国土交通省が置き配の利用を進めるため、配達員がマンションのオートロックを解錠する仕組みを支援する方針を発表した。
【映像】一部で導入されているオートロック解錠システム(実際の映像)
中野洋昌国土交通大臣は「『置き配』をより利用しやすくするため防犯を最優先にしたうえで、すでに民間のマンションなどで導入が進んでいるオートロック解錠システムを複数の宅配業者が連携して使えるように官民一体で検討していく」とコメントしている。
その背景には宅配便取扱実績の推移がある。日本の年間宅配総数は既に50億個を超えており、その8.4パーセントにあたるおよそ4億2千万個以上が再配達となっている。
運送業者は慢性的な人手不足で、オートロックのマンションの場合さらに手間がかかり、オートロックのマンションへの配達をどう解決していくかが宅配業者にとって死活問題でもある。
今回の発表は各宅配業者が独自に開発している伝票番号などを統一することで、置き配をより利用しやすくしていこうというもの。
一方でネットでは「これでは何のためのオートロックなのかわからなくなる」「セキュリティーが低下して、配達業者と一緒に侵入する犯罪が増えると思う」と、ここ最近発生した事件を引き合いに、この制度を不安視する声も多くみられる。
この件について国交省に確認したところ、国交省の物流政策課の担当者は「ネット上で懸念されている『配達員が自由に玄関を開けられるようになる』という仕組みを国交省が開発したり導入を支援したりするものでは決してない」と強調。しかしオートロックを選んで住む人の不安は払拭できるのか。
配達員のリアルをYouTubeで配信している「レッツゴーチャンネル」のヤマキチ氏は「配達員からすると『助かる!』と思います。オートロックマンションで『置き配希望』と言われても、入れずに荷物を置けなければ結局板挟みになるのは配達員。現場では実際、オートロックを突破して置き配をしてクレームになる事例もあります。でも、そうでもしないと配達が回らないのも現実で、もっと現場の声を拾ってほしい」と話している。
現在一部のマンションなどで導入されている宅配業者のオートロック解錠システムは、荷物の受け取り手がスマートフォンから登録し、配達があった場合スマートフォンからエントランスキーを解錠することに同意。すると配達員はエントランスで荷物伝票のバーコードを読み取ることで解錠し、マンションに入り置き配することができるというもの。バーコード1つにつき1回のみ解錠可能だという。ただこのシステムを既存のマンションにあとから導入するには、住居者全員の同意がないと設置は難しいそう。
専門家によると神戸の事件などをはじめ、議員宿舎に侵入して岩屋毅外務大臣の部屋まで入った女性など、オートロックは万全ではなく「新たな防犯対策が必要なのでは」という指摘がある。
(『ABEMA的ニュースショー』より)