共用スペースの使い方を巡って、1階のラーメン店に141万円の罰金通知を出した都内のマンション管理組合。なぜ、高額な罰金に踏み切ったのでしょうか。番組は管理組合の理事会を取材しました。
突然の規制…ラーメン店以外にも影響
「傘立てを置いていたら一日5万円。長椅子を置いていたら5万円とか。合計が約140万円になっていた」
今月、ラーメン店に届いた罰金の総額は141万円にも及ぶものでした。
都内にあるこのマンションは築48年の9階建てで、最寄り駅から徒歩3分の好立地です。1階にはラーメン店のほかに複数の店舗が並んでいて、現在は103世帯が暮らしています。
マンションの共用部の使用を巡り、管理組合が突き付けた罰金の通知。今月からは共用部には三角コーンが設置され、自転車などの駐輪が規制されるようになりました。
「今までは、皆さん店の前で自転車止めたりしながら買い物などできた。人通りがすごかったような印象があるんですけれども、ちょっと違うかなという気がしますよね」
突然の規制で影響を受けているのはラーメン店だけではありません。16年営業している青果店は…。
「前は、ここまで出していた。脇も使って。八百屋さん、中だけじゃ商売できない。どこの商店街に行ったって前に出てるでしょ。お客が減りましたよ、はっきり言って」
2018年に撮影された映像には、店頭に品物が並べられていましたが、現在はこの通り。並べる品数を減らしたことで、売り上げは下がりました。
「(店頭に)目玉商品ですよね、置いときたいのは。管理組合には要望書も出して、(共用部を)貸してくださいと言ってあるけど、どうなるかまだ結果もきていません」
“罰金ルール”を設けた理由
管理組合はなぜ“罰金ルール”を設けたのでしょうか。理事会を取材すると、その訳が見えてきました。
「人の安全を優先したいから。災害時にあんなところにいろんなもの出しっぱなし。逃げ道として使うんであれば、危ないんですよ」
「何年来のトラブルだから。きのうきょうの話じゃない」
管理組合によると、「共用部に物が置かれていると景観を損なううえに、災害時の逃げ道が確保しづらくなる」として、これまで各店舗には再三改善するよう要請してきました。しかし、一部の店舗が聞き入れてくれなかったことから、「罰金を科す」形に踏み切ったといいます。
「それがあったから、数カ月でここまできれいになった」
この日開かれた臨時総会では、マンション入居者の過半数の賛成で、共用部の使用細則には具体的な罰金額も明記されることになりました。
「自分の店の前の共用部は、自分のところの専有部だと勘違いさせた組合の怠慢も反省しなくてはいけなくて。(店舗側は)一時的に来たお客さんが自転車15分、20分しか止めてないのに、罰金とかペナルティーだと言われちゃうときついと。理解はできる、言っていること。ただルールは厳守したい。管理組合の基本思想と店舗の葛藤をどこで落とすか」
積極的に対話も…罰金は実際には請求せず
管理組合と店側は、積極的に対話するようにもなりました。
「人が減っちゃった」
「感がある?」
「そうですね、全然人が」
「カラーコーンと張り紙が威圧的すぎると。お客さんもすごい嫌だと思います」
罰金通知に当初、困惑していたラーメン店の店主は次のように話します。
「通達ミス。7月に決まったことが僕たち知らされてなかったので。いきなり罰金だけ来たから、あれっていうところはありました」
罰則を伴う共用部の使用細則について、管理組合は7月にラーメン店の貸主側には伝えましたが、店主は知らされていませんでした。
ラーメン店に通知した141万円の罰金について、管理組合は実際には請求しないということです。
「次の課題は整備状況をどう維持していくのか。ペナルティーという形ではなく店舗と組合が一緒になって知恵を出し合ってこの状況を維持していきたいと思っています」
(「グッド!モーニング」2025年9月23日放送分より)