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今年1月、福島県で大学入試当日に19歳の女性が飲酒運転の車にはねられ、命を落とした事故で、福島地裁は17日、危険運転致死傷などの罪に問われた池田怜平被告(35)に、懲役12年の判決を言い渡しました。
争われたのは、危険運転致死傷罪にあたるかどうか。つまり、赤信号の無視が故意なのか、過失なのかでした。
裁判で、明らかになった事故までの状況です。
池田被告は、事故前日の夜、職場の同僚と飲食店で酒を飲み、午前4時ごろ、運転代行で帰宅します。その後、池田被告は、飲酒運転で買い物へ。しかし、財布を忘れたことに気がつき、自宅に戻ろうと、再び、運転を始めます。事故が起きたのは、その6分後でした。
現場から約500メートル手前の交差点。赤信号にもかかわらず、右折しようした池田被告は、衝突しそうになったタクシーをよけると、その後も、事故現場を含む3つの赤信号を無視します。最終的な時速は、約70キロで、事故が起きた交差点に突っ込みました。
検察側
「信号は見た」
池田怜平被告
「いいえ」
検察側
「ほかの車とぶつかりそうになったのは」
池田怜平被告
「覚えていない」
検察側
「スピードを上げているが、その記憶は」
池田怜平被告
「ない」
「信号は見た」
池田怜平被告
「いいえ」
検察側
「ほかの車とぶつかりそうになったのは」
池田怜平被告
「覚えていない」
検察側
「スピードを上げているが、その記憶は」
池田怜平被告
「ない」
眠気に襲われ、目をこするなどして赤信号を見落とした過失運転にとどまると主張。一方、検察側は、信号表示に従うつもりがなかったと指摘しました。
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大阪府から来ていた受験会場に向かう途中だった女性。歯科医師になる夢を抱いていました。
女性の母親(10日の意見陳述)
「朝6時ごろ、娘から電話がありました。あと1分でも、2分でも長く電話で話をしていたらと思うと、無念でなりません。娘が生きていたら、どこかの大学の歯学部で、楽しくも忙しい大学生活を送っていたと思います。夢をかなえていたのです。『ママのインプラント』『じいじの入れ歯、作ってあげる』なんて楽しそうに話をしていた姿が忘れられません。大阪から遠く離れた福島に受験に行き、『元気に行ってきます』と言っていた娘が、数日後、棺で帰ってくる。どんな気持ちかわかるのでしょうか」
「朝6時ごろ、娘から電話がありました。あと1分でも、2分でも長く電話で話をしていたらと思うと、無念でなりません。娘が生きていたら、どこかの大学の歯学部で、楽しくも忙しい大学生活を送っていたと思います。夢をかなえていたのです。『ママのインプラント』『じいじの入れ歯、作ってあげる』なんて楽しそうに話をしていた姿が忘れられません。大阪から遠く離れた福島に受験に行き、『元気に行ってきます』と言っていた娘が、数日後、棺で帰ってくる。どんな気持ちかわかるのでしょうか」
裁判所の判断は。
下山洋司裁判長
「信号表示を意に介することなく、無視して進行しようと考えていたものと認められる。危険運転致死傷罪が成立する。大学受験当日の朝に、理不尽にも一瞬で命を絶たれた無念は、察するに余りある」
「信号表示を意に介することなく、無視して進行しようと考えていたものと認められる。危険運転致死傷罪が成立する。大学受験当日の朝に、理不尽にも一瞬で命を絶たれた無念は、察するに余りある」
判決が言い渡されても、遺族の心が癒えることはありません。
女性の母親
「あまりに刑が軽いと思います。今後、危険運転の罪については、さらなる厳罰化を強く望むとともに、私たちのような悲しい思いをする家族が出ないことを切に願います」
「あまりに刑が軽いと思います。今後、危険運転の罪については、さらなる厳罰化を強く望むとともに、私たちのような悲しい思いをする家族が出ないことを切に願います」
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