社会

ABEMA NEWS

2025年9月24日 07:16

『スラムダンク』の聖地で続く“排泄”迷惑行為 自宅敷地に無断侵入も…近隣住民が憤り「引っ越した人もいる」

『スラムダンク』の聖地で続く“排泄”迷惑行為 自宅敷地に無断侵入も…近隣住民が憤り「引っ越した人もいる」
広告
1

 人気アニメ『スラムダンク』のオープニングシーンで描かれた場所で、とある問題が起きている。

【映像】スラダン聖地が異例の事態…現地の様子

 神奈川県鎌倉市にある、江ノ電・鎌倉高校前駅にある相模湾が見渡せる踏切に、“聖地巡礼”の訪日客が殺到し、オーバーツーリズムによる騒音トラブルやゴミ問題が多発。さらに公衆トイレが足りず、路上で用を足す人もいるという。

 9月20日午後1時ごろ、現地を訪れると、駅前は数え切れないほどの訪日観光客で混み、中国語が多く聞こえた。中国からの観光客たちは「子どもの頃からスラムダンクを見ている」「中国のSNSですごくはやっているから、海沿いを歩いて撮りまくり、TikTokにアップしようと思っている」、スラムダンクのユニホームを着たチリからの観光客は「桜木花道がここに立って、好きな女の子を見ていたから、同じ写真を撮りたい」とコメントする。バスケットボールのユニフォームや、女子高校生の制服のコスプレを楽しむ観光客もいた。

 なかにはツアー客と思われる、旗を持って案内する人物とともに、数十人で踏切に向かって歩く集団も。また、民家へと続く階段に座って、たむろする人々も。歩道に三脚を立てて占拠し、撮影しようとする観光客も見られた。

 「関係者以外立入禁止」の張り紙があり、英語や中国語、韓国語の注意書きも添えられている寺の私有地でも、撮影しようとする人がいる。踏切内に立ち止まり、遮断機に触れながら撮影するケースもある。寺の敷地内で撮影していた中国からの観光客に話を聞くと、「(私有地だとは)知らなかった。ごめんなさい」と語る。

 混乱が起きているのは、踏切だけではない。鎌倉高校の前では、止まった車から、続々と外国人観光客が降りてきた。道をふさぐため、付近には渋滞が起き、クラクションが鳴り響く。車が通れない迷惑な状況に近隣住民が「おい!何やってるんだよ!」と怒声をあげる。

 近隣住民は「もうひどい。お彼岸やお盆にお墓参りに来ると、トイレなんて本当に入れないぐらい。(駅の)ホームの中もすごいし……」と嘆く。分譲住宅を購入した男性も「移住して20年近く。駅も無人駅で、当時は(観光客は)ほとんど歩いていない。今は線路の下にゴミ。庭にもよく捨てられる」と明かす。

 鎌倉市は警備員を配置し、日本語・英語・中国語・韓国語の看板や張り紙で注意喚起しているが、解決の糸口は見えていない。さらに先週から、踏切前の高台にある公園を専用の撮影スポットに指定した。

 鎌倉市議の細川まなか氏(36)は「もともと普通の公園だったところの植栽をカットして、仮設の手すりを付けて撮影スポットにした」と語るが、ほとんどの人は線路付近まで降りてきている。「アニメと同じ画角で取りたい人が多く、なかなか誘導しきれない」そうだ。警備員を増員し、撮影場所へ誘導する策を試みているがらちがあかない。

 そして、大きいのが“トイレ問題”だ。近隣住民は「個人の所有の土地に入って……。トイレ問題は日本人と感覚が違う。友だちも引っ越した人も何人かいる」と話す。踏切周辺は一軒家も多い住宅街だが、公衆トイレは駅にしかない。病院や高齢者施設に無断で侵入し、トイレを汚されたケースもあったという。

 住民は「文化慣習の違いだから、どうしようもない。にぎわうことはいいこと。マナーだけちゃんとしてくれれば」「誘致してくれるのはありがたいが、何もメリットはない」と憤った。

 細川市議は「地元でも意見がいろいろあり、なかなかすべての意見を取り入れるのは難しい。整備や人の配置にはお金がかかるが、それは市民の税金で行われていることなので難しい。国がオーバーツーリズムの是正金を出してくれるなども、併せて訴えていければいい」と話す。

 現地を取材したテレビ朝日の田中萌アナウンサーは、「この辺りはお店があるわけでもなく、本当に閑静な高級住宅街だ。そこにあの人数が来てしまうと、街としてもなかなか対応しきれないのだろうと思う。行政でも見晴らしのいい高台のスポットを作ったり、警備員を動員して交通整理したりと対策しているが、車道まで出てきて撮影してしまう人もいて結構危ない」と振り返る。

 取材には土曜日の午後1時ごろに行った。「夕方の方が混み合うそうだが、土日に関係なく平日もたくさんの人がやってくる。観光の流れなのか午後の方が多い。朝一番は少ないが、どんどん遅くなるにかけて、人が増えてくる」(田中アナ)。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

広告