北海道では21日、線状降水帯が発生し、記録的な大雨や暴風となりました。突風で住宅の屋根がはがれるなどの被害が続出。また、複数の場所で線路の下の土砂が流出するなどして、JR根室線は一部区間で運転を見合わせています。復旧の見込みは立っていません。
突風で窓壊れ「家の中に屋根が」
21日未明、北海道に吹き荒れた暴風雨。新ひだか町では住宅などへの被害が相次ぎました。その中の1軒、中を見せてもらうと。
「このあたりにソファベッドがあったけど、あの子(妹)が寝ていて、バーンと全部ガラスが飛び散り、彼女に降りかかった」
去年、新ひだか町に引っ越した娘のもとを訪ねていた母親と妹。突風はほんの一瞬で全てを変えてしまったと振り返ります。
「すごい音で起きて、窓が割れたという感覚だったけど、よく見たら全部外れて。飛んできた屋根も一緒に中に。がれきが飛び込んできている状態」
家の中のものは全て吹き飛ばされ、割れた窓からはあらゆるものがなだれ込んできました。母親と妹はガラスの破片でけがをしました。
道東を中心に突風や強風が吹き荒れ、少なくとも61棟で被害が確認されています。根室市では小屋が飛ばされ、中標津町では牛舎の屋根がめくれあがりました。
生活直撃 道内初の「線状降水帯」
また、雨による被害も深刻です。2021年の運用開始以来、道内で初めてとなる線状降水帯が釧路地方や十勝地方で発生。白糠町では観測史上最大の雨を記録。わずか24時間で年間の15%にあたる雨量が降りました。
白糠町の隣、釧路市の牧場には一時、水が牛舎に押し寄せ、近付くことすらできませんでした。牛の前には泥がたまり、えさの干し草も多くが使い物にならなくなりました。復旧は長期戦になることを覚悟しています。
「61歳だけど、こんなことになるのは初めて」
「(Q.元に戻るまでどれくらいかかる)たぶん雪が降るぐらいまでかな」
当時、東側の海上には強い高気圧が居座っていたため、西から近付く低気圧の動きが極端に遅くなり、同じ場所に雨雲が停滞しました。また、雨雲を発達させる風のぶつかった部分が北海道の太平洋側をゆっくりと東に移動したため、大雨や突風などの被害が拡大しました。
JR根室線「レールが宙に…」
大雨をもたらした雨雲の下を走る根室線が、大きな被害を受けていることが明らかになりました。JR北海道によると、9カ所で復旧が必要な被害が確認されているといいます。音別駅付近では、500メートルにわたって線路下の土砂が完全に流出。レールが浮いているところも。他にも線路上に流木が堆積したり、高さ3メートルにわたってえぐれた箇所も。
JR北海道は一部区間について少なくとも来週いっぱい、状況によってはさらに長期にわたって運休が続く恐れがあるとしています。道央と道東を直接結ぶ唯一の鉄道であり、影響は1日あたり約2700人に及ぶといいます。
「親と相談してみないと分からないところもあるけれど、釧路駅まで送ってもらうのは難しいので、行ける方法を探すしかないかなと」
23日以降、1日2往復の代行バスが出るとしていますが、高校生が使っている音別駅には止まりません。
「あまり学校を休み過ぎると勉強にもついていけなくなるし、部活動の大会も近いのでなるべく学校には行きたいけど、これからどうしようって感じで困惑している」