関東有数の温泉街でサル被害が急増しています。人をひっかいたり建物に侵入したりするなどの被害が、1年間で1万件を超える異常事態になっています。
温泉街でサル被害 年間1万件超
宿泊施設の客室で捉えられた画像。ガラス越しに犬とサルがにらみ合っていたと思えば、ガラスに飛びつき歯をむき出して威嚇する様子が。さらに、バイクの上に乗っていたずらする様子も。
関東有数の温泉地で知られる神奈川県湯河原町。今、住民たちが頭を悩ませているのが、凶暴なサルによる被害です。
17日朝、お寺を訪ねてみると、パックのジュースが2本倒されていました。
こちらの女性は、間近でサルに遭遇したこともあると言います。
「戸は閉めている状態だけどサルがここにいまして、戸を開けられてしまった。すごく驚きました」
その時は、ほうきで追い払ったそうです。
犬を威嚇するサルの画像が撮られた、外国人観光客などが利用するシェアハウス。ここでは、度々サルが目撃されていました。
「“居座る”“ただ通過するだけ”のパターンはあるが、2〜3日に一回は見ます」
15日夕方、百武館長が撮影した映像では、大小さまざまなサル4匹がベランダに現れ電線を器用に渡る様子が。
「(電線が)ビロンと下に伸びている。子ザルがぶら下がって伸びきった」
時には部屋の中に入り込んで、いたずらを繰り返します。何かを探しているのでしょうか。床に置かれた炊飯器の上に器用に立って室内を見渡す様子が捉えられています。
「これを引っ張って入ってくる。人間みたいに入ってきて。リビングに入って…ゲストのバナナとか
パンを置いていたんですよ。それを全部ひっくり返されて、バナナは全部持っていかれた」
「本当は共存、一緒に過ごしていければ一番いいけど。ある程度、観光資源としてサルにはいてほしいが、ちょっと心の中は揺れ動いている」
これから秋の行楽シーズンを迎える温泉旅館も頭を抱えます。
山々の大自然を見渡しながら、ゆったりとつかることができる貸切露天風呂ですが、屋根にはサルが。人が来ても逃げることはありません。
度々旅館にやってくるサル。16日も親子で姿を現しました。
「こちらにアメニティーが置いてあるが、ひっちゃかめっちゃかにぐちゃぐちゃにしちゃうことがある。おそらく甘い匂いのするものに反応していると思うが、歯磨き粉とかマウスウォッシュを目当てに来ていると思う。それが分からずいろんなものも歯でちぎったりして、ぐちゃぐちゃにして困っているところですね。一回荒らされると全部使えない状態なので迷惑している」
この3年間で被害報告は急増。町が行った調査では、家や畑などの物損被害や、引っかかれるなど人への影響も。去年1年間で1万を超える被害報告が寄せられています。
なぜ、サルの被害が増えているのでしょう。全国のサル対策を行う「サル対策所」によると、「サルが人の食べ物に執着している」と言います。
「サルにとって人間の食べ物が自分たちの食べ物のように思っている。自分たちの食べ物がとられるぐらいに思っている可能性はある。自分の食べ物がとられると(思い)怒ったりすることはあると思う」
17日午後、取材班もサルに遭遇。町では「サル追い払い隊員」を公募し、ほぼ毎日、巡回をしているということです。