成田空港周辺の土地などへの投資を募る、「みんなで大家さん」を巡って、出資者が運営会社を集団で提訴しました。一方でこの運営会社は、東京都を相手取って行政処分を不服とする裁判を起こしていることも分かりました。
被害相談500人超 40億円規模に
19日、番組は、提訴に踏み切った出資者の弁護士を取材しました。
「相談は560名くらい。そのうち依頼が120名くらい。被害額で言うと40億くらい」
訴訟に踏み切ったのは5人の出資者ですが、今後、さらに広がりをみせる可能性があります。
「みんなで大家さん」は不動産に対して出資を募り、3万7000人以上から総額2000億円を集めました。
成田空港周辺の主力プロジェクト「ゲートウェイ成田」では、年間7%という高額な利回りが得られるとしています。
柳瀬健一代表
「心から深くおわび申し上げます」
ところが、成田のプロジェクトで7月から分配金の支払いがストップ。19日までに提訴した5人は、「やむを得ない事由」があった場合には契約を解除できるとして、6000万円の返還を求めています。
「やむを得ない事由」として指摘するのは、東京都などによる行政処分です。
「出資者目線から言うと、そもそも行政処分を受けたこと自体が大きな問題ではあるんですよね。行政処分を受けるということは、当然信用は毀損(きそん)されます。財産状況にも影響を及ぼしますし、ひいては分配金など、資産価値に影響を及ぼしてくる」
運営側は処分取り消し求め訴え
去年6月、法律に基づいて監督する立場である東京都は、成田のプロジェクトで投資家への説明が不足していることを理由に、業務の一部停止命令を出しました。都が行政処分に踏み切るきっかけになったのは、おととし2月、国土交通省と金融庁から届いた情報提供です。
「成田商品の募集金額が急増しており、投資家に損害を与える恐れがある」
行政が問題視するのは、元本割れのリスクだとみられます。
「みんなで大家さん」は成田の土地を1平方メートルあたり、およそ170万円と評価。行政側は、固定資産税の算定基準から土地の価値は1万6400円しかなく、プロジェクトが万が一中止になった場合に元本がほぼ失われるリスクがあると判断しました。
リスクを投資家に説明していないことを問題視し、行政処分に踏み切った東京都。一方で「みんなで大家さん」は住宅用の土地の評価と、商業施設の土地の評価は連動しないとして、東京都を相手に処分を取り消す訴えを東京地裁に起こしています。
「(Q.訴えられている見解は?)いろんな言い分があると思うが、投資をした人にいかに約束した配当を行うか、これに尽きると思っています」
「みんなで大家さん」を訴えた出資者側の弁護士は、行政の対応の遅さにも疑問を投げかけます。
「行政処分をもう少し早くできたのかなと思わなくもない。調査などがあっただろうから、一概には言えないかもしれませんけど」
提訴されたことについて、「みんなで大家さん」はこうコメントしています。
「当社に裁判所から訴状が届いていないという状況には変わりなく、誠実に訴訟対応をすることにも変わりはございません」
(「グッド!モーニング」2025年9月20日放送分より)