先週記録的な大雨に見舞われた三重県四日市市で、冠水した地下駐車場の現地調査が16日に行われた。およそ300台の車両が取り残され、被害を受けたことが分かった。
地下駐車場水没300台 カメラ捉えた全容
「今の地下1階の様子」
水没した三重県四日市市の地下駐車場の映像。駐車していた人が、水が引いた14日に撮影したものだ。
「車がぶつかり合っててかわいそう。真っ暗で下水臭くて、めちゃ暑かった」
水に流されたのか、車が不自然な位置に止まっていたほか、バンパー付近まで泥が残っているのが分かる。
「これはうちの車が外に出られるのも、まだまだ先かなぁ」
先週末、記録的大雨となった三重県四日市市。1時間に123.5ミリという観測史上最大の雨が降った。これにより、市の中心部にある地下駐車場が浸水した。
この駐車場は地下2階建てで、高さ3.5メートルの地下2階は完全に水没。地下1階も1メートル20センチまで浸水し、およそ300台の車が取り残された。
当時、地下1階に駐車されていた車の車載映像。夜10時半ごろ。この時はまだ浸水していない。他の車が普通に走行している様子も映っていた。
しかし、およそ15分後、床一面、水がたまった状態に。そのおよそ10分後にはナンバープレートの下辺りまで浸水していた。
その後、さらに浸水が進行。別の車のカメラにはかろうじて地下1階から脱出する様子が映されていた。車の後方についたカメラの映像を確認すると、激しく水しぶきが立ち、駐車場のスタッフとおぼしき人の姿も。この時には、ひざ下まで水につかっていた。
駐車場から車出せず「水が海のように」
排水作業開始から、およそ3日経った16日朝、ようやく排水がおおむね完了した。
水が引いた地下1階で撮影された写真には、ボンネット全体が乾いた泥で覆われた車が写されていた。
地下2階は、まだ足元には多少の水が残っているのが分かる。
駐車場の地下2階に車を止めていたという人たちはこう話す。
「(駐車場に)行きたいですけど、やっぱりまだ入っちゃダメってなっている。もう絶対修理とかにはできないでしょうから、水没だと。多分保険会社に引き取ってもらって…」
「今は地下2階の駐車場に(車が)ある。車が出せるか出せないかもまだ分からない。仕方がない。あれだけ水が海のように流れてきたら」
周辺のレンタカー店には、被害に遭ったとみられる人から「長期レンタルできないか」という問い合わせが殺到しているという。
相次ぐレッカー依頼 工場はお手上げ
今回の大雨では、地下駐車場以外でも車の被害が相次いだ。車のレッカーを行う会社には、次々と依頼が舞い込んできていた。
「(Q.どちらへ向かわれるんですか?)冠水の件で向かいます」
この日受けた依頼のほとんどは、先週の大雨で浸水した車を工場へと運ぶもの。到着したのは、営業用の車8台が水没した会社だ。
「あーあ。全然あかんやん」
先週の大雨で、会社の目の前はまるで池のような状態になった。
「水位なんですけど、腰下ぐらいまで水がつかるような状態」
車は一時タイヤが見えなくなるほど浸水したという。異常がないか点検してもらうためレッカー車で販売店まで運ぶことにした。
しかし、車を狭いガレージの中から出すのは一苦労。レッカー車2台を使い、ようやく搬出した。
「冠水の影響で通常の3倍の依頼件数が入っています」
車を運んだ先の修理会社も多忙を極めている。
加藤隆幸店長
「(水没車両が)14〜5台。うちの店は(冠水した地域から)だいぶ離れているんですね。それでもこれだけ(浸水した車が)入っていますので。この車はライトの位置までつかってた。完全に水没ですね。もうちょっと修理不能な状態ですね」
「(Q.修理不能なんですか?)そこまでつかっちゃうと厳しい」
アンダーパスで車立ち往生
近年増えている集中豪雨や台風などによる道路の冠水。冠水した道路では、「少しくらいであれば走れるのでは」と思っていても、大きな危険が潜んでいる。
東京都に「記録的短時間大雨情報」が発表された7月10日。代々木にあるアンダーパスでは1時間もしないうちに1メートル30センチほどの高さまで水がたまった。
アンダーパスの手前には、通行止めを知らせる電光掲示板。バイクや車が次々と引き返していくなか、1台の車が入ってきて止まった。
運転していた人は車から出られなくなってしまった。その後、警察や消防が駆け付け、ようやく水から抜け出すことができた。
車で冠水した道路を走行することには、どういった危険性が潜んでいるのか?
冠水道路を走る危険性…ドア開かず
冠水路の走行テスト映像では、ガソリン車が水深60センチの冠水路に時速40キロで進入すると、すぐにエンジンは停止。車内には水が入り込んでいる。
水深が車両の床面を超えると、吸気口やマフラーから浸水し、エンジンが停止。再始動しなくなる恐れがあるという。
車の水没は、別の危機を招くこともある。
車が水没すると、ドアは水圧で開きにくい状態に。ドアを開けるためには、通常の5倍近くの力が必要になるという。
さらに、後輪が浮いてしまった場合、水圧はさらに強くなり、女性1人の力では1分以内にドアを開けることができなかった。
浸水した車は、水が引いた後も“危険性”がある。
2018年、兵庫県では、オークションのため会場に止められていた中古車が台風による大雨で浸水したのち発火。およそ180台の車が炎上した。
一度浸水した車は、放置しておくと内部の部品がショートし、電源を入れていなくても急に発火する恐れがあり、火災に発展することもある。
「バッテリーが、泥とかいろんなもので汚れて、そこから漏電して火が出るというケースが大半です。とにかく水没した車を動かそうとする時には、専門的な知識を持った人を呼んでいただきたい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月17日放送分より)