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2025年9月18日 16:00

都内で相次ぐ家賃値上げトラブル ある日突然「7万円増」通告も 入居者は断れる?

都内で相次ぐ家賃値上げトラブル ある日突然「7万円増」通告も 入居者は断れる?
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賃貸住宅の家賃の値上げをめぐるトラブルが相次いでいます。

家賃の値上げを断ることはできるのでしょうか。

大家側の主張や、交渉のポイントについて見ていきます。

■相談急増 家賃値上げ 年金暮らし 月2.5万円増の通告も

都内の家賃の値上げをめぐるトラブルの相談件数です。

2020年度は326件でしたが、2024年度は662件と2倍近く、2025年4月から7月末までの3カ月で369件と、2024年度の2倍以上のペースです。
「強引に値上げを迫られた」などの相談が急増しています。

実際の相談内容です。

40代の女性【都内のアパートで夫と2人暮らし、家賃は月10万円】
2万4000円アップと通告された。断ったら『契約違反』と言われた」
30代の女性【都内のワンルームマンションで1人暮らし、家賃は月10万円】
入居して1年未満なのに、管理会社から1万5000円の値上げ通知が届いた。応じなければいけないのか?」
80代の女性【都内のアパートで1人暮らし、家賃は月8万円】
「アパートのオーナーが代わって、家賃を2万5000円上げるといわれた。年金暮らしなので、生活が立ちいかなくなる」
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■東京23区 家賃値上げ 5年で2割アップの背景

家賃は平均してどれくらい上がっているのでしょうか。

東京23区のシングル向けとファミリー向けの賃貸物件です。
2010年から2020年までは、大きくは値上がりしていませんが、2025年のシングル向け賃貸物件の平均の家賃は、10万3134円。ファミリー向け賃貸の2025年の平均は、18万6886円。
この5年で、シングル向けは約12%、ファミリー向けは約21%値上がりしています。

家賃の値上げと物価の関係です。

東京23区の消費者物価指数です。
2010年から上がっていますが、2024年と2020年の指数を比較すると、上昇率が7. 9%です。
家賃と同じ様に、2020年からの上昇率が高くなっています
そして、家賃の値上げ率が、物価の上昇率を上回っています。

なぜ、家賃の値上げ率が物価上昇率を上回っているのでしょうか。

大阪経済法科大学経済学部の米山秀隆教授によると、
「東京の場合は、地価上昇で固定資産税が上がっているので、その分を家賃に転嫁している。また、都市部は一定の人口流入があって、家賃を上げても借り手が次々に現れるので、大家側も家賃を上げやすい」ということです。
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■大家側の事情「家賃上げたい」5割超 理由は“4つの上昇”

大家側の事情です。

過去3カ月間で家賃変更したかという調査では、「家賃を上げた」と答えた大家が39%です。
さらに、「今後3カ月で家賃を上げたい」と答えた大家が5割を超えています

家賃を上げた主な理由です。

●周辺の家賃相場が高い
●地価の上昇などで、固定資産税が上がった
●銀行などからの借り入れの金利が上がった
●修繕費や清掃費などの経営コストが上がった

大家の声です。

世の物価上昇から遅れて、ようやく家賃を上げても良い空気感になってきた」
「借り入れの金利は上昇しているが、生活者の収入が増えていないので、連動した家賃アップは厳しい
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■入居者は断れる?家賃値上げの条件とは

家賃が値上げできる条件です。

借地借家法で、
『貸主は、家賃の増額を請求することが可能』と定められています。

家賃を値上げできる条件です。
『一定の期間は増額しない』などの特約がある場合を除き、
(1)土地・建物に対する税金などの負担増
(2)土地・建物の価値上昇など経済事情の変動
(3)近隣の同じような物件の家賃と比べ不相当
これらに当てはまれば、値上げすることができます。

ただし、家賃の値上げには、入居者の同意が必要で、入居者は必ずしも応じる必要はありません

話し合いで解決しない場合には、調停もしくは裁判になる可能性があります。

実際に調停に至ったケースです。

63歳男性です。
世田谷区の2LDKのマンションに、14年住んでいます。
夫婦2人暮らしで、家賃は月21万円です。

2025年1月、
『物価高騰、周辺エリアの家賃相場上昇などで、家賃を28万円に値上げさせてほしい
という内容の書面が届きました。
この家賃の値上げの通知に対して、男性は、
7万円の値上げは考えられない。月22万円でお願いしたい」と交渉しました。
これに対して、6月に大家側から3つの譲歩案が提示されました。
(1)25万円で承諾してもらいたい。
もしくは、
(2)21万円のままで、2年以内に転居してもらい、それ以降再契約は不可
もしくは、
(3)立ち退き料を家賃2か月分にあたる42万円負担するので、9月末までに転居すること。

男性はこの譲歩案に対して、「どれも承諾できない」として、改めて22万円を提案しました。
すると、大家側の弁護士から、「民事調停を申し立てます」というメールが突然届いたということです。
1回目の民事調停が9月10日に開かれ、10月に2回目の調停が予定されています。

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■大家要求 値上げ幅「本当に適正?」交渉時のポイント

家賃値上げについての疑問です。

37歳男性
「提示された値上げ幅が適正か判断するには?」
大阪経済法科大学の米山教授です。
値上げの根拠を確認することは重要。自分でネットで調べたり、大家側に提示してもらい、近隣の似た物件の家賃と照らし合わせてみる
20代女性
「交渉する時のポイントは?」
米山教授です。
「据え置きの交渉が難しい場合は、値上げをのむ代わりに、
更新料を減免してもらう、
●エアコンやトイレなどの設備を新しく交換してもらうなど、条件を提示して交渉する

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年9月17日放送分より)

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