条柿」の栽培面積日本一を誇っているが、その柿に今、異変が起きている。

「(Q.これ柿ですか?ぜんぜん丸くないですね)柿の実が分かれてしまって、柿の形じゃなくなっちゃう」
まるでバナナのように
まるでバナナのように

 まるでバナナの房のように実が分かれてしまったものや、天狗の鼻のような突起があるものまで。

 西条柿は縦長で4つの溝があるのが特徴だが、その溝が割れていびつな形になったという。

「今年だと4割ぐらいが(変形した柿)。ちょっとした絶望感はありましたね。他の農家さんもめちゃくちゃ多いと言ってる」

 10月中旬の収穫を前に4割ほどが変形。使える部分はドライフルーツなどに加工するが、ほとんどは廃棄せざるを得ない。

 なぜ、柿が変形してしまったのか?

「柿の花芽が出た(4月〜5月ごろ)タイミングでの寒暖差で、つぼみに影響が出ているのと、去年の暑さも影響してると言われたりしていて」

 日々の寒暖差が大きいことがストレスとなり正常に生育が進まなかった可能性と、去年の夏の暑さの影響で芽の形成に異常が起きた可能性があるという。

去年
去年

 須山農園では去年、猛暑の影響で大量発生したカメムシの被害に遭い収入が半減。そして今年は柿の変形と、2年連続で異常気象に悩まされている。

「1年かけて剪定(せんてい)から下草管理含めてやるんですけど、時間かけている分すごくショックは大きいですし、来年もなったらどうしようという不安もあったりします」

シャインマスカット お手頃価格の理由

 15日、スーパーの店頭で販売されていたのは今が旬のシャインマスカット。毎日200〜400パックを仕入れ、完売しているという。

スーパーイズミ 五味衛社長
「良い天気に恵まれて量が多いと思います」
「(Q.今年の価格は?)去年から見れば1割〜2割安いですね」
手頃な価格に
手頃な価格に

 生産地が広がり収穫量も増えたことで、手頃な価格になってきたシャインマスカット。

買い物客
「安いですよね。めちゃめちゃ安いと思います。この前ここで買ったシャインマスカット、同じような値段のやつ甘くておいしかったのでリピート買いです」
買い物客
「高級なものというイメージがあったけど、カジュアルに買えますね。毎日食べる、おいしいです」

 シャインマスカットの出荷のピークを迎えた新潟県。県内最大のブドウの産地・JA新潟かがやき管内では、今シーズンの総出荷量の4割をシャインマスカットが占める見込みだ。

生産者 佐藤匠さん
「ようやく収穫のシーズンを迎えて、皆さんにおいしいブドウを届けられる良いシーズンになった。一粒食べて『あーおいしいな』とニンマリするような皆さんの顔が浮かんでくる」

 今年は7月と8月に晴れの日が多く、糖度の高い状態に仕上がったという。

レンコン衝撃の巨大化

 猛暑の恩恵を受けているのが、秋から冬が旬のレンコン。

 レンコンの生産量が全国トップの茨城県では、今が収穫の真っ最中。腰まで水につかりながら、ホースから出る水流でレンコンを浮かせて収穫する。

 今年は、レンコンの大きさに異変が…。

レンコン
レンコン
れんこんの藤崎 藤崎孝一さん
「通常ですと、これぐらいが通常の大きさだと思いますね。今年のレンコンは本当に1.2〜1.5倍とか大きくて、こちらのように全体的に大きい」

 茨城県土浦市の先月の平均気温は28.7℃。猛暑日は14日あったが、井戸水で水温を調整したことで影響は少なかったという。

「(レンコンは)水の中にいるので、これがもし畑だったら、水がないのが致命的になると思うのですが、(井戸)水をくむことで温度が上がりすぎたら、水を入れてちょっとでも(水温を)下げます」
都内のスーパー
都内のスーパー

 都内のスーパーでは、こぶし大のレンコンが3つで259円(税込み)。

アキダイ 秋葉弘道社長
「100グラム58円ですが、以前は88円とか。ですから3割以上安い。この異常気象のなかで平年より安いというのは、もう奇跡だと思って下さい」
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秋ナス色付かず…野菜に何が?

