暑さなどの影響で変形してしまっている柿が出てきている。今、異常気象の影響で生育不良や巨大化など、秋の味覚に変化が出てきているという。
まるでバナナ…柿に一体何が?
島根県松江市にある柿農園を訪ねた。
「ここが西条柿の畑です」
オレンジ色のカーテンのように見える秋の風物詩、干し柿。島根県は干し柿に使用される「西条柿」の栽培面積日本一を誇っているが、その柿に今、異変が起きている。
まるでバナナの房のように実が分かれてしまったものや、天狗の鼻のような突起があるものまで。
西条柿は縦長で4つの溝があるのが特徴だが、その溝が割れていびつな形になったという。
10月中旬の収穫を前に4割ほどが変形。使える部分はドライフルーツなどに加工するが、ほとんどは廃棄せざるを得ない。
なぜ、柿が変形してしまったのか?
日々の寒暖差が大きいことがストレスとなり正常に生育が進まなかった可能性と、去年の夏の暑さの影響で芽の形成に異常が起きた可能性があるという。
須山農園では去年、猛暑の影響で大量発生したカメムシの被害に遭い収入が半減。そして今年は柿の変形と、2年連続で異常気象に悩まされている。
シャインマスカット お手頃価格の理由
15日、スーパーの店頭で販売されていたのは今が旬のシャインマスカット。毎日200〜400パックを仕入れ、完売しているという。
「良い天気に恵まれて量が多いと思います」
「(Q.今年の価格は?)去年から見れば1割〜2割安いですね」
生産地が広がり収穫量も増えたことで、手頃な価格になってきたシャインマスカット。
「安いですよね。めちゃめちゃ安いと思います。この前ここで買ったシャインマスカット、同じような値段のやつ甘くておいしかったのでリピート買いです」
「高級なものというイメージがあったけど、カジュアルに買えますね。毎日食べる、おいしいです」
シャインマスカットの出荷のピークを迎えた新潟県。県内最大のブドウの産地・JA新潟かがやき管内では、今シーズンの総出荷量の4割をシャインマスカットが占める見込みだ。
「ようやく収穫のシーズンを迎えて、皆さんにおいしいブドウを届けられる良いシーズンになった。一粒食べて『あーおいしいな』とニンマリするような皆さんの顔が浮かんでくる」
今年は7月と8月に晴れの日が多く、糖度の高い状態に仕上がったという。
レンコン衝撃の巨大化
猛暑の恩恵を受けているのが、秋から冬が旬のレンコン。
レンコンの生産量が全国トップの茨城県では、今が収穫の真っ最中。腰まで水につかりながら、ホースから出る水流でレンコンを浮かせて収穫する。
今年は、レンコンの大きさに異変が…。
「通常ですと、これぐらいが通常の大きさだと思いますね。今年のレンコンは本当に1.2〜1.5倍とか大きくて、こちらのように全体的に大きい」
茨城県土浦市の先月の平均気温は28.7℃。猛暑日は14日あったが、井戸水で水温を調整したことで影響は少なかったという。
都内のスーパーでは、こぶし大のレンコンが3つで259円(税込み)。
「100グラム58円ですが、以前は88円とか。ですから3割以上安い。この異常気象のなかで平年より安いというのは、もう奇跡だと思って下さい」
秋ナス色付かず…野菜に何が?
一方、猛暑の影響で被害が出ている野菜も…。
「これがうちの白ネギ畑になってます」
島根県で盛んに栽培されている白ネギ。8月中旬までは順調に育っていたというが…。
白ネギは高温や乾燥に強いとされるが、猛暑が長引き、生育不良が起きているという。
順調に育っている白ネギは長さ60センチ、太さは2センチほどだが、生育不良の白ネギは長さ40センチ、太さ1.5センチしかなかった。さらに、高温多湿で発生しやすくなる軟腐病(なんぷびょう)に感染。
感染すると軟らかくなり次第に腐っていくという。
全体の3割が感染してしまい、出荷できない状態に。生育不良と病気の影響で、白ネギの収入は例年の半分ほどになる可能性があるという。
「年々暑さが厳しさを増して、白ネギの生産も厳しさが増してきた」
東京・立川市の農園では…。
「これも結構色づいていない。薄い。“ぼけナス”というか」
とろりとした食感が特徴の今が旬の秋ナス。通常はツヤのある紫色をしているが、ナスの表面に光沢がなく、色がぼけた“ぼけナス”に。
今年は統計史上最も早い梅雨明けとなり、先月には10日連続猛暑日を記録した東京。高温や水不足によりナスが割れてしまったり、表面が色づかなかったりし、収穫できないナスは全体の3割ほどに及ぶ。
異変はナスだけでなく…。
今月上旬、ブロッコリーとキャベツの苗を植えたが、長引く暑さの影響で、土の中の温度が高すぎて苗が腐ってしまった。
土の中の温度を計ってみた。
苗の植え付けが遅れていて、今後収穫する野菜にも影響が出る恐れがあるという。
さらに、通常は直径8センチ以上のタマネギを収穫しているが、今年は4〜5センチほどの小ぶりのタマネギばかり。
これも高温や雨不足による影響だという。
タマネギ小玉化 ハンバーグ店困惑のワケ
タマネギだけで20〜30万円の損害になるという。タマネギの小ぶり化は、飲食店にも影響が及ぶという。
東京・銀座にある人気ハンバーグ店。肉と共にこだわっているのがタマネギ。
「ハンバーグが1つ120グラムなんですけど、生のタマネギだと300グラム相当入っています。タマネギ、ハンバーグの命です。味の決め手」
ひき肉に加えていたのは大量のあめ色タマネギ。一日に使うタマネギの量は80キロ。そのタマネギが2〜3週間前から小ぶりなものが増えてきたという。
仕込みにかかる手間が増えるだけでなく、タマネギの高騰も悩みの種。2年前までは20キロで4000円ほどだったが、今は6000円にまで値上がりしているという。
一般的なハンバーグの4〜5倍の量のタマネギを使い、6時間かけて作る「あめ色タマネギ」の味でファンを獲得してきたが…。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月16日放送分より)