今月12日の大雨で水没した三重県四日市市の地下駐車場。排水作業がようやく完了しましたが、274台の車が、いまだ取り残されています。
駐車場の地下2階は、天井まで3.5メートル。大雨で、まず、そこが完全に水没。どんどん水がたまっていき、地下1階も、最も深いところで、1.2メートルの水に浸かったということです。
駐車場は、駅前にあり、500台以上が収容可能でした。水に流されたのか、不自然な形に止まる車も。わずか1時間ほどで、水に覆われたとの証言もあります。
建物への浸水を防ぐために有効とされるのが、止水板です。設置費用を補助する自治体も増えていて、この夏、実際の大雨被害でも効果を発揮していました。
なぜ、今回の地下駐車場で、止水板は使われなかったのか。
駐車場の運営会社に、対応を聞きました。
「対応が間に合わなかったのが、すべての経緯。夜10時半くらいの当直の職員2人がいたが。(Q.止水板を上げようと思ったときには、すでに浸水していた)止水板を上げられなかった。時間的な余裕がなくて」
地下駐車場に通じる出入口は10カ所もあり、すべてを塞ぐのは難しかったようです。
駐車場には、排水ポンプも設置されていました。ただ、国土交通省が運営会社に聞き取りをしたところ、ポンプは当初、稼働していましたが、停電により停止したということです。
駐車場に利用できる土地が少ない都心では、地下を活用せざるを得ません。
東京・墨田区にある墨東病院。
この病院では、建物の入り口にも止水板を設置しています。しかし、駐車場のものは、ケタ違いの大きさです。
この地域のハザードマップを見ると、墨東病院は浸水想定エリアに含まれていました。
「荒川の氾濫が起こると、この辺は2メートルほど水が来ることになっているので、それに合わせて、地下に入らないような対策を取っている」
さらに駐車場には、3台のポンプを設置していて、1分間で1450リットルの水を排出できます。
ポンプで汲み上げた水は、逆流しないようどこに排出するか、手動で切り替えなければいけません。そこには、操作の手順を詳しく記したマニュアルがありました。
「交代で防災センターの職員がいるので、誰でもわかりやすいように」
今回、四日市市の地下駐車場は、スタッフが少ない夜間に、短時間で記録的な雨が降ったことで、大規模な被害に見舞われました。
「深夜や人の少ない時間帯でも対応できるようにしないといけない。夜間や休日は、防災センターの職員が少なくなるので、そういうときのために、一般の医療スタッフも、止水板を設置できるように日ごろから訓練を行っています」