 一方、猛暑の影響で被害が出ている野菜も…。

たぐちファーム 田口裕一郎代表
「これがうちの白ネギ畑になってます」

 島根県で盛んに栽培されている白ネギ。8月中旬までは順調に育っていたというが…。

白ネギ
白ネギ
「この辺もひどいですね、高さもだし太さも。植えて間もないくらいと変わらない。成長してないですね」

 白ネギは高温や乾燥に強いとされるが、猛暑が長引き、生育不良が起きているという。

軟腐病に感染した白ネギ
軟腐病に感染した白ネギ

 順調に育っている白ネギは長さ60センチ、太さは2センチほどだが、生育不良の白ネギは長さ40センチ、太さ1.5センチしかなかった。さらに、高温多湿で発生しやすくなる軟腐病(なんぷびょう)に感染。

「これがまさに軟腐病という病気で腐り始めてますね」

 感染すると軟らかくなり次第に腐っていくという。

「(腐った白ネギを)抜くのが悲しいですよね」

 全体の3割が感染してしまい、出荷できない状態に。生育不良と病気の影響で、白ネギの収入は例年の半分ほどになる可能性があるという。

「年々暑さが厳しさを増して、白ネギの生産も厳しさが増してきた」

 東京・立川市の農園では…。

カラフル野菜の小山農園 小山三佐男さん
「これも結構色づいていない。薄い。“ぼけナス”というか」
色がぼけた“ぼけナス”
色がぼけた“ぼけナス”

 とろりとした食感が特徴の今が旬の秋ナス。通常はツヤのある紫色をしているが、ナスの表面に光沢がなく、色がぼけた“ぼけナス”に。

「地温が40℃以上となると、根っこから酸素とか栄養素が全部吸収できなくなってしまう。人間でいえば酸欠状態。色づかないで途中で栄養失調になって落ちてしまう」

 今年は統計史上最も早い梅雨明けとなり、先月には10日連続猛暑日を記録した東京。高温や水不足によりナスが割れてしまったり、表面が色づかなかったりし、収穫できないナスは全体の3割ほどに及ぶ。

「(Q.3割くらいだとどのくらいの損害?)30〜40万じゃないですかね。他の野菜とかもどんどんどんどん積もってくると結構な金額になる。夏が毎年怖いんですよ。計算できないので」

 異変はナスだけでなく…。

「こちらがキャベツとかブロッコリーを定植していた畑。見ての通り全部失敗しちゃったんで、トラクターで耕うんした後ですね」
長引く暑さの影響で…
長引く暑さの影響で…

 今月上旬、ブロッコリーとキャベツの苗を植えたが、長引く暑さの影響で、土の中の温度が高すぎて苗が腐ってしまった。

 土の中の温度を計ってみた。

「33℃くらいありますね。例年ですと25℃前後なんですよね。せめて30℃以下になってくれないかな」

 苗の植え付けが遅れていて、今後収穫する野菜にも影響が出る恐れがあるという。

タマネギも…
タマネギも…

 さらに、通常は直径8センチ以上のタマネギを収穫しているが、今年は4〜5センチほどの小ぶりのタマネギばかり。

「手のひらに3個くらい乗るサイズばかり。4センチあるかないか」

 これも高温や雨不足による影響だという。

「通常であれば3〜4個で袋が満タンになるんですけど、このサイズだと10個くらい入れなきゃ規定量にならない。その分、タマネギを多く入れなきゃいけないので収入も減ってしまう」

タマネギ小玉化 ハンバーグ店困惑のワケ

 タマネギだけで20〜30万円の損害になるという。タマネギの小ぶり化は、飲食店にも影響が及ぶという。

 東京・銀座にある人気ハンバーグ店。肉と共にこだわっているのがタマネギ。

「味の決め手」のタマネギ
「味の決め手」のタマネギ
AOI 岩井浩二オーナー
「ハンバーグが1つ120グラムなんですけど、生のタマネギだと300グラム相当入っています。タマネギ、ハンバーグの命です。味の決め手」

 ひき肉に加えていたのは大量のあめ色タマネギ。一日に使うタマネギの量は80キロ。そのタマネギが2〜3週間前から小ぶりなものが増えてきたという。

「ココとココですね、取って。それからカットするという作業があるので、これが数が多くなって作業が多くなるという感じ」
タマネギの高騰
タマネギの高騰

 仕込みにかかる手間が増えるだけでなく、タマネギの高騰も悩みの種。2年前までは20キロで4000円ほどだったが、今は6000円にまで値上がりしているという。

 一般的なハンバーグの4〜5倍の量のタマネギを使い、6時間かけて作る「あめ色タマネギ」の味でファンを獲得してきたが…。

「タマネギはうちの命ですので、それがないと商売にならない。高くなったら値上げせざるを得ないですけど、死活問題です」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月16日放送分より)

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